あー、やばかった。
帰宅する頃には晴れ間が見えてほっとした。自宅に駆け込むと総着替え。ドライヤーで髪を乾かすと、途端にお腹が減ってきた。
何食う?
旦那さんもどっかりとソファにもたれかかってリラックスモード。最近ハマっている生クリーム食パン、「極み」のトーストにたっぷりバターを乗せちょっとした宴が始まった。
ドーン。遠くで号砲のような音が。続けて屋根を打つパラパラという音。わあ、降ってきた。全く学習しない私たちはまた弾かれたように動き始めた。
ぶんっ。
二回に駆け上がり、片っ端から雨戸のロックをかけていく。その間、家中の雨戸が面で押されるような大きな揺れ方をしていて焦った。こんな感じで家全体も面で煽られてくのか…
庭では旦那さんが最終チェックを行なっていた。端っこに銀色の線が二本、並行に光っていた。
…ああ、物干し竿か。
あんなものが吹っ飛ばされたらおおごと。
前もって旦那さんが地面に置いたのだろう。
視線に気づいたのか旦那さんがこちらを振り返り歩いてきた。そして何か口にしたが、ぼうぼうと吹き抜ける風の音でかき消されてしまった。
なーにー⁉︎
またも答えは風の中。もどかしそうに今度は旦那さんがゼスチャーを加えてきた。両手のひらを地面と並行にして胸の前で重ねている。
あー。雨戸をしっかり閉めてロックしとけよ、ということかあ。
? 旦那さんの顔にハテナが浮かんでいる。そしてさらに声を張り上げ、今度は胸前で手のひらを軽く打ち合わせている。
なんとなく◯◯ビ、と言っているのが聞こえるがなんだろう。装備?完備?…だからちゃんと閉めてるじゃない!カンビしてるってば!
もどかしくなり、私は頭上で大きなマルを作って準備万端をアピールした。だが庭からのリアクションは変わらない。その時、風の隙間から声が届いた。
コ・ウ・ビ
後尾?なんで?シャッターに前後機能があるとか?聞いてない。窓から乗り出すと満面の笑みで手のひらを重ねたジェスチャーと旦那さんのフレーズがぴったりと一致した。
交尾しよる!この嵐ん中交尾しよる虫がおるんよー
え。
一瞬固まり、次の瞬間には周り近所が気になった私だったが、おかしくなって爆笑した。
帰宅する頃には晴れ間が見えてほっとした。自宅に駆け込むと総着替え。ドライヤーで髪を乾かすと、途端にお腹が減ってきた。
何食う?
旦那さんもどっかりとソファにもたれかかってリラックスモード。最近ハマっている生クリーム食パン、「極み」のトーストにたっぷりバターを乗せちょっとした宴が始まった。
ドーン。遠くで号砲のような音が。続けて屋根を打つパラパラという音。わあ、降ってきた。全く学習しない私たちはまた弾かれたように動き始めた。
ぶんっ。
窓から顔を出すと、いつもは吹いていない、生暖かい丸みを帯びた風が重たく頬をかすめていった。
雨戸!来る。確実に来てる。
二回に駆け上がり、片っ端から雨戸のロックをかけていく。その間、家中の雨戸が面で押されるような大きな揺れ方をしていて焦った。こんな感じで家全体も面で煽られてくのか…
庭では旦那さんが最終チェックを行なっていた。端っこに銀色の線が二本、並行に光っていた。
…ああ、物干し竿か。
あんなものが吹っ飛ばされたらおおごと。
前もって旦那さんが地面に置いたのだろう。
視線に気づいたのか旦那さんがこちらを振り返り歩いてきた。そして何か口にしたが、ぼうぼうと吹き抜ける風の音でかき消されてしまった。
なーにー⁉︎
またも答えは風の中。もどかしそうに今度は旦那さんがゼスチャーを加えてきた。両手のひらを地面と並行にして胸の前で重ねている。
あー。雨戸をしっかり閉めてロックしとけよ、ということかあ。
わっかりましたあ、と私は右手でOKサインを作り、庭に向けグッと差し出した。
? 旦那さんの顔にハテナが浮かんでいる。そしてさらに声を張り上げ、今度は胸前で手のひらを軽く打ち合わせている。
なんとなく◯◯ビ、と言っているのが聞こえるがなんだろう。装備?完備?…だからちゃんと閉めてるじゃない!カンビしてるってば!
もどかしくなり、私は頭上で大きなマルを作って準備万端をアピールした。だが庭からのリアクションは変わらない。その時、風の隙間から声が届いた。
コ・ウ・ビ
後尾?なんで?シャッターに前後機能があるとか?聞いてない。窓から乗り出すと満面の笑みで手のひらを重ねたジェスチャーと旦那さんのフレーズがぴったりと一致した。
交尾しよる!この嵐ん中交尾しよる虫がおるんよー
え。
一瞬固まり、次の瞬間には周り近所が気になった私だったが、おかしくなって爆笑した。
62才の少年は吹き荒れる風の中、今でしょ!とばかりに子孫繁栄に励む虫たちの姿に喜びを隠せなかったのだろう。そこには、短い命だから、飛び回る自由が嵐に奪われてしまうから、グズグズしている暇はない、と今を必死に生きる虫たちの姿がある。だけど見方を変えると、こんな非常事態をそっちのけで行為に耽っている好きモノたちとも言えるわけで。それを見つけて嬉しくなった少年はきっと、ご近所さんの事も忘れ自宅の庭の中心で交尾と叫ぶ結果にになったのだろう。
最後の雨戸をしっかりとロックすると私は自分の部屋の中心で胸の前に合掌した。そしてこらえていたあのフレーズを叫んだ。
これぞ、創聖合体!
【概要欄】
一億と二千年あとも愛してる
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創聖合体
???のかた、創聖のアクエリオン 第一話のラスト5分をぜひご覧ください。壮大な世界観は、長く続くマラソン練習にも活きると思います!