メダルラッシュに沸く列島。今回のパリオリンピックでは、日本勢の勇姿が画面いっぱいに映し出され、思わず笑顔になってしまう。


そんな状況に気を良くしてか、先日は

パリオリンピック、胸に刺さったシーンはどれですか?という特集があった。街の声はどれも弾んでおり、

あー、これねー笑い泣き


と膝を打ちたくなるような名シーンが次々と映し出される。…しかし、私の心をザックリえぐったあのシーンはなかった。

それは、水泳女子の池江璃花子選手の試合後のインタビューである。一言一句覚えているわけではないが、何気なく観ていた私はまるで自分の心がぱっくりと割れるような痛みを感じ、彼女と一緒に、涙していた。


今までやってきた事全部無駄だった


おそらく彼女はこのようなショッキングな内容を口にした。敗退した選手のコメントは、オリンピック意外でもたくさん聞いてきたが、こんなストレートな嘆きは初めてだった。大舞台で活躍する選手達のコメントはいつも、感情を抑えたきれいな表現が多く、もともと競技スポーツに縁のない私などは全く共感できなかった。しかし、池江選手のコメントは、私ごととして私の心の傷を暴いた。忘れていた傷が剥き出しになり、まだパックリと口を開けている事に気づかされた。


頑張ってきたのに報われなかった

私ってバッカみたい

ほんとはみんな陰で笑ってたんだ

悔しい!悔しい!許せない!

あんなに努力したのに認めてもらえなかった

結局私は何やってもダメなんだよ


このジャンルを覗いてる皆さんなら、わかってくれるかもしれない。勉強して、自分をアップデートして、新しい明日を目指してやろうだなんて野望を抱いてる皆さんなら、一度くらいはあるんじゃないだろうか。 絶対なりたい自分がいて、それを目指して努力して、挫折してもなお、なりたい自分を目指して頑張って、それでもダメで、ペッチャンコになってしまった事が。


もちろん池江選手のような壮絶な毎日を送ってきた人は稀だろう。しかし、その妥協を許さない、限界突破した毎日が、先のコメントを産んだのはまちがいないだろう。彼女が欲しかったものは、たったひとつなのだ。だからこそ、「全て無駄だった」と迷いなく言い切れるのだ。

 その厳しさは、〝次にきっとつながる〟

だとか、〝ムダな事なんかひとつもない〟といった慰めを一切受け付けない鋭利さで、聞いているこちらも痛手を負うくらいの切れ味があった。


きっと、日本全国、いや世界中に「全部を賭けたチャレンジ」に敗れた人がいる。私もその一人。だから、璃花子と一緒に泣いた。よく言ってくれた、池江!


悔しい!悔しい!


身も世もなく、色白美人が噛み締めた涙は、私達みんなの、胸にくすぶる思いを昇華させてくれた。


璃花子!私は誓うよ、4年間あなたを応援し続けると。

4年後、高いところで微笑むマーメイド🧜‍♀️璃花子をずっと夢に見るって。


そして、私もテレビの前でヒトゴトを眺めるのではなくて、自分のレースに参戦するんだって。もちろん、出るからには勝つ。その在り方の美しさとカッコ良さ、強さをあなたが教えてくれたから。


池江、あなたこそ真の日本代表だ!


そして…馴れ馴れしく呼び捨てしてゴメンね🙇‍♀️