「それが本当だったら、
めろらん今頃どっかの国に囚われて、
殺人兵器にでもされてるよ」
むろらんが癌に罹患し、入院していた頃。
手術、3日前だった。
私の吐露した不安に、笑ってこう言った。
その不安とは、こうだ。
「むろらんが癌になったのは、私のせい」ではないかと。
馬鹿みたいな話だが、当時の私は本気でこう、思っていた。
むろらんに出逢う前、短期間で身内・親友など近しい人間を4人、
癌が原因で亡くなるのを目の当たりにしていた私は、
「私と仲良くなる人はみんな、癌になって死んでしまう」
「私が何か悪い影響を与えているのではないか」と思いつめていた。
そして、むろらんが癌の診断をされた時、
その想いは疑念から確信に変わり、罪悪感にさいなまれた。
それに耐え切れなかった私は、
むろらんに、こう言った。
「むろらんの癌は私が、原因かもしれない」と。
少なくとも、大きな手術を目に前にした当事者に、言う言葉ではない。
が、思いやりよりも罪悪感の方が大きくなりすぎて、言葉が出てしまったのだ。
いっそ恨んでくれ、とも思っていた。
そして、一通り私の話を聴いたむろらんは。
―――――― 笑い飛ばしてくれたんだ。
「親しくなるだけで癌になるんだったら、すごい兵器になるよね」
「そんなすごい人間を、どっかの国が黙って見過ごすはずないじゃん」
!!!!!!!!!!!
目から、鱗だった。
ああ、そうだった。
私って、そんなにすごい人間じゃない。
ああ、良かった。
私って、
大したことない人間で、
誰も癌にはできないけれど、
でも。
あなたを、
笑顔にすることは、
出来る。
それだけで、充分だ。
それが私の、ただひとつの原動力となった。
