「めろらんは、
『こいつはもう死ぬんだな』って
思ってる。」
むろらんが発したその言葉に、完全に思考停止するわたし。
――――― 図星、だった。
自らの意識には上がっていなかったが、
私の言動は、無意識にそれを示していた。
それを、見透かされていた。
そんなわたしの目をまっすぐに見ながら、
むろらんは、一気に言葉を続けた。
めろらんが『大丈夫』って
言ってくれないと、
誰もそう言ってくれる人が
いなくなる」
――――― っ![]()
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わたしは目を、見開いた。
その瞬間、その一言で。
思考停止していたわたしは、自分の役割を、思い出した。
いつだって、むろらんに「大丈夫だよ」と言ってあげること。
言えるだけの根拠をもつ自分でいること。
そう、自分に課していた。
なのに。
もはや、嘘でもそう言えなくなっている事態に、
自分で何とかしなじゃともがき、あがいていた。
―――――― 一番もがき苦しんでいたのは、彼自身だったのに。
彼の生き死にを、どうにかできると思っていた自分を、恥じた。
神様じゃないのに、神様になろうとしていた。
そんな自分を、恥じた。
そもそもわたしは、バカ正直なんだ。
むろらんに隠し事なんか、できやしない。
そんなむろらんだって、
わたしに隠し事はしなかった。
「どうせバレルから」と、正直に打ち明けてくれた。
そんな性格を、お互い認め合っていた。
むろらんはだからこそ、わたしを信頼してくれていたのに。
自分の命を懸けて、わたしの願望を受け入れて、
自分の神様になっていいよと、許してくれたのに。
なんということか、わたしは。
むろらんの死の気配を感じ取った途端、
その圧倒的な支配力に怯え、臆病になっていた。
自分を、信じれなくなっていた。
むろらんはそれらのわたしの心の動きを、
敏感に察知していたのだ。
一瞬でそれらを理解したわたしは、
思考するより先に、口が、動いた。
「確かに、焦っていたかもしれない。
でも、今はむろらんの生命力を信じるよ」
「むろらんは、大丈夫だよ」
決して多くはないその言葉に、ありったけの想いを載せた。
本心だった。
だって、たった数時間前に、
むろらんの生命力を信じると、
決めたばかりだったんだから。
――――― むろらんは、ただ、微笑んだ。
その時の彼の笑顔を、忘れない。
私が動揺すると、彼も動揺する。
私が「大丈夫」と言ってあげないと、彼は孤独になってしまう。
だから、どんな時でも、「大丈夫」と言うんだ。
むろらんを、決して孤独にはさせない。
孤独になんか、させてあげない。
私が、いるんだから。
彼を孤独にしたのは、後にも先にも、この時だけだと、思いたい。