注: 橋桁の断面図を差し替えました。

韓国の李舜臣大橋が、 原因不明の揺れ を起こして 全面通行止め になり、 船が橋の下を潜り抜けることも禁止 になったそうです。

韓国語の記事
http://news.mk.co.kr/newsRead.php?year=2014&no=1355969
http://media.daum.net/society/affair/newsview?newsid=20141026212306151
http://media.daum.net/society/clusterview?newsId=20141026215006495

その他の記事によれば、 問題なかったことにして、まもなく通行再開見込み とかいうのも見受けられるんですが・・・。
えっ!?

揺れている橋の動画
https://www.youtube.com/watch?v=FqzlwyHLL1Y


この記事を読んで誰でも思い起こすのが、 1940年にタコマナローズ橋という吊り橋が、強風で大きく煽られて崩壊 したことでしょう。

タコマナローズ橋の崩壊 1940年11月7日
https://www.youtube.com/watch?v=HA2nBIlZjzI

その 設計上の崩壊原因 は、 橋桁(通路部分)の寸法をごく薄くした軽量設計 にあったとされています。

その教訓もあり、 日本の明石海峡大橋の橋桁は、箱状の構造物 です。その建造には、超重量物を支える強靭なケーブルを作る技術など、 高度な技術が必須 なのは言うまでもありません。設計時には 幾通りもの風洞実験 が行われ、海流や風の影響も調べられたことも話題になりました。


では、韓国の 李舜臣大橋はどう でしょう。

写真とか見れば一目瞭然ですが、 4車線道路だけの、ものすごく平べったい橋桁 です。

おそらく、 必要もないのに見栄で支柱間隔を広げた ため、 橋桁を軽量にしなければ吊り下げられなかった のでしょう。しかも、 何を考えたのか 不明ですが、 断面が飛行機の翼を裏返した物を二枚突き合わせた形状 をしています。

李大橋の橋桁断面図
李大橋の橋桁断面図
本当はもっと薄いです



断面が流線型の橋桁には、前例があります。
イギリスで架けられたセバーン橋(1966年)、ハンバー橋(1981年)がそれです。

ハンバー橋/
イギリスのハンバー橋(1981年)


ハンバー橋の底面
ハンバー橋の底面


当初は 「耐風性があり、材料費も工費も保守費用も安上がり」 というキャッチコピーでしたが、流線型の橋桁は主流にはなりませんでした。
日本でも富山県の新湊大橋が採用したと聞いてますが、この橋も開業前に揺れのトラブルが続いてたんですよね。

それにも関わらず 李大橋が流線型の橋桁を採用したのは、「強靭なケーブルが不要」で「材料費も工費も保守費用も安上がり」だったから でしょう。

しかも 愚かなことに、 李大橋は上図のとおり、 上下線の間に隙間をあけて しまいました。

セバーン橋やハンバー橋などの一般的な流線型橋桁では、上下線の間に隙間は無いので、通常の横風は橋桁の上下を素直に流れますが、李大橋では間を空けたために、気流が乱れて橋の揺れを増大させています。
吊り上げ強度に余裕がないので、 いまさら揺れを抑えるための補強も不可能 です。

倒壊するのも、そう遠くない気がします。

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http://japanese.joins.com/article/886/191886.html