君の中のカナシミを喜ばせて
君の中のクルシミを勝ち誇らせて
カナシミの深海を漂っていたとき
このカナシミが一生は続かないことを
どこかでわかっていた。
そのカナシミを癒していくために
膨大な時間が続くということは
ずっと はっきりと
わかっていた。
その時間が耐えがたかった。
その時間を
一人きりで過ごすことが辛かった。
それでも、
私のカナシミは
私から外へと放たれると
「自業自得」
そんな一言で片が付くことを知っていたから。
そんな言葉を聞くことは、もっと堪えられなかったから。
実際に、その言葉を受け取ったこともあったから。
私は、一人で耐えるしかないと思った。
残念ながら。
心底残念ながら。
いま、私はその言葉を自分自身に向けて発する。
私のそのカナシミは
私の自業自得で起きたことだと。
でも、
そのカナシミを責めることも
なかったことにすることも
もうしない。
ただ
起きたこと。
そのカナシミがあったからこそ
人の悲しみを理解できる、想像できる自分であると思う。
カナシミは
ずっと 私の中に居続ける。
それは
癒えていないということではなくて
私にそのカナシミをもたらした経験も
私の一部である
ということだと思う。
消すことは しない。
なかったことに しない。
忘れない。
ずっと感じることを許すし、
ずっと感じることを問題にしないし、
それを持ったまま、幸せになるし、なれる。
今はもう
そのカナシミが暴れだすことはなくて、
それが「癒えた」という状態なんだと思う。
でも、そのカナシミが
私の中にいてくれることは
ずっと感じる。
きっと
いまの私が嬉しいと感じるときは
そのカナシミが喜んでいるんだと思うし
誰かの気持ちに共感しているときは
そのカナシミが寄り添いたがっているんだと思う。
カナシミから逃げたくなること
カナシミを感じなくなりたいと思うこと
きっと たくさんあるんだと思う。
でも
負けないで欲しい。
カナシミに
負けないで。
ということではない。
カナシミと
闘って。
ということではない。
カナシミは
敵ではなくて。
カナシミも
あなたの一部で。
だから
カナシミを悪いものだとしようとする、自分に負けないで。
カナシミを理由にしようとする、自分に負けないで。
うまく笑えないときだって ある。
元気が出せないときだって ある。
でもそれが、自分に負けることではない。
自分に負けることは
何かのせいにすること。
誰かのせいにすること。
自分の弱さに負けること。
カナシミが喜ぶ日まで、一緒にいてあげる。
クルシミが、自信を取り戻すまで、そばにいてあげる。
カナシミ
クルシミ
のせいにすることに 逃げるな。
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