ごきげんよう。夏にTORAYA TOKYOでかき氷を食べて以来、すっかり「とらやファン」になってしまった栗毛馬です。
先日、といっても時差がありまして昨年のことですが、憧れの「とらや赤坂店」へ行ってきました…!
初めての訪店です。
木をふんだんに使った、素敵な外観。
立派だけど圧迫感はなく、とても感じのいい建物。
「素晴らしいわね…!でもこれ、メンテナンスが大変よ、きっと…!どうしているのかしら。とてもこまめに塗り直したりしているのかしら」
建物が好きな老婦人、口をあんぐり。
「さすがとらやね…!高層ではなく低層にするアイディア、素晴らしいわね。急な変更で、業者は大変だったろうけど」
このあたりは、「老舗の流儀 とらやとエルメス」に書いてあったことです。
訪店の目的は、「お汁粉」です。
老婦人によると、ずいぶん前ですが、テレビで長嶋一茂さんがお汁粉を絶賛していたのだそう。
あんこ星人の老婦人、すぐにでも食べに行きたかったのだけど、あいにく季節は夏。
「冷やし汁粉はいやよ!お汁粉は熱いのをふうふうしながら食べるからいいのよ」
というわけで、冬を待っての訪問となりました。
ただ、お汁粉…。
過去に、名店と言われるもののそれを何回か食べたことがあります。
しかし、我が老婦人手製のものには遠く及ばない。
結局のところ、家で作るのがいちばんおいしい。比べ物にならないね…というのが、老婦人と私の共通の感想です。
でも、天下のとらやですから!
新たなる汁粉界へ誘ってくれるかも。
とても楽しみに臨んだのでした。
喫茶室は3階。
自然光がたっぷり降り注ぐ大きな窓、木をふんだんに使ったしつらい。
明るくて広々した、清潔な空間…!
老婦人、ぐるりと見渡し、天井を見上げ、
「すごいわ…!」
感心しきり。
椅子に腰かければ、
「この椅子、座り心地がいい!」
と、大興奮。老婦人は、椅子も好きなのです。
「この椅子、欲しいわ。どこのかしら。売っていないのかしら」
確かに、良い椅子です。
大きさ、高さがちょうどいい。
とりわけ素晴らしいのが座面の弾力。
いい具合に座骨が突き刺さる感じで、背筋がすっと伸びた姿勢が楽に取れる。
いい姿勢でいるって、気持ちいい。
「とらや赤坂店」にふさわしい客らしい振る舞いができそうな気がしてきます。
椅子は、縁の下ならぬ尻の下の力持ち。
※椅子は、だらしなくぐにゃっと座ってみても、寛容に受け止めてくれました(試しました)。
とらやのお汁粉は、次の3種類。
- 御前汁粉(こしあん)
- 小倉汁粉(粒あん)
- 白小倉汁粉(白粒あん)
どれにするか、とても迷いました…。
好きなのは粒あんですが、一茂さんは「絶対こしあん」派だったとか(老婦人の話なので間違っているかもしれません)。
他では見たことのない白粒あんも気になります。
結局、小倉を選びました。
決め手は、メニューの画像。唯一掲載されていたのが小倉だったので、これが店のイチオシなのかな、と思い…。
小倉汁粉、登場です。
早く食べたい。冷めないうちに。
熱いものは熱いうちがごちそう。
急いで写真を撮って、蓋を取ると。
ふわっ。
香ばしい、お餅の香り…!
こんがりと焼き色のついた餅の、おいしそうなこと。
つややかな水面(汁面?)、見え隠れする小豆粒。
まずは汁だけを、一口。
…。
残念、熱くない…。
正直、ぬるい。熱々とは程遠い。
上顎がやけどでベロベロにならないよう配慮してくれたのかもしれないけれど、多少べろついてもいいから熱々がよかったな…。
甘い、けれどスッキリ。
キレはいいです。
ただ、豆の滋味やおいしさはあまり感じられないかな。
よく言えば上品すぎてしまうのかも。
私は雑味も含めて、小豆の味がまるごと味わえる方が好き。
…などと思いつつ、
「どう?」
老婦人(骨の髄まであんこ星人)に訊いてみると。
「…一体感がないわね。汁と豆がなじんでない。バラバラだわ。汁の中に小豆の粒を落としただけみたいな感じ」
言い得て妙です。
ふと、やな予感がしました。
「まさかのまさかだけど、レトルトのを温めただけ…じゃないよね?」
このとき私の頭をよぎったのは、デパートにあるとらやで見かけたお汁粉のパック(とても買ってみたかったけれど一食分で600円以上もするので我慢しました)。
「自宅でも手軽にとらやの味を」とのコンセプトで開発された商品だと拝察されましたが、正真正銘同じモノだったりして…。
「さすがにそれはないでしょう。天下のとらやよ。このお値段よ」
「そうだよね。ただ、鍋で温めた、という気配が感じられないような…。きれいすぎて」
「まあね…でも、お餅はすごくおいしいわ。上手に焼いてある」
「お米の味がするね。こんがりして最高。伸びが凄い!」
本当によく伸びるのです。こんなに伸びるお餅は人生で初めてかもしれません。
いつも食べている「あまり伸びずぶちっと切れる餅」のつもりで噛みついたら、どこまでも伸びてにっちもさっちもいかなくなり、往生しました。
ご高齢の方は特にお気をつけて。
小さく切るか、おちょぼな口で小さく小さく噛みついてください。びっくりするくらい伸びますので。
「あっ、後半になったら、やっと一体感が出てきたわ。断然おいしくなった」
と、老婦人。
うん、確かに。
そして、食べながら思いました。
ひょっとしたらこういうことだったのかも、と。
お汁粉調理・盛り付け完了
↓
手が足らず配膳遅延
↓
冷める・あんこ成分が沈殿する
↓
配膳
↓
「冷めた上澄み」が最初のひとくちに…!
たぶん、最良のコンディションで味わうことが叶わなかったのだと思います。
きっと本来はこんなもんじゃない。
タイミングと、運が悪かったね…。
ま、天下のとらやだってこういうこともあるよね。人間がやってるのだから。
レアケースということで、これはこれで貴重な経験。
添えられた塩昆布がおいしかったです。
ふんだんにあったので、最後は直接汁椀に投入して、お椀を掃除しながら食べてしまいました。
甘・しょっぱ・うまみの競演で、うはうは。
このとおり、お汁粉は少々残念でしたが(辛口ごめんなさい)、それを払拭するほど印象的だったのが、スタッフのみなさんが一様にとても感じがよかったこと。
働くのが楽しい、ここで働けて嬉しい!という思いが伝わってくるような接客。
本当に仕事が好きなのか、そうではないけれどそう見えるように割り切って完璧に演じているのか…。
いずれにせよ、凄いことです。
真似しようと思っても、できません。
展示物のコーナーも、楽しめました。
和菓子の本やとらやの本、立ち読みさせてもらいました。
欲しかったけど、専門的すぎて読めないかもと思いやめておきました。
「羊羹の切り方」「おすすめの厚さ」を知ることができたのも、嬉しかった!
カレは、「ロイヤルタイガーのカルーセル」を選びました。
「虎」なので「グランテアトルヌーヴォー」にしようかとも思ったのですが(こちらの方があんこっぽい色合いだし)、
「いや、やっぱり『ロイヤル』でしょ!とらやなんだから!」
ということで「ロイヤルタイガーのカルーセル」。
食べるときはぐるっと後ろに回していただきました。