目の前に立ちはだかる重厚な造りの扉に向かって麗子は両手を突き出した。


そのまま扉を押し開けるべく身体中の力を両手にこめる。


重い扉は振動と共に鈍い音をあげながら少しずつ開いていく。


 麗子は額から大粒の汗を噴出しながらやっとの思いで扉を開けきった。


「さあ、行くわよ」


 仲間である数人の男と共に屋敷に乗り込む。


 麗子が男たちの後ろに続いて屋敷の中に身体を入れた瞬間、ぬわあとした湿気とほこりに満ちた気持ちの悪い空気を肌に感じた。


何十年にも渡って人の手入れのされていないかび臭い匂いが鼻につく。


中に明りは無く、背後の扉から差し込む太陽の光だけが頼りだった。


ところが、あれだけ重厚な造りをしていた扉が音も無くすばやく閉じていった。


それと共に、背後から差し込む光が細くなり、あっという間に辺りは暗闇に包まれてしまった。


麗子はこれから起こる恐怖を予兆しているかのような不気味さを感じた。


 ……とここでぼくは目が覚めた。


明日はこの続きを見れるのだろうか、それとも……麗子達はそのまま帰らぬ人となってしまうのだろうか、なんだか胸の中が無性に落ち着かない気分がして朝から不快だった。