元々わが家は「男はつらいよ」大好き一家。…といぅか、子供を授かる前から夫婦でDVDを自宅で見まくっていたから愚息たちも確実に洗脳されているのであります。ですから今回も久々の山田監督の作品ということで「夫婦50割」(ごめんなさい。貧乏なので)で劇場に見に行こうと企ててたら、すかさず大学生の長男も便乗して彼の予定に合わせて日曜の朝イチで劇場に足を運んできたわけです。※次男は寿司屋のバイトがあって来られませんでした。

 

 先ず、とにかく全編“”山田洋二ワールドといった感じで、勿論しんみりとする場面もあるんだけどクスクスっと笑いたくなる細工がアチコチに施されていて、いやぁ、とにかく笑った、泣いた。冒頭から時折姿を見せるスカイツリーを背景とする下町の風景は現代の喧騒を醸し出していますが、クライマックスの隅田川の花火が打ち上げられる頃には日もすっかりと暮れ、そうした建造物を隠してしまうせいか古き良き下町情緒の風情を描き上げていて、そこへ吉永小百合さんの懐かしそうで幸福そうな優しい表情が重なって、心の中がほんわかと温められる様な感触に包まれてしまう。

 

 とにかく大泉洋さんと吉永小百合さんの表情の陰陽のコントラストというかグラデーションというものがセリフ回しと相まって心の中にジンワリ染み込んで来るんです。その両側を水野芽郁さんと寺尾聡さんがガッツリと挟み込んだかと思うと、宮藤官九郎さんや田中泯さんのスパイスが強烈に効いてきて…ですから私にとっては人間ドラマの“ハンバーガー”をたっぷりと味わってしまってお腹いっぱい、本当に幸福感で満腹になれる作品でしたw

 

・・・とは言いながら、午前中本作品を鑑賞して自宅に戻る途中、昼飯用にセブンでコレを…(爆

“ジブリ飯”ならぬ“山田飯”です♬

 

 

 ところで、ただの偶然でしょうが、ここのところ私がTVで欠かさず見ているドラマのすべてが「自分らしさ」をテーマにしていることが多くて、昭夫の生きざまが何だか総決算的な役割を果たしてくれているとすら思ってしまいました。

 

 また余談ですが、「男はつらいよ」でも寺尾さんが御出演されている牡丹の話や吉永さんがマドンナを務められている回もDVDを何度も繰り返し見てしまう程大好きですし、最近大泉さんにはTVドラマ「ラストマン」で物凄く泣かされ笑わされた私にとっては今回のキャステイングもツボっておりました。

 

 プログラムの内容も素敵で、物語に数秒しか登場しない役者さんや、驚いたことに声や脚しか映っていない役者さんの紹介まで丁寧に…嗚呼、こういうところにも山田洋二監督の映画愛が溢れているんだなぁ。