北海道で、O-157に汚染された白菜の浅漬けが原因の食中毒事件が発生しました。

最初は「白菜の漬物で」という報道だったので「えっ!?」と思った人も多かったはず。北海道では、白菜を自分で漬け込んで食べる家庭が少なくないので、地元の関心は高かったようだ。

しかし、結局、蓋を取ってみれば漬物ではなく浅漬けだった。

この違いは大きい。
浅漬けは漬物ではない。
単に塩味のついた生野菜だ。

O-157は病原性大腸菌で、特に牛の糞に多くいて、牛糞由来の肥料で育てた野菜の表面に付着している。洗浄が不十分だと、付着した大腸菌O-157をそのまま食べることになるし、時間を置けば、O-157が増殖した状態で食べることになる。だから食中毒が発生する。

漬物は違う。
塩漬けでも糠漬けでも、乳酸菌醗酵させてある。

らっきょうの場合、軽く泥を洗っただけで漬け込むことが多いが、乳酸菌醗酵させてあれば食中毒になったりはしない。

このことに関し、道立食品加工研究センターの研究報告がある。
古漬けの酸っぱさの元になっている植物性乳酸菌が、ヨーグルトなどの動物性乳酸菌と同程度かそれ以上にO-157の感染を予防するということだ。


食品の安全性向上や保健機能の向上に有効な新しい乳酸菌に関する研究
八十川大輔、川上誠、中川良二、長島浩二、田村吉史、富永一哉、池田隆幸、山木携、佐々木茂文

乳酸菌を利用した発酵豆乳製品の開発と機能性の評価
中川良二、八十川大輔、(応用技術部)長島浩二

同じ北海道で、こういう研究が進んでいるのに、それが生かされていないというのは、とても残念なことだと思う。