ライトニングコネクタの修理
OEMのLightningコネクタが壊れた。 IC回路だ。 4本の線、どう繋ぐのか? 上から順に、GND,D+,D-,5Vと刻印がある。 USBの規格をネットで調べる。 1 赤(5V) 2 白(DATA-) 3 緑(DATA+) 4 黒(GND) 半田づけ。 充電も同期もできた。 おまけ。以前は花だけだったのだが、鶴を追加したらちょっと品がなくなった。

3月16日 15:09 アメーバブログ



OEMのLightningコネクタが壊れた。


IC回路だ。


4本の線、どう繋ぐのか?


上から順に、GND,D+,D-,5Vと刻印がある。


USBの規格をネットで調べる。
1 赤(5V)
2 白(DATA-)
3 緑(DATA+)
4 黒(GND)

半田づけ。



充電も同期もできた。


おまけ。以前は花だけだったのだが、鶴を追加したらちょっと品がなくなった。



2-7 出島の論争

小説「ガルガーレラ」

出島。江戸時代の西洋との接点。一通りの展示を見て回った。古い洋館を利用した店に入り、三人ともビールを注文した。智美が歴史の解説をする。
「ふーん。」直樹が感心する。「詳しいな~。」
「あのね、今のは高校の教科書レベルよ。ナオが知らなさ過ぎ。」直樹の歴史の無知に智美は驚かない。もともとそのつもりの説明だ。
「鎖国のせいで立ち遅れて、黒船にビックリした、ってことだよね。」直樹が単純化した。
「一応、幕府は情報だけは持っていて西洋の帝国主義のこともわかっていたんだけどね。」智美が補足を加える。「いずれ日本に侵攻して来る予測もあった。でもそれがどういうことか、それを幕府の中心は理解できなくなっていたと思う。薩摩藩や長州藩の方が状況を理解していたから、それが明治維新の理由だったと思うよ。でも閉鎖的だったからこそ日本独自の文化が江戸時代に発達したのよ。250年の間戦争は無く、ロス無しに豊かなものを培うことが出来た。幕府の統治は中央集権的ではなくて、だから地方の独自の発展もあった。機械を使わない技術、つまり匠の技が洗練された。その伝統が今でも日本の強みになってる。ファッションの世界だって、日本の女子高生は世界一おしゃれよ。第二次世界大戦から急速な復興を遂げて、物が豊かになって、おしゃれをする余裕が生まれて、江戸時代のポテンシャルが表に見えるようになったのよ。立ち遅れた領域と最先端と両方があったと思う。」
「ふーん。僕は日本固有のもんには特に興味なし。」直樹が偏った見解を述べる。「世界共通の物がいい。日本のファッションが優れているんでもいい。でも別に日本でなくてもいいよ。僕にはパトリオティズムないし。土地固有のものも素晴らしい。それも大事でそれなくして世界共通もあり得ないけど、何だろう、ポリシーかな。日本と他の国を比べることにも関心が無い。地理的に文化的に違う以上、当然差異が生じる。その差異は変化を駆動するだろう。だけど違うところに興味はない。プロセスや経緯に関心はない。成り行きに支えられたものは要らない。最終的に差異を超えて同じく成り立つ真理が重要なんだ。」
「でもそれじゃ世界が理解できないんじゃない?」智美は少し歯痒い。
「それは世界の何を理解したいかに依存するさ。僕は人間的に理解したいわけじゃないんだと思う。人間的に解りたいという願望は、この宇宙に存在する全てのものを理解したいという欲望の一部でしかない。もっともこの理解に目的があるわけでもない。ただ僕にとっては普遍的であることが重要なんだ。何故かわからない。トモにも分からないだろう。でも違うトモだから話してる意味がある。」
「ナオは極端で、私とは全然違ってる。要するにあり得んくらい間違っている。」
「俺には二人の話がどっちも面白い。」ヨンギが加わってきた。「俺は自分のために何かを手に入れたいと思ったことがない。どうしたら母が喜ぶかだけが重要で、どんな知識もそのための手段でしかなかった。俺からすれば二人はほぼ一緒だぜ。二人ともなんの役にも立たないことを考えてるし、知ろうとしている。」
「そうだろうな~。」直樹はヨンギの亡命の勇気と能力に一目置いているし、母親への思いを率直に抱き語る姿に感銘を受けている。「ロンのタフな経験と比べたら僕たちはぬるま湯の中で育ったと言うべきだろうなあ。でもぬるま湯の中は実はそれなりに難しいんだぜ。向かうものが抽象的になるんだ。食べるために全労力を使っている時には考えない。食べるために頑張らなくてもいい分、それ以外のことをする。それがスポーツやお金であれば、思考は内向的にならない。でも僕みたいなのは、要するに実利とは別のことを求めてるからね。こういう状況では一気に何かが変わることは無い。洗練や蓄積という地味な活動が主流なのだから。ただし微妙な差異が大きな意味を持ったりするので、せめぎ合い、闘争は激しい場合があると思う。ここはそういうフィールド。そういうゲーム、あるいは試合。または闘争。別に楽じゃ無いんだよ。」
「ロンはタフでマザコン。マザコンだって楽じゃないよ。」智美の意味不明な割り込み。
「ここには、イジメがある。自殺がある。食べるための活動の相対的なプライオリティーが低くなっている。人と人の相互のミクロな関係性の比重が高くなる。」直樹は智美の割り込みをスルーした。
「悪いが全然分からないな。でもまあそういうものとしよう。」ヨンギの正直なところ。「じゃあ、唐突だが、ナオは人を殺す事をどう思う?俺はいかん事だと思う。そうしなければ自分がやられる時を除いてな。普遍的な回答を持ってるのか?」
「答えてもいいが、その前に一つ訊く。何故それを訊くんだ?」
「そんなもんねえ。テーマは何でもいい。人殺しは悪いに決まっている。直樹の答えが違ってたら面白え。」
「軍人がそれを言うか?人を殺すのが仕事だろ?」
「そんな幼稚な挑発するんなら質問を取り消すが?」
「すまん。礼儀を欠いた。」直樹はヨンギのコントロールに引き戻される。「原理的に言うと殺人はありだ。それを否定すると人類は無い。生物が無い。殺人を悪として抑制するのは、逆説的だが、人類の存続にそれが有利だからだ。今の人間がそう考えるのは、端的にはそう考えたから生き延びたと言うだけのことだ。何故それで生き延びたかは没価値的に客観的な証明を要するだろう。その証明は例によって質的ではなく量的だ。モデルと方程式から統計的に行われる。だが、そうするまでもなく、人は一人では生きられなかった。助け合う集団のほうが殺し合う集団よりも存続する力を持つのはだいたい想像がつくのでは無いか?その一方で殺し合いもして来た。やはりその方が生存上有利だったからだ。単純な殺し合いは少なくなり、より複雑で間接的で緩慢な殺人を今もやっている。心貧しい金融屋が太り、優しい誰かが破産して首を吊る。アフリカが飢餓で苦しみ、日本で大量の食べ残しが捨てられている。事実上社会は殺人を認めている。それを誰も有効に是正してない。言っていることと行われていることは矛盾している。そして僕個人の信念としては殺人は悪だ。殺人を認める社会になんか住みたくない。カミュがペストの中で言う。明識が必要だと。その明識とは例えば資本主義的自由を人命よりも優先している現実を認識することだ。そうしなければ不幸を除去できない。原理ではなく実践選択なのだ。これでいいか?分かるか?」
「分からん!」ヨンギは面白がっている。「要は殺人はいかんと言っているように聞こえるが?」
「違う!全然違う。殺人はいかんとしているだけじゃだめだ。アウシュビッツもヒロシマナガサキも南京もゲルニカも殺人を悪とする価値観と法を持った国家の仕儀だ。」
「ますます分からん!」ヨンギもう一回イジってみた。
「分からんでも構わん。てめえが分かる分からないによって真理が変わることもない。手とり足とり教える気はねえ。」直樹は面白いようにヨンギの罠に嵌まる。
「ナオは相変わらずバカねえ。そこで打ち切ってどうするの?」智美が介入。
「あ?そういうことじゃない。これは寧ろ礼儀だ。」直樹の屁理屈。
「まあ、そうなんだろうけど、なんか、ロンとナオはいい感じだとは思うんだけど、そろそろやめない?ロンはどう?」
「分からんけどこいつ面白れえ。確かに俺も天下りだが、ナオも説明になってねえ。」
「おう、説明やら証明ならその気になりゃ出来るこった。モデル計算するからマシン買ってくれ。やって見せるさ。でも今の感じじゃロンにはまだわかんないだろう。」
「ああ、またやろう。面白かった。ありがとな。」ヨンギは前より直樹が好きになっているようだ。
「ロンの方が大人ね。ナオも大人になろうよ。」
「そういうのダメ。ごめん。大人にはなりたかないって言ってる自分が目に見える。自分がダメなのも知ってる。ガキだよな。悪いと思うんだ。みんなのお陰で成り立ってるのも百も承知。でもそれを先に立てると僕は何も主張できなくなる。大げさにいうと、たとえ孤独に死ぬるとも、なんだ。二人の忍耐に感謝するってば!」
「あら可愛い。ロンはどう?」
「どうもこうも、こいつと付き合うってのは、こういうことだろ?
トモもこういうの含めてナオが好きなんだろ?」
「言うわね?でもロンがそういう人で良かった。そろそろ出よっか。」
「昼間っから大分酔っ払って来たしな。ナオはアルコールに弱過ぎだよ。」
「人の肉体的なことに言及するなよ。まあ、いいけど、そういうことで。」

その後、三人は数日を九州で過ごし、逸郎ともう一度会い、さらに直樹のポンコツBMWで山陽道を走り、ヒロシマで再度原爆の記憶を学習した。智美は一旦帰省し、直樹はロンとアパートでハルと共にヨンギの母親の故郷のリサーチをし計画を練った。夏の後半に智美と再び合流して福井へ行った。

2012/3/8 初稿完了

2-6 宿題と約束

ガルガーレラ

全部のバンドが演奏を終え、ライブハウスはバータイムになった。逸郎は水面下ノ音について三人に紹介的な説明をする。トモノはキーボードの奏者であるだけでなく、作曲家であり、編曲家であり、プログラミング担当でもある。全体の編曲は重厚であるが、旋律は素直でシンプルである。ヒカリは曲を作らぬでもないが、基本的にはドラムスのみである。そのイマジネーションは彩り豊かで、演奏技術は極めて高い。結果としてとても人間的なものを彼等の音から感じるのだという。「血と肉と骨があんだ。熱いんだ。必死に叫んでたりはしねえんだ。生きていることは凄えこったと聴こえんだ。」

トモノとヒカリは機材の片付けを終えて逸郎に来場の礼を言う。逸郎は三人を甥とその友人で、九州旅行中と紹介する。逸郎がトモノと直樹と下ネタで盛り上がっていた。その横で智美は音楽家でいるとはどういうことか、気になった。彼等は若者ではない。智美からすれば遥かに立派な自分の足で立っている揺るぎない大人だ。勤め人でもなく商売人でもない。頼りになるのは究極的に自分の才能だけだろう。学者でもある程度のレベルを認定されていれば贅沢は無理だが安定した地位を手に入れることができるだろう。不安にならないのだろうか。「すみません、ちょっと変なこと聞いてもいいですか?」智美がヒカリに問う。「あ?どぞ!」ヒカリは魅力的な演奏の時とは別の謙虚でかつ泰然とした雰囲気で智美に接している。特にファンサービスという感じでもない。「ドラムをやめようと思ったことは無いのですか?」いささか無礼な質問だが、ヒカリは気を悪くする風もない。「考えたことないすよ。ドラム以外の何をしたらいいか分からないし。」即座の明瞭な回答だった。ヒカリが言うには、彼女は小学生の時にドラムを始めた。高校の時に家を離れてバンドに加わった。以来所属したバンドは一つでは無いが、ずっとドラムを叩いてきた。ドラム以外にことを考えたことはない、と。智美は感服し感動した。ヒカリの漂わせている柔らかな空気の奥に、余りにも決然としたものがある。しかもそこに切迫感はなく、お腹が空いたらご飯を食べるような自然さしかない。それはそういう事か。その答えで十分だった。あとは、服の話や化粧品の話を楽しんだ。

ヨンギにとってはここは未知のものだった。これが日本か。母の故郷か。音楽を演奏する人がいて、それにお金を払って見にくる人がいる。ここにいる人は上流階級ではない。しかしそうして飢えることもない。自国でも人は集まり、酒を飲み、歌い騒ぐが、それとこれとは違う。国が国として豊かであるとはこういうことなのか?自国では皆が過酷な労働をし、しかし、餓えに怯えて生きている。

バンドに別れを告げ、直樹達は逸郎に連れられて居酒屋に移動した。直樹は昼に見た原爆の惨劇と人類の叡智の未熟について話を始めた。「その通りだ。」逸郎が肯定する。「お前がそう考えたということは一瞬で蒸発させられた人達にとって無意味ではないな。」そして、長口舌。
「核兵器は長崎を最後に二度と使われてはいない。そこに僅かな理性あるいは学習を認めることができる。が、大量の核兵器が作られ、旧型を廃棄しつつも新型の開発は続いている。使われない保証はまだない。核の廃絶の主張は信念を持って続けなくてはならない。あれば使うだろう。人類はそういう低レベルだ。国家間の戦争が減ってもテロによる使用があり得る。大国の核がなくなってもテロリストが原爆を製造し使うことはあり得ることだ。世界規模で見て戦争は終わっていないし、凄惨な死もなくなってはいない。化学兵器も細菌兵器もある。そんな愚かなものを作り続けている。それで身が守れると考えている人がいる。単にそれで金儲けをしている輩もいる。馬鹿げた世界だ。」
「敵が武器を持っていたら対抗する武器を持ちたくなる。誰も持つなと言っても、誰か持つかもしれないと思えば、愚かだとわかっていても持ちたくなる。そうではないのか?」
「あるいは自分からしかけることはないが、仕掛けられないために武器を持ちたくなるのではないのか?」
「戦争、あるいは、テロは政治的な手段であり、皆殺しが目的ではない。ある程度、殴り合ったら、交渉が始まる。しかしその前に大量に殺される。原爆は戦争の早期終結のために有効だったのではないか?広島と長崎の犠牲が無かったらより多くの人が死んだのではないか?」
「地球上から不幸が消えても宇宙からの脅威に対抗するためにやはり人類はより強力な武器を求めるのではないか?」
「アニメじゃないが、宇宙にコロニーができ、地球と揉め事が起きるのではないか?」
「宇宙最強の軍事力を持たなければ達成できないのではないか?」
「しかし同じ宇宙に同じことを考える相手がまた無数にあるのではないか?」
「永遠に原爆の犠牲者との約束を果たすことは不可能じゃねえか?」
やっと逸郎が一息ついた。
「オジキ、何のつもりだ?本心じゃないだろ?挑発か?教育か?どっちにしろ、いちいち反論する気にはならねえ。酔っ払いオヤジめ!」
そう反応しながら、直樹は宿題が出されたことを理解した。意気消沈している場合ではないんだ。クソオヤジめ。逸郎はそれ以上何も言わなかった。直樹を愛し、直樹に期待し、しかしまた単に酔っ払って面倒臭くなってもいた。
「へん!情けねえ!」
逸郎は急にそう言って卓に突っ伏しイビキをかき始めた。逸郎は酒に弱くなり、体力のなくなった自分に向かって情けないと言ったのだろうか。直樹に言ったのだろうか。

「ハル、君達を作った人はどうだったんだろう?」ハルがそれについて何も答えないことを知っていたが、直樹は喚いた。
「その答えは君の中に、君たちの中にある。」予想通りのハルの反応。
「知ってら、バーカ!」直樹も十分酔っていた。直樹もそれを自覚していた。一体これはどういう心理のシーケンスなんだろうと思った直後に直樹も意識を失った。ヨンギはまだハルのことを知らない。直樹の独り言として聞いた。

「良かった。叔父さんのお陰でナオ、大分元気になった。」智美は素直に喜んでいた。
「トモはどうなの?」ヨンギが尋ねた。
「ナオのように大きくは考えない。日常の些細なことだけ考える。人を信じる。今のを聞いて、もっともっと強く信じなきゃと思った。」智美の中でも原爆についての思考があった。その進展を報告している。
「俺には今日のことが全部分からない。」ヨンギがグラスを見ながらユックリと語る。「自分のいた場所の身の回りの飢餓と不幸、日本人の子供である差別と監視、それでも親切にしてくれた人がいた。優しい母がいた。母の愛に応えたかった。頑張って軍の中で出世した。そのためになんでもした。大事な友人を売ることさえした。母が死んで自分の未来が消えた。母の故郷に行けば何か見つかると思った。脱出に失敗して死んでもいいと思った。そこに行き、そこで暮らし、母が見たもの、その中で母が育ったもの、それを知りたい。どんな風に生きたら母が喜んでくれるのか、それを見つけたい。自分のことだけで情けないが。」そして、マッコリを一口呑んだ。ヨンギはアルコールにも強かった。万事に弱っちい直樹と好対照である。
「目一杯協力するよ。」それは智美の本心だった。彼の話をハルから聞かされた時にそうすると決めた。しかし、智美はこうも思った。ヨンギの母の故郷も昔のままではない。ヨンギの思うような居場所も無いだろう。故郷の人は困惑するだろう。北朝鮮のスパイもいるだろう。当然、ヨンギの母親の故郷を調べるだろう。長くそこにいることも出来ないだろう。亡命を申請しても日本国はその面倒を背負わないだろう。ヨンギには彼の考えているような場所は無いだろう。ハルの絶大な支援を勘定に入れても、彼の命と自由を守れても、彼の願いが満たされることは無いだろう。しかし、それはヨンギの問題だ。彼を助けてともに行動すると決めたことに一切変更はない。
「二つ約束して欲しい。」智美がヨンギを真っ直ぐに見る。ヨンギが傾聴の視線を返す。
「ナオを裏切らないで。」智美は直樹とヨンギが先々対立するような気がしたのだ。
「楽しんで。」それは一度死んだ後に獲得した生きる上での智美の信念だった。
「ああ、分かった。約束する。誓う。」ヨンギはこれがまるで儀式のように思えた。彼らと仲間になると、決めた。
「ありがとう。こういう時、私達はこうするのよ。」智美は指切りげんまんを教えた。ヨンギは知っていた。
「俺のとこだとこうだ。」韓国流の約束の儀式をヨンギと智美は追加した。
「それにいつか君達にはお礼をしたい。」ヨンギはこれから先、二人にかけるであろう大迷惑を予想し、あての無いこと、
「じゃあ、大金持ちになってくれない?ナオと私は絶対貧乏だから。お金を借りに行く。それで毎回踏み倒した挙句にまた借りに行く。ロンは何度も激怒して、でも貸す。そうして。」
「分かった。考えとくよ。」
「こっちは約束要らないよ。御礼の約束なんて変じゃん。でもロンならきっとそうするって勝手に信じてる。頑張ってね!」
「分かったよ。」

智美はそれからハルのこと、自分の身に起きた死と再生の事件をヨンギに明かした。ハルはヨンギと話し、ヨンギはそれが事実であることを理解した。ヨンギの受けた教育は歴史に関しては滅茶苦茶だったが、理科についてはまともだった。ヨンギの知識と思考力は素晴らしく、智美とハルが敢えて語らなかった部分を正確に推論さえした。

酔いつぶれた直樹を叩き起こして宿に帰った。逸郎は飲み屋が引き取ってくれた。