アパレル歴 もうすぐ30年。
セレクトショップのオーナー歴20年超え。
今の等身大の気持ちでも久々綴ってみよう。
現在52歳。
今、自分でも背筋を伸ばして着たいブランドは・・・
「DEVOA(デヴォア)」
デザイナーは西田大介氏。
遡ったら2010年のSSから取り扱いをスタートしてました。
という事は、我々の様な先進的な拘りや個性の有るブランドは半年前に展示会を開催して
商品を見ているので、2009年の6〜7月頃、最初の取り扱いのSS商品は見たのだと思う。
私自身、ネームバリューの有るブランドとかがバイイングのポイントでは無くて、
どんな人が作っているのか。
取り扱いをしたら、これから一緒に歩んで行けるのか。
僕らが提案出来る物なのか?
作り手の方との相性、フィーリング。
ここが重要だったりする。
勿論、私も経営者なので、過去にはこのブランドなら、もっとお客さんへの定着は早いかなと
名前の有るブランド(割愛します)で、楽(らく)して売れるかなと、TRYした事も多々あった。
だけど、やっぱり仕入れて売るとなるとこの安直な考えだったり、背伸びして仕入れたブランドは
過去、ことごとく続かなかった・・・ 笑
楽(らく)では無く、提案する側も楽しくないとダメでした!!
その中で考えると、見つけた当時は無名のブランド
「DEVOA」
デザイナーは、学生時代バリバリのレスリングの選手だったり、職業もジムのトレーナーや
販売員だった、西田氏の経緯から来る服作りの構築(関節の可動や筋肉量、人体工学に基づく服)
に出会った時、あまりにその観点の斬新さに、心を掴まれた。
当時は僕自身、もっとギラっとした服が好みだった私は着こなす自信が無かった。
ので、着るというよりもお店に展開して、雰囲気や世界観が合う方に着せたい、そんな思いだった。
ただ西田氏が個性的で面白い!!
考え方も合理的ながら遊び心があり、拘りが強くて、僕の中では、服作りの「変態」だった!
「服マニア」で、物事を掘り下げるのが大好きで、Sっ気が強くて、
気遣いが出来て、チョー頑張り屋で熱い!!
そんな男気あるのは、今も尚15年も付き合っているが変わらない。
もっと高くないとおかしい生地を用い、作り、美しく難しいカッティングと縫製をしているのに
この品質にしては絶対に安い!!(マーケットでは圧倒的に高級服ではあるが)
直営店を持たず、彼が厳選した全国で10にも満たない取り扱いショップを大切にし、
生産過多による価格破壊を防ぐ。
そういったブランディングである。
その分、海外には30近い高級セレクトショップを取扱店に持つ。
そのバランスでビジネスを展開。
(これは、各々のブランドの企業規模やコンセプトによりスタンスは変わる)。
以前、お店に並べたいので「買う(仕入れる)」と言っているのに
「予約品で無ければ、この商品のこのサイズを売るのは難しいから、買わなくて良いと思う」
と何度もオーダー数と額を減らして来たのは、後にも先にも彼ぐらいだと思う 笑
ここの服の魅力は、素材の圧倒的クオリティ。
その生地のカッティング。
そして服の縫い方に直線の無い変形したデザイン。
これらの総合的な唯一無二のバランスだと思っている。
生地の繋ぎ目がカーブしているのは、人間の体自体、そういう形状だからだ。
なので、腕に沿う様に曲がって縫ってあるので、服がよく見える様に基本的にハンガーで見せている。
服を構築するパーツ数は僕の中では、立体的なジグソーパズルの様な物だと思っているので、
ピース数が多い方が、組み立ては大変だが、体型に沿った細やかな服が作れる。
しかしながら生地を裁断し、縫製する職人さんからしたら、本当に大変な物だ。
お洋服という一定のサイズ感の中で、ピース数が多い程、生地の裁断も縫製も大変だと思う。
通常、生地のロールからどれだけ効率良く生地をカットする訳だが、
おそらく、その作る効率を考えつつも、服のデザインと着心地の為に注力するのでは無いか?
そして、その決して真っ直ぐでは無いカーブしたピース数を、熟練した職人が縫い上げ
お洋服を作っていく。
実に拘った面白い服が出来上がる。
最近は数値(例えば肩幅44cmとか)で、サイズ感をイメージする世の中だが、
こちらのブランドはそもそもカーブしている生地の使い方、カッティングなので、
なかなか計測するにも困難な為、ブランドとして採寸値を出す事をNGとしている。
オンラインでポチッと買える効率重視な世の中で、
逆にちゃんと店頭で接客を受けて、試着をし購入して欲しい。
そんなブランドなのだ。
そもそも私自信、対話を大切にしたいお店だし、お客様とスタッフ、
それぞれの信頼や距離感があってこそのセレクトショップだと思っているから、やっぱり相性が良い。
これからも等身大で、カッコ良いと思う服を着て、カッコ良い人を作りたい。
今カッコ良いと思えるのは、気合い入れていない雰囲気の服。
知的に見える服、DEVOA。
私の中で40を過ぎた、いやむしろ50を過ぎたらチャレンジして欲しいBRANDである。
またもし機会が有ったら、「なぜ買い付けているのか?」
について、別のブランドについても書いてみようと思う。
過ぎゆく時間、限りある1回の人生、カッコ良く生きたい。
それは自分でもそうだし、関わった方々にもそのお役に立ちたい!!
NIHEI