旦那が母国に帰って、もうすぐ1か月が経とうとしている。
新しい仕事を始めてからは2か月が経つ。
ビザが下りるまで、私は日本で、彼は母国で、それぞれの人生の準備をしようと決めた。
おそらく最低でもあと2か月はかかるだろう。ビザが手に入るまで・・・
新しい仕事はきついけど楽しい。
初めて男女比が圧倒的に男性の勝る会社で働くことになった。
これまで5年間、ずっと英語を使う仕事関係だったが、この会社は違う。
日本の縦社会と、古いしきたりとかをちゃんと頭に入れとかないといけない、
冠婚葬祭関係の仕事。
全てが新鮮だ。
研修でつかせてもらったNさんは、30代で既婚者。
背が高くて普通にカッコいい。
仕事もめちゃめちゃできて、初めて会った時以来すごくフレンドリーに接してくれる。
たまーに現場が一緒になって、その時はすごく嬉しい。
「あっ」て思う。
Nさんの方も合間を見つけて話しかけてくれる。
でもお互い結婚してるから、一線は超えないようにしてる。
必要以上に近づかないようにしている。
だってダメだから。。。
今月初めに仲良くなった7歳年下のTくんは、まつ毛が長くてお洒落さんでイケメン。
弟をイジる感じで最初は話しかけて、人見知りな彼の心を開こうとした。
部署が違う彼とはほぼ現場で会うことは無い、はずだった。。
出会ってから数日後、奇遇にも現場が一緒になった。
仕事中にたわいもないことを話した。
「お母さんから何て呼ばれてんの?」
「普通に呼び捨てだよ」
7歳下なのに全然敬語を使う気がないらしい。
そこがまたコイツの可愛いところなんだけど。
外回りにいくことになり、別々になった後、そのTからメール。
「今日仕事の後なんか予定ある?」
特になかったから、そう告げると、
「飲みにでも行く?わら」
と返信。
でもさすがに2人きりは、人妻だし気が引けると思ったのか、
もう一人同僚を誘った。
Tくんはリミッターが外れたように酒を飲んでいた。
酔っぱらった彼は、別人だった。
ずっと私に抱きついてきて、甘えた。
そして彼とは、帰りの電車の方向が一緒だった。
電車の中で気分が悪くなった彼は前のめりになり、椅子から転げ落ちそうだった。
『さすがに、これは危ないんじゃないか。。。』
彼の駅で一緒に降りた。
足元がフラフラで、自分の荷物も持てない位。
「家までどのくらい?」
「んーー10分?いや、5分」
肩を貸し、2人ともスーツ姿でフラフラと歩いた。
電車に乗った時からトイレに行きたかった私は、彼の家に着くなり、
トイレに直行した。
トイレから出ると、彼はソファーに横たわっていた。
「じゃぁ、風邪ひかないようにね!」
「ん・・・待って」
床に押し倒された。とにかく無心でキスをしてくる。
力が強い。。。
「ダメ!T君、落ち着こう。ね。苦しいよ。。」
後から聞いたが、彼は柔道経験者で、その時私は柔道の技をかけられていたらしい。
全然動けなかった。
またキスをしてくる。手がシャツの中に入って行くのがわかった。
「無理無理無理無理!!!」
夫の顔がずっと頭に浮かんでいた。『やばい、レイプされる・・・』
「ダメだよ、T君。ね。これじゃレイプになっちゃうよ。。。」
”レイプ”という言葉に、彼の腕が緩んだ。
そのすきに彼から逃れ、荷物を全部持ってその家を出た。
色んな感情が胸の中にあり、冷静になるまで時間がかかった。
後ろは振り向かず、ただただ駅に向かって歩いた。。。
電車の中でも動揺は止まらなかった。
とにかく普通の関係に戻らなきゃ。
彼がさっきの記憶が一切ないことを願い、
「飲ませすぎてごめんね。止めればよかったね。」
と、当たり障りのないメールを送った。
翌朝4時過ぎごろ彼からメールがあった。
「ごめん、全然覚えてない。朝起きたら家の外の道でスーツのまま寝てた。
でも家まで送ってくれたんだよね?迷惑かけてごめんね。」
彼は、覚えてなかった。。。
なぜか複雑な心境になった。
純粋でまだまだ青い彼の心に、私の心がいろんな形をして映し出される。
旦那が日本を離れて、まだ2週間しか経っていなかった・・・
