2018/7/18 19:00〜、メルパルクホール
dance at the gathering 2018
ローザンヌ国際バレエコンクール 出場者達の祭典
公演プログラムの配布はなく、会場内にたった2、3か所に掲示されていた公演プログラム順掲載用紙にも、演目名とダンサー名しか乗っておらず、誰の振り付け作品を踊るのか不明な状態で、しかも、プログラムは覚えきれないので、誰が出てきたかを眼力のみで判定しなければいけなく、販売パンフレットもあったのですが中休みに売り切れ、購入できず。
そんな訳で、吉山シャール ルイ・アンドレが踊った世界初演『Ghost Light』は、
自前作品なのか、誰か振付師が彼に振り付けたものなのか、そんな情報すら得られずにみるという 不憫な思いをしました
上演プログラム1枚配らないで、上演しちゃうなんてありえないと思います。
ルグリのガラみたいに、1演目ごとに幕を下ろして、幕に作品名とダンサー名と、ちょっとしたメイキング動画を映す公演もある今の時代、何の説明も、紙切れ一枚の配布もせずに上演するって、どうかしています。
そのおかげで、私の周囲には、演目と演目の間に、プログラムの写メあるいはチケットサイトの画面を見るために、スマホを開く人が何人もいて、非常に、気になりました。
配布されない上演プログラム 写メ⬇︎
以下、演目毎の感想です。
Irish Dance
岸辺バレエスクール
緑のスカートに黒バレエシューズ。女子9人がフォークロア音楽に乗って登場。
次にまた女子9名。さらに男子2名と女子数名。次にまた女子が複数名と計33名で踊るフォーメーションが見どころのアイリッシュダンスでした。踊った子達の年齢は、小学校高学年から中学生あたりに見えました。
特に、選抜した生徒さん達ではなかったようですが、一生懸命踊っている様子が印象的でした。
これから、正しいポジションの刷り込みや、基礎レッスンを積んで、上手になるといいね。
まだまだ、これからの子達。
パリの炎より ヴァリエーション
森脇崇行
2018年のローザンヌで決勝まで残った(当時15歳)男子です。
「パリの炎」は、かなり、踊り込んでいるのがわかりました。上手でした。
脚の着き位置が高く、良いプロポーションで、美脚で、良い素材ながら、大腿の筋肉モリモリ化が進行形に見えました。
森脇君は高く跳ぶバネを持っていて、彼自身自信を持って高くジャンプしているように見えました。ただ、ジャンプの最高地点で、天井から何かの力で頭を抑えつけらているかのようみえるくらい身体に力みが感じられたので、もっとフワッと飛べるようになると素敵だなと感じました。
ジゼル第1幕より ヴァリエーション
木村楓音
アンディオールした脚、繊細に伸ばした爪先、バレエも丁寧で、もともと上手な子が、少しずつ、確実に成長している最中の踊りでした。
ジゼルVなので、感情が身体や表情からこぼれるように放たれるようになるて、もっと魅力的になるなぁと感じました。
メイクはナチュラルで、わたし好みのメイクでした。
ファラオの娘より グラン・パ・ド・ドゥ
井阪友里愛・太田倫功
井阪友里愛ちゃんは可憐で綺麗な印象で、太田倫功君は比較的長身でノーブルな雰囲気で、全く嫌な雰囲気がなく、とてもプレーンな踊り方でした。
2人とも、丁寧に正しく踊りました
倫功君は、基礎も整い、音に対する反応も良く、素晴らしいダンサーだなぁと感じました。
現在、フランスのオペラ・ナショナル・リンでダンサーをされているそうです。
ファラオの娘GPDDは、超一流ダンサーが、ガラ公演などで踊ることが多いので、いろいろ見ている私にとっては物足りなさもないことはなかったのですが、二人の若いダンサーが、ダンサーとしての独り立ち巣立ちする瞬間を見学したような感覚になりました。
この二人は、これからもっと良いダンサーになるなーと強く感じ、期待感と愛を込めて、拍手を送りました。
サタネラより グラン・パ・ド・ドゥ
岡野祐女・三森健太朗
三森君、頭小さくて、王子キャラでした。
バレエの方は、出が華やかで、登場後30秒ぐらいは良い感じでした。
ただ、2人とも、サタネラが必要とする動きのキレが不足していて、違和感を感じさせました。
男子のヴァリエーションのパドシゾーの切れ味の悪いハサミとか、アラセゴントゥールの際の出尻とか、女子のコツコツとポワント音、踊りが音からズルズルと遅れる様子等々、気になる点が多くありましたが、大きなズッコケはなく踊りきることは出来ました。
海賊第2幕より グラン・パ・ド・ドゥ
福田有美子・アクリ士門
とても良かったです。
綺麗な基礎と、堅実な技術で、このPDD特有の夢の中のような甘く、儚く、美しい世界観を描き出していました。
他の出演者の中には、“音楽を消して、衣装を脱いで踊ってもらい、どの作品なの何を踊っているかクイズ”をしたならば、正解をはじき出すのに結構時間がかかる例もあるとある感じたこの公演の中で、福田さん・士門君は、ものの3秒で海賊第2幕のGPDDだと分かるほどきちんと作品の質感や役が醸し出す雰囲気や感情を持って踊っていて、普段、彼らが、所属バレエ団でこのGPDDを踊ってきたことはないはずですが、今度、所属バレエ団で海賊の公演があって、ファーストキャストの降板があった時などに、繰り上がって踊れたら、きっと評判良いだろうというクオリティでした。
このクオリティなら、大満足です。
実は、アクリ士門君には、ちょっとビックリしました。私は、合同バレエの夕べか何かで、確かアレルキナーダかな?を踊ったシモン君を数年前に観て以来、久しぶりに彼を観たのですが、その時とはほぼ別人でした。当時、彼は、ぽっちゃりと見えて、太い太腿の筋肉を使ってピルエットしていたのですが、今回は、その当時のおも影は一切ありませんでした。非常に洗練されたシルエットにかわり、バレエの動きの端々に品があって、キャラクターダンサーではなくなったように見えました。この進化、素晴らしいことだと思います。
ジゼル第2幕より パ・ド・ドゥ
法村珠里・大巻雄矢
舞台、下手、奥に墓のうす暗い舞台。これを見て、内容を期待しないバレエファンはいません。
見事な舞いを見せてくれることを期待しました。前半のトリですしね
しかし、二人の一体感はとても薄く、どうも、お二人とも必死にご自身のこなすべき振付をしくじらず、手順通りに踊ることに専念しているように見えてしまったのが、残念だった点です。
動きのニュアンスから、役の内面を表現して観客を世界に引き込んで欲しいPDDですが、そこに至っていませんでした。
前半、あまり盛り上がりませんでした。
会場の雰囲気的にも、感想を語り合う姿はなく、無言でさっさと休憩に入った人が多かったです。
木村楓音・吉野文乃・宇田美久・大岩詩依・永末春
ローザンヌプリの出場経験を経て留学等で研鑽をつんでいる生徒達による後半オープニングでした。
木村楓音ちゃんは、綺麗で伸びやかさを感じさせました。
ほか男女4人、合計8人のバレエは、体操っぽく見えました。
音に対する動きの調和、ダンサー間での動きの調和がなかったので、バラバラに見えました。
ローザンヌのNHKでのテレビ放送解説者である山本氏(アシュトン・イギリスバレエ)の振付作品だそうです。
違うメソッドのバレエ学校でそれぞれ育った(育っている)バラバラの子達にエチュード作品(新作)を作って、超短期間で仕上げて踊らせるのは、いろいろ無理があったのかもしれないなぁ、見ていて想像しました。
もともと、日本のバレエ教室で、それぞれ基礎を習い、ローザンヌプリに出て、その後、それぞれのバレエ学校やユースカンパニー等に入ったということは、習得した(習得しようとしている)メソッドや流派の違いを有しているので、同じ動きをさせても、このようにバラバラと動いてしまうものなのだなぁ〜。
ということは、入団してから、そのバレエ団風に馴染むまでの学習も結構大変なのだろうなぁ〜。作品を鑑賞して楽しむというより、そんなことを考えて眺めていました。
オオトリは、登場した瞬間、デカかった
八菜さんとマルクが、登場直後、ニッコリ笑ってアイコンタクトをとると、途端に、二人の意思の流れが舞台に漂い、とても明るい雰囲気を放ちました。
マルクは、なんだか、ベストもベルトもタイツも黒で、髪は七三分けで、バジルというよりは「こうもり」の見た目でした。
マルクのキュッとしまった小さいお尻は、他のダンサーにはない美点で、私は、男性ダンサーの一番の魅力はお尻だと思うのですが、お尻偏差値は70超えだと思いました。
八菜さんは、ポワントにリボンをつけておらず、メッシュのゴムもつけていませんでした。その代わりにストレッチタイプの一見リボンに見えるゴムを二重巻きにして足首に巻いているのかな?、そんなようにみえました。ポワントもくったり見えるほど履き潰した状態のものを履いてて、足が強い人ならでは でした。
二人は、連続写真のすべてが絵になるほどのゴージャスさがありました。
ハ菜さんのキトリは、さらっと踊るジーニャやアリーナとは正反対で、意地とプライドで踊っているような印象を放っていました。
それは個性として味わえますが、パのクオリティ(振付の成功度)に大問題がありました。
マルクは、ダブルトゥールからの着地で、2回とも5番に入れられないどころか、床に跳ね返されてよろけました。
パリオペあるあるですが、ホントに技術面で下手クソな時があるのですよね。
ハ菜さんは、たびたび軸が落ち、ろくろ回しでも斜めとなり、コーダ部分の連続回転は何回か踵をついたり、回り切れずに、あらぬ方向で止まったり、並々ならぬ調子の悪さでした。
あまりに失敗が多くて、見ていて痛々しかった。
レベランスの時の笑顔が、苦笑いに見えてしまいました。
こんな下手なの久しぶりに見ました。
プログラム的には、失敗などせず、貫禄を見せてくれないといけないはずだと思うのですが、ダメでした。
もしかしたら、ユーゴが怪我していなくて、一緒に踊れていたら、安定感など全く違ったのかもしれません。
マルクは線が細く、背も180そこそこぐらいなので、マルクはハ菜さんを支えるには役不足。そのあたりが原因だったのか、リハ不足とかそういうことなのか、日本が超暑かったとか、いろいろ条件が悪かったのかもしれません。
去年の岸辺でのジゼルや、年始の渋谷での公演などでの八菜さん生鑑賞の時の記憶と照らし合わせても、ありえない悲惨な出来でした。
録音音源なのに、
S席 12,000円 A席 10,000円 B席 6,000円(全席指定・税込)とまぁまぁなチケット代金でしたので、
もうちょっと内容が良いと期待してたのになぁ〜
がっかりでした。