●タイトル グリーム族の反逆
グリーム族は、イノア王国の中で奴隷として過酷な扱いを受けていた。グリーム族は概してひ弱で勇気の無い一族だったので、長年奴隷の地位に甘んじてきた。(逆解放)そんな中、一人の勇ましい男が誕生した。男は一族を導き奴隷状態から脱しようと立ち上がる。(勇気)男は、王国軍に反旗を翻し、我らのための公平と正義の国を立ち上げると宣言した。(誓約)
イノア王国軍は男の反逆に対して徹底的に弾圧しようとする。(敵・公式)そんな中、グリーム族の仕打ちを見て日ごろより心痛く感じている人々がいた。イノア王国の神権排除政策のもと、信仰を抑制されていた修道会の人々だ。彼らは密かな食料支援などを通してグリーム族を助けていた。(仲間・慈愛)
そして、ついにはイノア王国を滅ぼしグリーム族の国、グリーム民主国を立ち上げるのであった。(創造)
●タイトル 船乗りニコ
かつてニコの母親は船乗りの男と恋に落ち、二人の間にニコが生まれた。その後、突然船乗りの男は姿を消してしまったが、ニコは母親の愛情をいっぱいに受けて育てられた。(慈愛)
しかし、父親の厳しさを知らずに育ったニコは、次第に母親に愛情に反発するようになる。
ある日、ニコが夜遅く自宅に戻ると、さすがの母親もニコを咎めた。
「ニコ、帰りが遅すぎはしないかい?」
「ぼくがこんな状態なのはお母さんのせいだ」
「そうね、わたしの教育が行き届かなかったわ。でも、わたしはニコのことが心配なの。わかってほし……」
母親が言い終わらないうちにニコは怒鳴りつける。
「うるさいな! 親父に逃げられたくせに!」
母親にとってニコにだけは言って欲しくない一言であった。
「ごめんね……」
母親は唇を震わせながら声にならないような声でその言葉だけを発した。(逆至誠)
その夜、ベットでニコは考え込んでいた。さすがに言い過ぎたのではないかと、気になって母親の様子を見にいった。すると、月の光の少ない暗がりの部屋で声を押し殺そうとして泣いている母親の姿を見てしまった。優しい笑顔で満ちた母親が泣く姿など生まれてこのかた見たことがなかった。
「そんな……おれはなんてことを言ってしまったんだ」
ニコは自分の発した言葉を激しく後悔した。
次の朝、なにごともなかったように母親は「おはよう、ニコ」とだけいい、食事をテーブルに運んできた。そんな母親の姿を見て、ニコは昨日の夜に決心した一言を言う。
「おれが必ず親父を見つけてお母さんのもとに連れてくるよ!」(意思)
その後、酒場で男に騙され続ける女航海士と出会い、共に旅に出ることになった。(仲間・逆誓約)
その女の乗る船に同船し父親探しの旅を続ける中で、全てのものを奪い破壊しつくす海賊と戦いながら、(敵・逆創造)ついに父親と出会う。
しかし、父親は頑固に「お前は母親のもとに帰れ」の一点張りだ。
「なんでだよ」とニコは反発する。
父親は重い口を開く「おれは船乗りだ。いつ死ぬかわからん。そんな男があいつの隣にいてはいかんのだ。ニコ……お前は船乗りをやめてお母さんのもとに帰ってくれ。頼む」
父親は今でも母親のことを最も愛していたのであった。(厳格)
●タイトル 山賊ロシュア
時は中世、とある国のお話。名をロシュアと言うその男は、縄張りの山に入ってくる旅人を襲ってはすべての金品を奪い生活する山賊の長であった。(逆慈愛)
そんなある日、山賊たちが自分の狩場に迷いこむ馬車の一行を見つけて、森の茂みから観察していた。豪華な馬車と共に、同行する四人の兵士も立派な装備を身につけている。貴族の一行だろうにらんで、山賊たちは多量の金品を期待しいきり立っていた。ロシュアの掛け声と友に、山賊団が一斉に襲いかかる。そして、あっけなく一行全員を縛り上げた。
驚いたことに豪華な馬車に乗っていたのはこの国のお姫様であった。姫は、気品高く山賊たちに言いはなった。「わたしの身がどうなろうとも、あなた方に決して明日はありません!」山賊たちのからかう様な笑い声が聞こえる。そして、ロシュアは姫を人質として捕らえることを宣言し、さらに言葉を続けた。「王国からたっぷりと身代金がもらえそうだな。だが姫さんよ、その後の身の安全は保証できないがな」そういうとあざ笑う。(逆信頼)
その後、山賊たちはありえない金額の身代金を王国に要求した。(逆至誠)それに憤慨した王国の国軍が山賊を襲撃する。(敵・逆勇気)あまりの多くの敵に離散してしまう仲間の山賊たち(味方・逆結合)。ロシュアは王国軍に囚われてしまった。そして、そんな囚われたロシュアに向かって姫は言うのであった。
「あなたを殺すことはしないわ。だけど、一生わたしの奴隷として仕えなさい」
そして、ロシュアは犬のように姫に仕えるのだった。(逆庇護)
●タイトル ドジっ子プリン
とある国の魔法学院にひときわ怖がりでドジっ子の見習い魔法使いプリンが居た。(逆勇気)ある日、課題でオータニ山の魔物を最低一匹倒すこととなった。男女パートナーを組むのだが、同じクラスのカインは運悪くプリントパートナーを組むことになる。そんなカインは、プリンに全く期待を持たず自分ひとりで頑張ろうとする。(逆信頼)
しかし、プリンはこの課題を何とか達成したい、クラスメイトを見返したいとカインに訴えかけた。そんなプリンの姿勢にカインも少しだけ心動かされる。(意思)
カインは、意地悪くプリンを見守りながらも徐々にパートナーとして認め始める。(味方・逆善良)
そんな二人のコンビにあっさりと敵は降参してしまう。(敵・寛容)
課題を達成したと思ったら、次の日からプリンはまたいつものように怖がりのプリンに戻ってしまった。でも、それがプリンの魅力なのかもしれない。(逆厳格)
●タイトル 意思を失った女の子
女の子は、一目ぼれした医者がいる病院に毎日通っていた。今日で連続二〇日の通院だ。そして、病院に行った帰りの突然の出来事だった。女の子は誘拐され科学者に変な薬を飲まされ、すべての言葉を理解できない状態になってしまう。(変化)
言葉を理解できないことは即ち思考能力を失うこととなる。その結果、女の子は誰とも意思疎通ができない状態。生きているものの誰とも話せない状態となってしまった。(逆結合)
そんな女の子の変化に興味を持った科学者は、彼女に様々な人体実験を試みようとする。(敵・生命)
まさにその時、大学の友人であった医者がこの科学者のもとを訪れ、異常を察し女の子を救い出す。(仲間・治癒)
女の子は、この医者の助けのもとこの状態を治そうと懸命に努力するが、自分の思考力がそれを邪魔する。女の子の脳はものごとを深く考えないように考えないようにとしてしまうのだ。(逆厳格)
科学者のさらなる誘拐や邪魔にあいながらも、医者との二人三脚によって女の子は意思を取り戻すようになる。(知恵)
そして、女の子は久しぶりの自分の意思に従うのだった。女の子は医者に結婚を申し込んだ。