広大な草原。
泣き叫ぶ少女。
なぜ泣き叫んでいるのかは分からないが、立ち尽くしたままわんわんと叫び声を上げている。
少女は愛くるしい長い睫毛を携えたまぶたを真っ赤に腫らして涙の粒を弾き飛ばしているのだ。
その叫び声は何の障壁も無い空気を伝って地の果てまで行き届くかのようであった。
ふいに少女の泣き叫ぶ声が止んだ。
「あたしって何のために生きてるの?」
それだけ呟くと少女の小さい肩が弱々しく崩れ落ちた。
すうっと少女の姿が消えた。
しばらくして広大な草原には突風のごとく強い風が吹き抜けた。
野々の草が一瞬ざわめくように揺らぐ。
風が吹き止むと、ぬわっとした生臭い紅き匂いだけが漂い残った。