●タイトル 金ではないものへ
その若者は、かつてなにが何でも金を稼ぎ成功してやる、と息巻いていたそうだ。(意思)ところが、現在の彼にはそんな雰囲気を微塵も感じさせないほど穏やかな表情をしている。(寛容)
彼が今向かおうとしているところ、それは神聖なる神の教えであったのだ。(清楚)彼のことをよく理解し、生活面でよく助けてくれる牧師に出会い(信頼)彼は成長していこうとしていた。しかし、かつて共に金を稼ごうと息巻いていた仲間がそれを止めようとする。あきらめてはならない、成功の道まであきらめるな、と強く鼓舞する(慈愛)しかし、男は物質的な金よりも精神面を鍛え、神聖なる宣教者へと成長していったのであった。(至誠)
●タイトル 不幸な女
かつて彼女には結婚まで考えている男がいた、しかし、突然その男は他の女を見つけて彼女のもとから去っていった。(逆信頼)そんな彼女は男性恐怖症となってしまい、今はどんな男とも付き合うことができないようになっていた。歳も三十代半ばだと言うのに結婚など夢のまた夢だ。(逆幸運)
そんな彼女に突然の春が来た。金髪ロン毛に定職にもつかない男(逆調和)、そんな男と彼女は付き合うようになった。その男には他に男がいることも知っている。ほとんどやけくそ状態で付き合うことにした。(逆理性)
そんな彼女は、かつての親友に出会う。親友は彼女に男と別れるように言う。あたしがいい男の子も紹介してくれると言ってくれる(治癒)
しかし、そんな親友の優しさなど彼女にはわからなかった。
彼女にはその男の子供をお腹に宿す。男にそのことを告げると、すぐさまおろすよう言われる。彼女は男に逆らうことができずに、堕胎した。その後、すぐ彼女も振られてしまい、そして自らの命を絶つ選択をしてしまった。(逆慈愛)
●タイトル 王国の栄枯衰退
かつての大賢者が建国した王国があった。(知恵)今日、この王国にとって大変喜ばしい出来事が起きた。待ちに待った王子が誕生したのであった。(生命)
この王子は、悪知恵を働かせては側近たちを困らせた。しかし、咎めようものなら王子の聡明な答えに誰も文句を言うものはいない。(寛容)
王子はすくすくと育ち、非常に頭の切れる若き国王となった。若き国王は、老体した前代国王によって停滞していた国政を大きく盛り上がらせていった。(理性)
しかし、それを快く思わない側近がいた。現状の既得権益を奪われることをなんとしても阻止しようとしていた。(逆変化)
若き国王も、古くからの側近に逆らうことができず、既得権益の保持を約束するが、その間に時間を稼ぎ、古い側近を油断させているうちに、若い側近たちを集めて、古い側近をいっせいに排除してしまった。(逆誓約)こうして、この国は優秀な若き国王と側近たちによってどの国よりも発展する王国となった。
●タイトル 村娘
とある農村に娘が生まれた。娘の家はとても貧しいたたずまいではあったが、慎ましく幸せに生きていた。(節度)そんな家庭ではあったが、娘は悪い方向に育つこともなく、親孝行の良い娘へと成長した。(理性)
娘も年頃になると、町の方の若き商人の男を連れてきた。父親は娘が可愛くて仕方なく、商人ごときに娘はやらんと言い張る。(逆寛容)
それでも隠れてつきあっていたが、男は、商売上の大失敗を犯してしまう。全財産を失うほどの取引詐欺にあってしまったのだ。(逆善良)そして、商人の男は娘を残して自殺してしまう。娘はひとりぼっちになってしまった。(逆結合)しかし、娘のお腹には若き商人との間に命が宿っていた。娘は父親の言うのも聞かずに、二人の間に生まれた子供を大切に大切に育てていくのだった。
●タイトル 貴族の息子
町外れの小高い丘に一際大きな貴族の屋敷があった。その屋敷に息子が生まれ、息子は愛ある家族に支えられてすくすくと成長した。(慈愛)息子は英才教育を受けつつ平穏に過ごしていたのだが、(理性)厳格である父親から軍隊に入隊して心身を鍛えるよう命じられる。(逆庇護)そんな息子は、貴族の家柄ということもあり、軍隊の中でも勝手気ままに過ごしていた。(寛容)しかし、軍隊の規律を重んじる将軍はそんな自由を許さず、息子を除隊してしまう。(逆変化)除隊された息子が家に戻ると、屋敷は取り壊されていた。お家取り壊しの難から息子を逃れさせるために家を追い出したのだった。息子はそれに気づいたときには遅かった。(逆幸運)
●タイトル 私の気転
私の彼氏はとても浮気性だった。可愛い女の子を見ればすぐに目線がそちらに向かってしまう。(変化)しかし、私は誠心誠意尽くしてきた。街中で他の女の子と一緒に歩いているのをしばしば見たりしたけど、私は何も言わなかった。(至誠)いつも、こんな相談を親友の美紀にしている。美紀は私の話を聞きながら共に怒り、彼氏の愚痴を聞いてくれた。いつも頼ってしまう親友だった。(清楚)しかし、昨日、その美紀が私の彼氏と一緒に歩いているのを見てしまったのだ。(逆庇護)(逆信頼)私は怒りのあまり包丁を鞄にしまい、いつものように相談したい旨を告げて美紀の家まで来た。チャイムを鳴らすと美紀の声と共に、扉の鍵を開ける音がする。私は鞄から包丁を取り出し、握り締めた。扉が開くとふいに「誕生日おめでとう!」と言う声と共に微笑んだ美紀の顔が私を迎えた。部屋の中に居た私の彼氏も声を出す。「今まで心配させてごめんな。でも、どうしてもお前を驚かせたくて美紀ちゃんに協力してもらったんだ」
私は握り締めた包丁を手に言った。「ちょうど良かった、ケーキ切るために持ってきたのよ」(理性)
@@一押し
● タイトル 人口計画
この世界では完全な人口計画のもとに社会が営まれていた。(秩序)この人口計画を支えているのは、人の生産工場だ。今や母体から人が生まれるとは誰も思っていない。人は工場から生まれるものなのだ。(創造)しかし、完全な計画も思わぬ事故で人が減ってしまうことがある。人を追加生産するにしてもコストがかかるのだ。(逆治癒)
そんな折、とある科学者が画期的な方法を提案した。壊れてしまった人から使える部品を採取して人を生産すればコストが軽減できると言うものだ。(逆慈愛)(結合)
こうして今日も無事、人口計画に基づいた人の生産が行われている。かつてロボットと呼ばれ物扱いされた人々の社会がここにある。(生命)