第3回メタルの会(第3章:挨拶で みんなに広がる 笑顔の輪)
ということで、会場のパセラ新橋に到着。
他のメンバーは到着が遅れており、俺はなんなくNTTポジションの確保に成功した。
事前調整は失敗したが、これならなんとか乗り切れるかもしれない…そんな淡い期待を頂きつつ、ドリンクのオーダー方法を確認する俺。
…リモコンのオーダー形式か…。
正直、俺はリモコンのオーダー形式が好きではない。
センサーにリモコンを向けてボタンを押している姿より、電話口で店員とオーダー交渉しているほうが、圧倒的に様になるではないか。
受話器を肩と顎で挟みつつ、メニューを見ながら冷静に…そして正確に…更に大胆にオーダーを入れる姿…これこそがカラオケを苦手としている人にとっての最大のアピールポイントであることを何故気付かないのか!
機械化・システム化の波による人員削減…遠い世界の話だと思っていたが、まさかこんな形で自分に降りかかってこようとは思いもしなかった。
責任者を呼び、裏返った声でキレてやろうかとも思ったが、なんとか俺は耐えた。
仕方なく俺はオーダー方法を確認していると横から
「ねー、なんか曲入れてよ。」
というNG氏の無邪気な声。
前の店で、あれだけカラオケが苦手だとアピールしたのに、どうやら俺の会話は全く記憶に残っていないようである。
「いやいやいやいや、NGさんこそ歌っちゃってくださいよ!」と俺。
すると
「ってかさ、いましか好きな曲歌えないよ。入れたほうがいいと思うよ。」とNG氏。
…全てを理解したうえで、彼はこの言を吐いているのだろうか。
このままでは危ない。
俺は天気の話、オーダー方法の話、みんなが来ない話を繰り広げ、なんとかこの場を切り抜けた。
* * *
そしてNG氏が数曲歌い、そろそろiPodタイムにしましょうか、と話していると、突然ドアが開いた。
俺と年齢が近いMK氏の登場である。
本来であれば、
「遅ぇじゃねえか?この時間までキメまくりかい?おい、ロニーも何か言ってやれよ!」
と挨拶を交わしたいところだが、彼は豊富なメタナレッジで、既に他のメンバーからも一目置かれている存在である。
俺は迷わず言い放った。
「お疲れ様です!」
それに対し、
「あ、お疲れっす。」とMK氏。
…………。
…「お疲れ様」の「様」が無いうえに、「!」も無い。
「挨拶」…社会人の基本である。
大事なサムシング(何か)を失くしてしまった男がここにもいたか。
詰め込み教育の悲しき犠牲者を目前に、俺は日本の教育制度を嘆いた。
そして、ここから悲しみのiPodタイムがはじまることとなる。