弥勒が柳沢を援護する~責任はすべてジーコ監督にある~ 【上級編】 | ギタリスター誕生~ギター500年の歴史がここから変わる~

ドイツワールドカップ クロアチア戦の柳沢批判の数々

 

 

弥勒の論証

  
 クロアチア戦後、柳沢はシュートミスのシーンについて『急にボールがきたので……』とコメントしたそうです。

 

 
 『急にボールがきたので……』━━このコメントがいいわけなのか本音なのかはわかりませんが、本音だったとしたら私は一理あると思います。

 

 
 柳沢ファンのおきまりの援護文句に『加地のあのボールはパスではなくシュートミスだったので、柳沢はとっさに反応できなかったのだ』というものがあります。しかし、加地は明らかに柳沢の方向を見ながらボールを蹴っているので、あれはシュートミスではなくやはりパスだったと思います。

 

 
 しかし、柳沢ファンの方々、安心なさってください。柳沢の『急にボールがきたので……』というコメントがいいわけではない可能性をこれから私が提示しますので。

 

 
 2002・10・16のジャマイカ戦からスタートをきったジーコジャパン。そこからワールドカップまでジーコジャパンは108ものゴールをきめています。ゴールパターンを分類するとこのようになります。

 

 
クロスをヘディングやボレーで押し込む━━26ゴール

 
セカンドボールを押し込む━━14ゴール

 
ミドルシュート━━13ゴール

 
スルーパスを押し込む━━11ゴール

 
個人技━━9ゴール

 
グラウンダークロスを押し込む━━8ゴール

 
裏へのミドル・ロング・タッチダウンパスを押し込む━━7ゴール

 
フリーキック━━6ゴール

 
ペナルティキック━━5ゴール

 
おりかえしを押し込む━━4ゴール

 
ワンツー突破からのゴール、ラッキーゴール(味方のシュートがたまたま体に当たって入ったゴール)━━2ゴール

 
オウンゴール━━1ゴール

 

 
 傑出した個人能力も、傑出した高さもないジーコジャパンが最大の得点源とすべき攻撃パターンは、【サイドからのグラウンダークロスを押し込む】というものになるはずです。それなら身長は関係ありませんし、難度も低く、さらに日本人らしいスピードやアジリティーもいかせます。

 

 
 ところが全108ゴール中、【グラウンダークロスを押し込む】というゴールパターンによるゴールが、たったの8ゴールしかないのです。だんとつで1番とはいかなくとも、【クロスをヘディングやボレーで押し込む】ゴールパターンに並ぶくらいの量をきめていなければおかしいはずです。

 

 
 しかし、たったの8ゴールしかきめていないところを見ると、ジーコ監督は【グラウンダークロスを押し込む】というゴールパターンを重要視していなかったということになります。

 

 
 ちなみに8ゴールの中には、イングランド戦で小野がきめたゴールや、コンフェデのメキシコ戦で柳沢がきめたゴールが含まれています。

 

 
 しかし、サイドの突破のしかたは、クロアチア戦とは大きくちがいます。

 

 
 まず、イングランド戦。俊輔が左サイド深くに走り込む三都主にスルーパスし、それを受け取った三都主が小野にラストパス。

 

 
 メキシコ戦は小笠原が右サイド深くに走り込む加地にタッチダウンパスを渡し、それを受け取った加地が柳沢にラストパス。

 

 
 どちらも難度の高いサイドのえぐり方です。1試合中、何度も何度も成功するようなものではありません。

 

 
 では、選手たちはなぜ難度の高いサイドのえぐり方をしていたのか?それはフォーメーションに原因があります。

 

 
 ジーコジャパンが使っていたのは442ボックスと3412です。どちらもサイドに1枚ずつしかないので、サイドアタックが非常にやりづらいフォーメーションです。

 

 
 もしも442フラットや4231といったサイドに2枚ずつあるフォーメーションなら、もっと簡単な方法でサイド突破を狙えるのですが、ジーコが採用していた442ボックスや3412ではどうしても難度の高いサイド突破になってしまうのです。

 

 
 これでわかるようにジーコジャパンというのは、【サイドを突破してゴールを狙う】という流れの攻撃を苦手としていて、ほとんどやらないチームだったというわけです。 

 

 
 さらにクロアチア戦で加地がおこなったのは、ワンツーパスによるサイド突破からのグラウンダークロスでした。全108ゴール中、そのような流れからのゴールはひとつもありません。

 

 
 サイドプレイヤーとFWのワンツー突破は初歩的な突破法ではありますが、おそらくクロアチアディフェンスに隙を見つけた加地の即興のアイディアだったのだと思われます。

 

 
 ただでさえFWにいいチャンスがあまり到来せず、ただでさえサイドからのグラウンダークロス攻撃をほとんどやらないチームな上、ワンツーによる突破という今まで見たことのない流れからのグラウンダークロスだった━━こうした理由が重なって柳沢はシュートミスをおかしてしまったのではないでしょうか?また、『急にボールがきたので……』というコメントも、『急に、代表の試合ではほとんど見ない流れからのパスがきたので、戸惑ってうまく反応ができませんでした……』ということをいいたかったのではないでしょうか?

 

 
 ここまで書けばおわかりのように、最大の責任者を追求していけば442ボックスと3412という時代遅れのフォーメーションを使い続けたジーコにたどり着くのです。

 

 
 鋭いサイド突破からの高速クロスは加地の最大の武器です。第3戦のブラジル戦でも見せつけていました。しかしフォーメーションが442ボックスと3412である限り、持ち味はなかなか発揮できません。

 

 
 もしも4231あたりを採用していて、右SHと加地のコンビによるサイド突破を【ジーコジャパン最大の武器のひとつ】として確立していたなら、柳沢もなにも戸惑うことなくグラウンダークロスをきちんときめることができていたと思います。すべての責任はジーコにあるのです。

 

 
 それだというのにジーコは大会後、『敗因はすべての自分の力のなさです』と謝罪するかと思いきや、いいわけと責任逃れに躍起になっていました。ジーコは監督としても人間としてもため息をつかざるをえない人でした。

 
 
 

 

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