マカオノスタルジック紀行 (アジアの街トラベルガイド)/芹澤 和美

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《九十七年七月一日、日本のテレビ新聞はこぞって現地入りし、「香港が変わる!」と盛んにさけんでいた。いつものことだが、無責任である。で、きっと、マカオには全然関心を寄せないのだろう。》

日垣隆著 『敢闘言』より



’99年末、私は澳門にいた。

ポルトガルから、中国に主権が返還され、人民解放軍が進駐してくる様を、しかと見届けたいがための滞在であった。

渋谷区と同程度の面積(現在は品川区程度の面積)とはいえ、澳門回帰の宴の数々は、決して、香港返還時に引けを取らない、熱烈振りだった。

現在のように、大陸人の流入を制限してなかったら、きっと、人々が隙間なく街中に溢れかえり、カーネルサンダースの人形はおろか、珠江にダイヴする人も続出なんて宴になったはずだ。

欧米、アジア各国の主要メディア関係者達で、主なホテルは、ごった返していたし、澳門回帰の熱烈振りは、香港返還時ほどではなかったといえ、各国に同時中継で伝えられていた。

それとは対照的に、日本の主要メディア関係者の少なさには、驚いたものだった。

返還前に、澳門を話題にする雑誌も少なかったし、案の定、翌年早々、返還直後の澳門を大々的に取り上げた雑誌は、ほとんどなかった。

当時、澳門返還がらみの企画を幾つ持ちかけてみても、実際、香港のオマケとしか見ていない、出版、広告業関係者が圧倒的だった。

さすがに、現在では、ラスベガスを超えた場所らしく、香港と澳門を区別して捉える人々が増えてはきている。

とはいえ、澳門=香港のオマケというイメージからは脱却しきれない面も、日本では多くあると思われる。

せいぜいが、「マカオタワー」がお笑い芸人などの罰ゲームの場所として、よく使われるようになった位だろう。

澳門そのもの以上に、カジノに関する理解も、あまり進んでないと思う。

同時に、日本には、やはり、パチンコ、競馬などがあるから、果たして、カジノがお手軽な娯楽として定着するのか、大いに疑問である。

先日、フジテレビの『とくダネ』で放映された、特集「カジノリゾート」は、旧澳門のイメージを一新する点で、確かに画期的ではあった。

熱烈回帰後に、すさまじい勢いで、大変貌を遂げている澳門を、よくも手短に捉えてはいる。

日本各地から、カジノ経営のノウハウを学びに来た人々も、取り上げられていたが、私にしてみれば、何をいまさらである。

澳門に学ぶものがあるとすれば、むしろ、そのフットワークの軽さである。

手枷、足枷の少なさ、あるいは、それらを切断する際の思い切りの良さである。

消費税を導入しても、その政策が効をなさないなら、すぐ撤廃し、老齢者への恩給制度を決定すれば、即、施行し、大陸から伸びる地下鉄を走らせるとなれば、翌年には、速攻ドンカチが始まる、比類のない軽さである。

大陸の好景気、潤沢な資金以上に、その軽さが澳門の大変貌の、大きな要因になっている。

それに、ノウハウより、カジノをやろうというのであれば、観光立国日本としての整地作業が、まず先ではなかろうか。

また、澳門のようにフットワークが軽いんであれば、とっくに、お台場は、澳門を凌ぐカジノリゾートになっているであろう。

沖縄なんか、今頃、極東亜熱帯のラスベガスの地位を確立していてもおかしくはなかろう。

残念ながら、既得権を、何が何でも死守しようとして、遅々として何事も進みにくい国においては、カジノで、澳門の二匹目の泥鰌を狙おうとしたって、結果はグリーンピアの破綻を見るより、明らかではなかろうか。



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