「アレってなんですか?」
「龍のエクレアと、虎のホットドッグだよ」
自分の前に、オレンジと白で構成された、牌の壁を作り終えた紗織が、二人の会話にはいってくる。
「龍、、虎、、?」
「一部の人にそう言われてるパンだよ。ものすごく美味しいらしくて、水曜日にそれぞれ5個限定で出るんだ」
「へぇ、しかしそれがなんで依頼に繋がるんですか」
「10個しかでないから、競争率が異常なんだよ。だから生徒会に頼むのさ」
「あぁ…」
「でも、依頼料払うくらいなら、自分で行った方が楽やないかなぁ?」
やっと牌を積み終わった佳奈がそんな疑問を呟く。
「いや、佳奈。購買戦争、しかも龍虎となるとヤバい奴が出てくるんだ」
「会長さん、言葉よう知っとるなぁ…。んで、ヤバい奴ってなに?」
「購買や、食堂の食券は自然と取り合いになるんだが、その場にもやっぱりマナーはあるんだ。それに順じて取り合いをする奴らを《狼》ていうんだ」
と、7行にも渡る長文を語る椿を変に思った恭一は紗織に聞いてみる。
「あの、先輩。会長ってもしかして…」
「あぁ、狼だね」
「あと、これの元ネタって…」
「うん。ベン・〇ーだね。この学園のラノベ好きが狼やら豚やら二つ名やらをつけた結果だね。作者がベン・〇ーを今読んでるからだね」
「作者っっ!!」
「ん?どうした中道恭一」
「いえ…何でもないです」
ちなみに後で聞いたら、会長にも二つ名があって《七福神》だそうだ。ルビは適当に振ってくれ。色々疲れた…。これはパロネタラノベですか?

会長が言った通り、依頼が来た。エクレア2個とホットドッグ1個だ。
「じゃあ、購買戦争は私と、、、九重で行くわ」
「えっ!?私も!?」
「お前の体質は便利だからな。お前なら直ぐ二つ名をとれるさ」
「いりませんよ…」
そんな感じの会話をしながら二人は購買に行った。次からの為と恭一も連れてかれた。有り得ないスピードで走らされた。
購買戦争、というだけあって購買部には沢山の人が集まって来た。
山中高等学校の購買部は一階の割と開けたところにあって、レジ打ち一人、取り合い-もとい乱闘も黙認されている。
「会長…すごい数っすね」
「あぁ。すごいだろ」
「私は…どうすれば」
椿の隣にいた咲が聞く。彼女もまた一年生で経験、否見ることさえしたことがないのだ。当然、緊張するし、困惑する。
そんな彼女に対しての椿の答は簡単だった。
「消えて、隙があれば取れ」
「あ、はい…分かりました」
「あの、さっきから消えるってな…ていないし」
椿は恭一が言葉を発する前にいなくなっていた。咲もまた、人混みの中に入って行って、一人となった恭一は、仕方なく帰ろうとした。
しかしそれは叶わなかった。
恭一の目の前を人が飛んでいったからだ。
「え…!?」
恭一は思わず振り返る。
そこには赤い髪を揺らしながら、こっちを見ている鬼がいた。