不便さは人を進歩させるが便利さは人を後退させる。
人間の脳は人によって大きな違いは有りません。しかし脳の中身を
見れば殆どの人が脳細胞の数%を使っているに過ぎないそうです。
もう40年以上前の事ですがたしかフランスだったと記憶しています
が水頭症と呼ばれる脳の殆どが体液で脳細胞はほんの一部しかな
かった子供が生まれました、その子が今は立派な大人になって、普
通の社会生活を送り普通の人と同じ仕事をし、体に不自由な所も無
く過ごしているそうです。その子の生まれた時の脳細胞は普通の人
の十数%あったそうで普通の人と同じ生活をし体も健康でした。
私が大学を卒業し就職をする事を忘れて居た事に気づき学校の就職
指導課にゆきましたが就職活動を一切していなかったので就職の意
思が無いという事で就職者名簿から削除されていました。仕方がな
く自分で就職先を探す事になりました。山梨の百姓のせがれで東京
に知り合いは余りいませんでしたが、鹿島出版会から発行されてい
た月刊誌を読み自分の考えに近い設計事務所を選び訪問しました。
しつこく粘り、結局そこの先生が根負けしてアルバイトで様子を見
ようと言う事に成り半年くらいで雇ってもらえました。其処にで働
けたことは私の財産になりました。その事務所はアメリカの大学を
卒業しルイスカーンの事務所で働き日本に帰ってから丹下事務所で
働き、その時の部下を引き連れ独立した所でした。
私はその事務所に一級建築士試験の要綱の2年以上の実務経験という
項目を満足する為に2年勤め試験を受け独立しました。その事務所に
入ったことが私を育ててくれました。その事務所は何一つ教えてくれ
ず、ダメと言われるだけです。資料は用意してあるので自分で研究し
考える事が大事だと教わりました。
今の親、先生、行政は親切で全て教えてくれます。メーカーは売り上
げを良くするために便利さを追求し開発した製品を販売します。
親は三日坊主をしようとする子供に「頑張れ」と励まします。事もは
続かないのは自分の意志が弱いからと思い落ち込みます。結局子供を
囲む殆どの部署が子供の積極性を奪って居る事に気が付きません。
洪水に見舞われ逃げ遅れた人に「何で非難しなかった」と聞くと指示
が出なかったと言う返事だったそうです。自分の命さえ行政に頼る、
そんな人が多くなったのも結局親切が成せた事ですね。