(無視されている)と思っている妻。
(挨拶もせずに上がっていった)と思っている母親。
この2人の誤解を解くには、
どうするのが最善なのか。
妻と母親。どちらに何を言うか、ということだが、
私は迷うことなく、妻に言うことを選択した。
「おばあちゃん、最近耳が遠くなったな。」である。
母親に「お休みって言ってるよ」と言ってみても、
すでに、そこには妻はいない。
第一、そんなことを言っても、
「へ~、そうかね?」と言われて終わりである。
妻の声が小さい限りは、永遠に母親には
届かないのである。
そして、こういう場合は、
障害のある人が努力するのではなく、
周りが合わせてあげるのが鉄則である。
だから、2階に上がってから、
おもむろに妻に言うのだ。
ただ…。そのあとの反応が恐い…。
想像される反応は2つある。
ひとつは、「お母さんの味方なの?」である。
この言葉がストレートに口から出ることは、まずないが、
不機嫌な顔になってしゃべらなくなるから
すぐに分かる。
「おばあちゃん、すこし耳が遠くなったみたいだし、
大きな声で話してあげて。」などと、指示でも
しようものなら、妻がそういう態度をとることは
目に見えている。
想像される2つめの反応は、
「母親の老化話」が始まることだ。
”耳が遠くなった”をきっかけに、
「あんなことがあった、こんなことがあった」と
妻から始まると、今度は私のほうがもたない。
息子からすると、親が衰えていく姿を
認めたくないのだ。
そういう話を聞くと、まるで
「妻が母親に悪口を言っている」
かのように感じて、腹が立ってしまうのだ。
(続く。)
「記事、よかった!」という方、クリックを。
問題のレポート、
『誰も語らなかったケアマネジメントの”根っこ”補強版』