争奪戦にも慣れてきて、入学から一週間と、ちょっとがたった今日このごろ。

どうも、中道恭一です。コロコロと文体が変わるのは気にしないでください。

さて、今日も今日とて争奪戦に参加していたのですが、気になることを聞きました。

…ていうか、この文体おかしくねぇっ!?




「ふぅ、疲れた。。」

争奪戦で手に入れた、焼きそばパンとメロンパンを机の上において、俺は席に着く。

すると、机の上に銀色の弁当が置かれる。無論俺のではない。

俺は、顔を上げて弁当の持ち主を見る。例の辻恋君だ。

「中道、お前、《狼》になったのか」

「いんや、別に。…ただ、気になるじゃん」

「なに……、、兄貴のことか?」

「ん。あぁ」

「…そっか」

辻恋は少しだけ間を置いてから、

「じゃあ、なにか分かったら言ってくれないか?」

「え…いいのか?」

俺は首を突っ込むな、とか言われることを覚悟していたので、少々間の抜けた返事をしてしまう。

辻恋兄に対する過去の事件に関しては好奇心しかないし、断られたらそれまでなんだったんだけれど。

その旨を辻恋に伝えると彼は苦笑しながら、言った。

「俺も、気になってっからさ」

俺も苦笑した。





翌日の争奪戦が終わると、ひとりの男が話しかけてきた。

黒髪で、少し長めの髪。眼鏡をかけていて、、、なんというか、オシャレな三年生。

ただ、別に俺と、この黒髪は初対面ではない。話すほどの仲では無いが、殴り合う仲ではあるという、非常にややこしい関係の知り合い。まぁ、つまり、争奪戦で死闘を繰り返す他の《狼》である。

「なぁ、一緒に食べないか?」

このように、名前も知らない相手を食事に誘えるのも、この争奪戦のいいところであろう。

特に用事もなかった俺は、その誘いを快諾し、一緒に中庭に移動した。





「争奪戦には慣れてきたか?」

黒髪は焼きそばパンの袋を開けながら、聞いてきた。

しかし、ここまで焼きそばパンを開ける動作が様になる人間は、そうそういないだろう。そう思わせるほどナチュラルな動きで袋を破いたことから、相当な期間《狼》だったことが伺えた。

つまり、辻恋という元《狼》のことも知っているだろう。

「おかげさまで。あの、どうして俺を誘ってくれたんですか?」

聞きたい、という気持ちを押さえ付けて、俺は返す。

生徒会室のように空気が張り詰めてしまっては、なんの意味もない。タイミングをみて、聞かなければならない。それほどデリケートな事なのだ。

「いや、初日から負けなしのルーキーがいるって聞いたからな」

「いやぁ、マグレですよ、マグレ」

実際、購買で狙ったものが買えないことは無かった。まぁ、昔は喧嘩が多かったからなぁ。

「はは、謙遜する必要はない。それは誇っていいことだ」

「ありがとうございます」

「…で、ここに残り続けるかい?」

黒髪は、真剣な面持ちで聞いてくる。そうか、今日食事に誘われたのは、この質問をするためか。

つまりここで、どう答えるかで《狼》かどうかを分けるのだ。

群がる犬でも豚でもなく《狼》かどうかを見極めるのだ。

しかし、俺は

「先輩、この質問に答える代わりに俺の質問に答えてください」

黒髪は俺のその言葉に眉を潜めたが、少しの逡巡の後、「…あぁ、分かった」と答えた。それだけ、《狼》かどうかが重要ということだ。

《狼》なら、本気で叩き潰すというわけだろう。

俺は身震いしながら、多分黒髪の予想とは違う答えを返した。

「俺は《狼》になるつもりはありません」

「な…?どういうことだ」

黒髪は本気で驚いている。その気持ちは分かる。俺が黒髪の立場だったら、俺もまんま同じことを口に出していただろう。

だが俺は実際、辻恋の件が終わったらやめにしようと思っていた。

理由は簡単。結構疲れるからだ。争奪戦に出ていたら、とてもとても青春できない。俺は争奪戦に貴重な青春を費やす気にはなれなかった。

「いや、俺の体力だと争奪戦はきついんですよ」

俺はそう言って、直ぐ間を開けずに言う。

「じゃあ、次は俺の質問ですが」

「…あぁ、なんだ?」

少しがっかりしたような顔で黒髪は、聞き返してくれる。そういえばこの人闘う時活き活きしていたからなぁ。《狼》にならない、という宣言がつまり、争奪戦に魅力がないと言われた様に感じたんだろう。

まぁ、微妙に間違ってないから別にフォローもしないが。

話を戻して、

「辻恋っていう《狼》のこと、知ってますよね」

辻恋という単語を聞くと、黒髪は途端にバツの悪そうな顔を浮かべる。

「あぁ……。あれは、酷かった。二年生以上の《狼》の恥ずべき事件だ」

「それについて教えて欲しいんですが」

俺がそう言うと、黒髪は頭を掻き毟って、苛立たしげに一人の女子生徒の名前を教えてくれた。何でも、基本的に何でも知っている人らしい。

「約束は約束だからな、、。あんまし言いたくないことなんだが、ああああ」

黒髪は文句を言いながら教室に戻っていった。

なんだかんだで約束を守ってくれたので、好感度が5上がった。多分もう上がらないだろう。

と、授業開始のチャイムが鳴った。しまった、何気に昼飯食ってない。

とりあえず、手にその女子生徒の名前を書いてから、駆け足で教室に戻った。