高炉台公園の横を駆け抜け、カーブしていくともう、いのちのたび博物館だ。その先には個人的ゴールの東田第一高炉(官営八幡製鐵所跡の公園。今も稼働した高炉が保存されている。)がある。

高炉ミニ情報
高炉台公園は、モニュメントのある広場で、1901のプレートがある東田第一高炉は、工場の跡。近いですが別の場所です。

環境館をすぎ、さあ、いのちのたび博物館だ!というところで、またしてもあの痛みが襲ってきた。

ズキン!

やば。

少し歩くようにして膝を休める。

イタ。イタ。

路肩に寄り、他のランナーの邪魔にならないよう時々走る。そこへ。キレイに見えた。

高炉だ!

イッキにテンションが上がる。高炉の物語に憧れ、高炉に賭けた先人たちの声を聞き、なんかしなきゃ、とヘタレなりに考えたのが

北九州マラソンに出て高炉まで走って来る!

という唐突かつ無謀な試みだったのだ。しかし、なんだかんだの末、やっとここまでたどり着いた。

来ました!私です!

ランナーも沿道の人もタイトになっていたのでしみじみする間はなかったが、青い空へ笑顔で挨拶する事ができた。

痛あ

しかし、リタイアするほどではない。

よし、行けるところまで。

スペースワールド横を抜け、マラニック中お腹が空いて何度かお世話になったすき家をすぎ、何と戸畑駅まで関門に引っかからず通過できた。

いてててえ

さすがに痛みが強くなってきた。結局マラニックから本格ラン練習に移行しないまま当日を迎えているので、休憩なしでまともに走った事がないのだ。それにしちゃ脚、頑張ってるな。上から褒めてやるが届いているか?定かでないがとりあえず休憩させてやろう。だだっ広い道路に前後ガラガラになったので地べたに座ってストレッチ。調子乗っていい事はあまりない。

大丈夫ですかっ

先ほどの自転車レスキュー隊のお兄さんだった。

すみません、たびたび。ちょっと痛くなってきて。

エアサロありますよ。冷やしましょうか?

えあさろ?

ごめんなさい、エアーサロンパスです。シューってするスプレーのサロンパスです。

わ、こちらこそごめんなさいだ。それ、ランナーの基本単語かもしれない…

どこまでも親切なお兄さんにお礼を言い、結局スプレーは遠慮した。道路にへたり込んでジャージをまくり上げ、「シュー」してもらうのはなんか抵抗があった。

なんとか行けそうですから。

カクンカクンと変な歩き方をする私に、他の隊員も駆けつけた。

無理しないでくださいね。続けられそうですか?

はい、ゆっくり、行けるところまで歩きます。

二人は顔を見合わせ、笑顔で走り去った。

なんかあったらすぐ来ますからー!

ありがとう。仕事増やして申し訳ない。でも、もう少し、行けるところまで時間を下さい。

もはやこれまでかなあ。次の関門は…まだまだ遠いなあ。