先日美容院で雑誌をぱらぱらめくっていたら、
ある女優さんが本を紹介しているコラムが目に付いた。
 
山内マリコさん 「あのこは貴族」
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そのコラムで紹介されていたんだけど、
私も最近この本読んでいて、とても好きな作品だと思った。
 
 
だからその女優さんのコラムを読んで、とってももやっとした。
「この作品の良さが全然伝わってこない!!私の方がもっとこの作品の魅力伝えられるのに!!!」
 
 
 
だからそれを私の世界で思い切り表現しようと思います。
 
 
 
 
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あらすじを書くのは嫌いなので、文庫本のうらのあらすじをそのまま載せます。

 

~あらすじ~
東京生まれの箱入り娘・華子は、結婚を焦ってお見合いを重ね、ついにハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。
一方、地方生まれの状況組・美紀は、猛勉強の末に慶応大学に入るも金欠で中退。現在はIT企業に勤めながら、腐れ縁の「幸一郎」との関係に悩み中。
境遇の全く違う二人が、やがて同じ男をきっかけに巡り合い―。
”上流階級”を舞台に、アラサー女子たちの葛藤と開放を描く傑作長編。

 

 

 

このあらすじがもはや、この小説の良さをまったく表していないので気に食わないのだが、

(本当にこの本売る気ある!?と問いただしたい)

あらすじなので致し方ない部分もあると思う。

このあらすじを読んで、女同士のドロドロした三角関係の恋愛小説だと思わないでほしい。

これは女性たちが自分の人生を切り拓いていく物語なのだ。

 

 

 

先にでてきた華子は箱入り娘で、親から何もかもを与えられ、そしてそれを当たり前に享受し、

自分のいる世界しか知らずに生きてきた。

そして結婚すれば、それ以降は同様のものを旦那様から与えてもらうものだ思っている。

親からもらうか、旦那様からもらうかの違い。

華子は早く結婚をしなければならない、と自らを追い詰める。

なぜなら、華子にとっては結婚しなければ生命の危機にさらされるということになるから。

 

 

 

彼女のことを馬鹿女だと笑える人ってそんなにたくさんいるだろうか?

誰だって、自分が生きてきた世界がすべてだと思い込んでいるもの。

素直に自分の世界を受け入れてきた結果、いわゆる「世間知らず」になってしまうことは

多かれ少なかれ誰にだってあることだと思う。

 

そして華子は、婚活を通して世間を、自分を知っていく。

自分がとても狭い世界で生きてきたこと、じぶんがからっぽであることを薄々感じながらも、

同じように狭い世界で生きてきた

「青木幸一郎」と出会い、無事結婚へとこぎつけた。

はたから見るととてもお似合いの二人。恵まれた生活。

でも、華子は幸一郎からの愛情を感じられることができず、

寂しく短い結婚生活を過ごし、結局離婚という道を選ぶ。

 

 

離婚を「失敗」と表現する人がいる。

婚活に励み、「成功」して結婚し、

一生何の不自由もなく生活できる立場を得た後、

しかしそれを捨てた華子の選択を、「失敗」と言う人もいるだろう。

けれど私には、彼女の結婚も、離婚も、何の「失敗」にも思えない。

彼女は知っただけだ。誰かからの愛をただ待ち望むだけの生活よりも、

自分で悩み苦しみながら自由に進んでいく人生の方がいい、ということを。

そしてそれを知った以上、もう知らなかった頃には戻れない。

進むしかない。

世界が、自分の考えていたものよりもずっと大きいことを知ったから。

それの何が「失敗」なのだろう。

私には明るい未来しか見えない。

 

 

 

華子の狭い世界に風穴を開けてくれたのは、美紀だった。

華子は地方上京組の美紀から、自分とはまったく違う視点の考えを聞き、知り、成長していく。

美紀は、上京し、世間の荒波に揉まれて戦ってきたサバイバー。

たまに帰省する地元の閉鎖的なスタンスに違和感を感じる、現代の等身大の女性として描かれている。

華子と真逆のタイプの女性だが、決してただ強いだけの女性ではない。

彼女もまた葛藤したり、失敗したり、自己嫌悪に陥ったり、

迷いながら人生を進んでいる女性の一人なのだ。

ただ進み始めた時期が華子よりも早かった。

世界が広いということに気づいたのが早かった。

そして、世間を知っている分「社会ってこういうものだよね」という諦めの気持ちも味わっている。

 

 

 

一見すると、華子が一方的に美紀の考え方や生き方を知り成長しているかのように

思える。

でも、私はそれは違うと思う。

華子は、外の世界を知らない分、素直で純粋な心を持っている。

擦れていない。

その素直さに、美紀も少なからず影響を受けているように私には思えた。

 

 

 

なぜならば、本来女性は華子の部分と美紀の部分の両方をもともと持ち合わせているから。

素直で純粋な感情と、実社会で生き延びていくためのたくましさ、聡明さ。

だから、この小説を読んだ女性はきっとどちらの気持ちにも共感できると思う。

華子と美紀、別世界に住む二人がお互いに出会ったことで、

自分の中に眠っていたお互いの要素を思い出すことができて

その後自分の人生をより自分らしく生きることができるようになっていく。

 

 

今までは「どっちか」で語られることの多かった女性の世界だが、

どんどん「どっちも」を選べるようになっている。

どっちの要素も活かしている人が、どんどん輝いている。

この作品は、

今を生きる、自分を知る、自分を生きる、そんな道を選ぼうとしている人には

間違いなく大いに共感し、参考になるところがたくさんある小説だと私は思っている。

ただの婚活・結婚・離婚物語じゃないんです。

 

 

 

華子と美紀は三角関係の恋敵として出会ったけれど、

お互いを知り、現代を生きる同志となった。

そんな二人の未来を想像したとき、

それぞれの人生はまったく違うけれど、分かり合える女性同士として再会していたら素敵だなと思う。

 

 

 

映画化も決まっているみたいで、とても楽しみです。