写真:完売御礼!トイレの最中

お袋んちの実家におったのはあんなんじゃない。ケツがこれくらいあってさ。

今度は右手の親指と人差し指で丸を作り、私の前に差し出した。

⁉︎ タランチュラがおったんか?

とここまで出かかったがぐっとこらえた。

うえー、ありえん!

そうやろ。お袋んちは俺らが子どもの頃、五右衛門ぶろでさ。外に風呂があったんよ。で、外は寒いし真っ暗でこわいけタオル一枚もって素っ裸で家からダッシュするんよ。そんでドボンと行くとガサって気配があってさ。ふと天井見ると脚とケツがぶっといソイツがおるわけよ。

マジ無理。よくそんなとこでお風呂につかりきるね!

それがさー、びびって出ようとしたら反対側にもおって。狭い風呂やけヘタに動くと触るわけよ。

さっきみたいに?

意地悪な合いの手はぐっと飲み込む。

うそ!気絶しそう。

そうやろ?さっきのなんかカワイイもんよ。実はソイツら鬼蜘蛛って言うんやけど居心地がいいのかそこに常駐しててさ。滞在するうちに慣れっこになってしもうた。

ええええー。怖くないん。

まあな。気持ち悪いけどアイツら害はないから。悪い虫を丸かじりしてくれるしな。

旦那さんのかなり盛った武勇伝を聞いているうちに、私も思い出した事があった。暗い。狭い。怖い。ぼっけえ、きょうてえ。

あのさ。私ちっちゃい頃、トイレに閉じ込められた事があるんよ。