コロナ感染拡大による経済活動の抑制とその莫大な損失をどうやって補填していくのかという問題に世界中の国々が直面しています。感染拡大防止をするには政府が都市封鎖や緊急事態宣言などを発令して、渡航や外出制限などを自国民に強いらないといけないのですが、それによる自由な経済活動の抑制に対し、政府が休業補償や現金給付などを行わないといけません。その財源は大丈夫なの?と思う人たちが多いことでしょう。

 

それについての私の答えは政府もしくは中央銀行が巨額の負債を増やしてでも、感染拡大防止を優先して感染者数の抑え込みをし、同時にこの間に民間事業者が倒産したり廃業に追い込まれ、さらには多くの勤労者が休業や失業で生活費が窮乏することがないように支援すべきだというものです。政府や中央銀行が負債を増やしても問題はないという話は既にしています。

 

負債とお金、コロナ対策の財源のお話

コロナ禍による資金づまりと金融危機を防げ

大型財政出動の財源は大丈夫?→心配いりません!

 

しかしながら政府や中央銀行が多額の負債を抱え込み過ぎると国家財政が破綻したり、国債価格が暴落して金利が急騰したり、ハイパーインフレになるのではないのかと心配する人たちがいます。

 

ここで私は強く念押しして言っておきますが、今回のコロナ危機によって全世界中の人々が逃げられない現実があります。

 

それは

誰かが莫大な負債を抱えないといけない

ということです。

 

本当は隠蔽主義でコロナウィルスの感染拡大を許してしまった中国共産党という組織にその負債を負わせてやりたいところですが、現実にはそれぞれの国の政府か民間事業者、国民個人がその負債を抱えることになるでしょう。理不尽な話ですがそうならざる得ないと思います。

 

「負債」という言葉は聞いて気持ちがいいものではありません。とくに日本人は負債=借金、「借金は悪いこと」だと考えがちです。しかしながらこの世の中で出回っている商品というものは有形のもの、無形のサービスというものをひっくるめて、それを創った人たちが負債とキャピタルロスのリスクを背負いながら投資して産み出しています。私たちが口にする食べ物から衣服、自動車や飛行機に至るまで、みんなそうです。誰も負債をつくらず投資をしなかったら、何もない世の中になることでしょう。世界中の人たちが最低限の衣食住にすら困ることになります。

 

お金というものも実は負債の証文やモノとかサービスを譲り渡すという約束手形みたいなものだという説明をこれまで何度もしてきました。

ほとんどの人が知らないお金が生まれる仕組み 

すべては負債から生まれている?~スペンディングファーストとは~

負債とお金、コロナ対策の財源のお話

私たちが手にして遣っているお金は誰かが負債をつくらなかったら存在しないものです。

さらにいうと資産と負債はコインの裏表みたいな関係で、1億円の資産があったならば、どこかで誰かが1億円の負債を背負っているのです。

 

私たちがコロナウィルスとの闘いを克服し、日常を取り戻すためにも、大きな負債と再投資が必要です。いま感染拡大防止のための行動制限や経済活動の自粛も新たな負債と投資がなければできないことです。いま休業や操業停止に追い込まれている民間所業者は収益の回復がいつになるのか見込めないまま、ずっと融資の償還や賃料の支払いなどの固定費を支払わせ続けていますが、当然のことながら負債だけが膨張し続けます。事業を再開するにしても商売替えなどで新たな再投資をしないといけないことになるかと思います。

 

もし仮に多くの民間事業者がこの負債の重みに潰されて、再投資ができないようなことになってしまったら、我々の社会は殺風景で何もない冷獏状態になると想像されます。崩壊した社会主義国家みたいな状況です。

 

 

このような非常時において「休業補償とか現金給付で財政赤字を膨らませると国家財政が破綻する」とかいって脅しをかけるような人たちが絶えませんが、もし仮に政府や中央銀行が負債を背負うことを投げ出して、民間事業者や個人に覆い被せるようなことをしたらどうなるでしょうか?たぶん民間事業者が債務超過で経営破綻したり、そうなる前に廃業するといった行動を一斉に始め出すでしょう。街中から店舗が消えてゴーストタウンになったり、これまで日常的に慣れ親しんできたモノやサービスが消えてなくなって、かなり不便な状態になってしまう恐れがあります。都市機能の破綻です。

 

商工業活動が元に戻らないと、当然のことながら税収も激しく落ち込み続けます。その一方で事業を畳んで年金暮らしを択んだり、生活保護に依存するような人たちが増えてしまうことでしょう。結果的に国家財政悪化も進みます。

 

財政規律重視だといわれていたドイツも含めて、コロナ感染拡大がひどい国々は政府や中央銀行が新たな負債や財政赤字の発生を厭わずに、民間事業者や国民を護るための財政出動や金融緩和政策を行っています。今回の危機は国家的なものであり、抱えるべき負債はとても民間で支えられる規模を超えてしまっています。民間の保険会社でこれだけ巨大な損失に対処できるところがあるでしょうか?

 

負債は民間企業部門・政府部門・一般家計部門のいずれかが担い手とならねばなりません。

この3つの部門の中で最も多くの負債を担うことができるのが政府部門です。政府が負債を担った場合、数十年~百年近くに分散した負債を償還することができます。大岡越前の「五貫裁き」みたいに幅広い年代に分散負担させることになります。

 

いちばん愚かな選択は政府が自分たちの懐ばかりを気にし過ぎて、危機に陥った民間事業者や国民個人を見殺しにし、結果的にモノやサービスの生産供給ができない状態にしてしまうことです。こんなことをしてしまったら余計債務の償還ができなくなってしまうでしょう。

 

もともと起業精神が高く自立した経済人たちが、たった一回の経済危機で軒並み潰され、再起できないようなことがあってはなりません。それは自由主義経済の死につながります。

 

今回のコロナ危機は国家社会主義の膿が全世界に散らばってしまったようなもので、自由主義経済を破壊しようとしています。コロナウィルスとの闘いは国家社会主義との闘いなのです。

 

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