相撲観戦が少しだけ楽しくなるかもしれない攻略本。第3弾です。今回は実際相撲観戦するにあたり、1日どんなスケジュールで進行していくのかという部分を紹介します。


本記事では、初日の観戦に行く想定で1日の流れを解説します。その他の日について知りたい場合は、相撲協会公式ページにもタイムスケジュールが紹介されてたりするので、参考文献①をご覧ください。


さて、本場所の1日のタイムスケジュールについてですが、まず国技館の開場時刻は8時半となっています。大相撲は番付が低い者から順に相撲を取りますので、まずは序ノ口力士から相撲を取り始めます…と言いたいところですが、取組開始前にも実はイベントがあります。


それは「寄せ太鼓」です。国技館の開場時刻と同時、すなわち8時半から30分間、「呼出し」と呼ばれる職業の人が外にある櫓に上り、太鼓を叩きます。これは「今から今日の相撲が始まるぞ」という合図であり、お客さんを国技館に呼び「寄せる」ための太鼓です。特に初日の寄せ太鼓は、その場所自体の開始を告げるものとなりますので、コアなファンはの中には敢えて早目に会場に出向き、寄せ太鼓を聞いて気分をぶち上げる、という人もいるとかいないとか(多分そんなにいない)。


ちなみに太鼓の叩き方はいくつか種類があり、櫓で叩かれるものの総称を「櫓太鼓(やぐらだいこ)」といいます。(参考文献②の動画参照)


図1. 櫓太鼓を打つための櫓



寄せ太鼓の演奏が終わったら、いよいよ取組開始です。今度こそ序ノ口の取組が始まります(2日目〜中日は序ノ口より先に前相撲を実施)。


取組が始まれば、序ノ口、序二段、三段目、幕下と、番付が低い者から順番に淡々と取組が進んでいき、幕下の取組が残り五番となるタイミングまで基本的に進行が止まることはありません(勝負審判の交代等で数分空く時間はある)。


図2. 序ノ口の取組


幕下以下の取組が進行している13時頃、関取である「十両」の力士たちが続々と場所入り(国技館に来ること)してきます。十両力士が場所入りする様子を見たい人は、このくらいの時間に外に行って入り待ちするといい感じに見れるはずです。(筆者は入り待ちしたことないので定かではないですが…)


そして、朝9時過ぎから始まった相撲が14:15くらいまで進行し、幕下の取組が残り五番となったところで、いよいよ十両力士の土俵入りが行われます。


化粧まわしを身につけ大銀杏を結った関取衆が登場すると、場が一気に華やかになります。



図3. 十両土俵入りの様子


そして十両力士たちが化粧まわしから締め込みに着替えている間に、幕下力士の残り五番を行い、その後はついに十両の取組です。大体14:35くらいからです。


前回の番付の解説の際に失念していましたが、幕下以下の取組では力士は塩を撒きません。塩を撒くのも関取の特権の一つですね。


図4. 豪快な塩撒きを披露する十両力士(撮影当時)


十両の取組が始まる頃には、外では幕内力士の場所入りを見ることができます。こちらも筆者は入り待ちをしたことがないので詳細はよくわかりませんが…。


で、十両の取組が残り三番となったタイミングで、初日と千秋楽は恒例の「協会ご挨拶」が行われます。横綱、大関、関脇、小結の「役力士」を従えて、日本相撲協会理事長である八角親方(元横綱北勝海)が観客に向けて挨拶を行います。役力士全員が一堂に会する豪華なイベントです。


図5. 協会ご挨拶


その後十両の取組が終了すると、いよいよ真打登場、幕内土俵入りです。大体15:40頃が目安です。幕内土俵入りが終わり次第、続けて横綱土俵入りが行われます。(参考文献③も参照)


図6. 幕内土俵入り



図7. 横綱土俵入り


横綱土俵入りが終わると、「中入り(なかいり)」と呼ばれる10〜20分程度の休憩時間に入ります。


中入りの間は、立行司(たてぎょうじ)と呼ばれる最高格の行司により、翌日の取組発表が行われます(顔触れ言上(かおぶれごんじょう))。


図8. 顔触れ言上

(出典: https://www.sumo.or.jp/Entertainment/quiz/458)



中入りの休憩時間が終わると、初日限定で、前場所優勝力士などの優勝額の除幕式や優勝杯の返還式といった式典が行われます。(参考文献④参照)


式典も全て終わると、ついに幕内の取組です。なんやかんやいって、やっぱり皆これを見に来ているのです。最上位の存在である幕内力士の取組は、現地で見ると中々に迫力があります。


そして大体17:50くらいになるとその日の最後の取組、「結びの一番」を迎えます。満を辞して登場する東の横綱。そしてそれに挑戦する力士。最高潮の盛り上がりを見せます。


結びの一番まで終了すると、その日の取組は全て終了となり、最後に「弓取式(ゆみとりしき)」が行われます。これは結びの一番に勝った力士の代わりに下位の力士が勝利の舞を踊る儀式です。(参考文献⑤参照)


弓取式が終わると、その日の全日程が終了となり、国技館の外では櫓太鼓の一つ、「跳ね太鼓」の演奏が始まります。(参考文献②参照)

跳ね太鼓は、「明日もまたご来場ください」という意味が込められており、最終日である千秋楽には打たれません。


以上で、相撲観戦の1日は終了です。お疲れ様でした!


朝から全て見ようとすると結構大変なので、自分が見たいと思う時間帯から見に行くのが一番いいと思います。また、相撲観戦は枡席で飲み食いしつつダラダラ駄弁りながらゆったり過ごすのが醍醐味だと私は思っているので、そんなに気張る必要はないものと認識してます。売店とかを見て回りながら館内を徘徊してみるのもまた一興です。(参考文献⑥参照)


お昼時には地下1階でちゃんこ鍋を振る舞ってたりもするので、土俵上のスケジュールだけでなく、色々見て回るとさらに楽しいかもしれません。



【参考文献】

①大相撲本場所のタイムスケジュール

https://sumo.or.jp/Watching/guide/tokyo/schedule/


②櫓太鼓打ち分け


③横綱照ノ富士土俵入りの映像


④優勝額除幕式


⑤弓取式


⑥国技館グルメ

https://www.sumo.or.jp/Watching/guide/tokyo/gourmet/627/