きらきらと光る神田川の水面。
ここはちょうど川が屈折しているところで、神田川を中心としたシンメトリーのような美しい眺めを堪能できるお気に入りの場所だ。
左には青々とした樹木が風になびいて子供のようにはしゃいでいる。
右に見える遊歩道に午後のひと時を暖かい太陽に誘われて散歩に出たような老夫婦が目に入った。
老紳士が川でぼちゃりと音を立てる鯉を杖片手に指差しながら、隣の老婦人に何かを話しかけている。
「わしも若い頃はあのくらい元気じゃった」とでも言っているのだろう、老婦人が口元を綻ばせて微笑を浮かべている。
ぼくはそんな長閑な光景にぼんやりと頬杖をついていた。
ゆっくりゆっくりとした空気が流れる。
こんな時間がいつまでも続けばいいな。