まだ台風の煽りが来てますが…皆さまご無事でしょうか。大変な最中の方、くれぐれも安全と健康にご注意ください。

今回の台風、福岡では上陸が遅れ、私たち夫婦はノーテンキにも森の中へウォーキングへ出かけていた。(良い子は絶対にマネしないで下さい)

早く戻ろうよー。

いつもグズグズしている私がその時は旦那さんを急かしていた。なんか森の様子が違う。なんていうか…森が息を吹き返している感じ。ディズニーに出てくるみたいに、木や崖に顔があってしゃべり出しそうなというか。とにかく、人間がウロチョロする空間ではない気配。

大丈夫大丈夫

旦那さんが笑った瞬間に、森全体からサワサワサワと音がして、彼もエッと表情を変えた。

ザザザザザあっ。音の質が変わる。

やばい、来たっ!

ヘタレの私はとっさに走り出した。降り出した⁉︎あれ。

降ってないぞ。

旦那さんが両手のひらを空に向け、肩をすくめた。

違う!降ってるよ!結構来てるって!

走りながら気付く。あれ?結構派手な雨音がするのに濡れないぞ。見上げるとそこには崇高な景色があった。



頭上高く、樹齢数百年と思しき巨木たちが枝を渡し合い、見事な深みどりの屋根を形成していたのだ。薄曇りの早朝、そぼ濡れたおびただしい数の葉っぱは重なり合い、深く濃い緑に染まって静かにわなないていた。森のトンネルが、雨から守ってくれていた。



わあ、ありがとうございます。

思わず立ち止まって手を合わせた。森の神様が早くお帰り。と促してくれているようだ。

へえ!これは。助かった。

旦那さんも神妙な面持ちだ。

二人顔を見合わせて出口へ急ぐ。そういえばいつも10組以上の常連さんに会うのに今日は私たちしかいなかった。急に怖くなりピッチを上げたその時。

あっ!

足元がぬかるんでいて足を滑らせてしまった。

大丈夫か?

覗き込んだ旦那さんが今度は叫んだ。

うわあ!あれ!

指差した方向を見ると、先週なかったはずの不気味な白いキノコが3つ並んでいた。平べったい傘はコーヒーカップのソーサー級に広がっている。

ぎぃやあ!

私は一目散に逃げ出した。

待てよー。またこけるぞ

初めて2人の順番が入れ替わっていた。

レアだねえ

なんて言ってる余裕もなく、出口を抜け車道横の歩道にたどり着いた時には二人とも完全に息が上がっていた。