ごきげんよう。栗毛馬です。
Eテレで放送中の、「3ヵ月でマスターするピアノ」通称「3マスピアノ」の話の続きです。
※「3マスピアノ」は、ピアノ初心者はサティの「ジムノペディ」、経験者はショパンの「革命」を、3ヵ月でマスターしてしまおう!という企画。
昨日の記事で、うちの老婦人こと母は、「ジムノペディ」を、最後まで両手で弾き切ることができるようになったと書きました(間違えたりつっかえたり止まったりはするものの)。
対して、私は…
ジムノペディ
- 両手でヨタヨタ、最後まで(老婦人よりはマシなレベルだけど大して変わらない)
- 和音が覚えられない(それなりに反復練習したのに)
- 油断するとすぐにメロディーをミスタッチする
革命
- 最初からほぼ進まず(片手ずつ、見開き1ページの音を取る程度がやっと。いまだに最後まで到達できていない)
このように、ひどい有様です。
もちろん、石丸さんと寺田さんのお二方からは大幅に後れを取っています。
ピアノには毎日触っているのに、この体たらく…!
いったい、なぜ?
それは、これらの「課題曲」を練習する時間がななか取れないからです。
言い訳ですが、「大人のピアノ学習者」は、レパートリーを維持するだけで大変なのです!
弾かないでいると、曲をすいっと忘れてしまうのが「大人のピアノ学習者」の特徴。
何百回も弾いてきた曲を、少し弾かなかっただけで、忘れてしまう。
手の内に入れたはずなのに、あっという間に弾けなくなる。
さらさら…さらさら…
手のひらから砂が零れ落ちるように、レパートリーが滑り落ちて行く虚しさと情けなさ。
一度忘れると、学び直して復活させるのが、本当に大変なのです!
防ぐためには、定期的に(短いスパンで)弾き続けるしかありません。
当然のことながら、レパートリーが増えれば増えるほど維持管理は大変になり、時間も必要になります。
毎日の練習では、レパートリーの一部を回すだけで精いっぱい。
今日はこれとこれとあれとそれ、明日は別のレパートリー群…。
このように、現状維持するための練習に時間を取られる。
それに、挑戦中の憧れ曲だって練習したい。
そのため、課題曲まで手が回らないのです。
週末など、余裕があるときに少しずつ取り組んでおりましたが、途中から「革命」は、ほぼ諦めました(後で独習します←「後」っていつ来るの)。
難しい新曲を2ついっぺんに学ぶなんて、できない相談だもの。
せめて「ジムノペディ」だけはと思い、ちょびちょびと練習を継続していますが、サボるとすぐ、練習した部分を忘れてしまうからなかなか進みません。
苦手な部分を集中的に反復練習すると、余裕でできていた箇所が弾けなくなっていたり…(これも大人ピアノあるあるですが)。
↓レパートリー、かつてのレパートリー、憧れ曲、練習中の曲たち(一部)
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さて、番組のことに話を戻します。
「革命」を練習中の「経験者の寺田さん」。
彼女も、石丸さんに負けず劣らず「異常」です!
あの複雑な音符の羅列を、両手いっぺんに、顔色一つ変えずミスタッチせず弾いてのけるという…!
曲が動き始めてから右手が入るタイミング。難しいところですが難なくこなし、4和音を正確に把握して掴む記憶力と対応力にもあっけにとられました。
小さな手だから、広い音域を掴むのは大変なはずなのに。
幼いころにバイエルを弾いたっきりで、何十年もピアノから遠ざかっていた人のなせる業ではありません。
指の開きも悪いし、指の独立なんて「なんの話?」という感じだと思います。
それなのに、できている…!
順応性に舌を巻くのみです。
しかも、察するに、今回の生徒役は、自ら志願したわけではなさそう。
「オファーが来たから受けた」ようなニュアンスが感じ取れました。
曲目も、自らの意志によるものではなく、制作側からあてがわれただけのよう。
つまり、寺田さんにとって、これは「純粋なる仕事」。
「ピアノを弾けるようになりたくてたまらない」わけでも、
「ショパンの『革命』に憧れていて、どうしても弾けるようになりたい」といった、能動的な熱い思いがあるわけでもなさそうなのです。
余計に凄い…!
自分のレベルを遥かに超越した難曲など、弾けるようになりたいという強い気持ちがないと練習できるものではありません。
気持ちがあったって、くじけて挫折するのに。
実はそれほど興味も関心もない曲、しかも超難曲を、仕事で練習したいと思います?練習できる?
私だったら、NOです。
寺田さんは、物凄く頭がよく、仕事に対する責任感が激烈に強いことに加えて、器用さと忍耐強さも持ち合わせた、きわめて優秀な方なのだろうな…と思います。
ちなみに、寺田さんの真似をして、公式サイトのお手本動画をゆっくり再生しながら譜読みをするようにしたら、練習が楽になったし、覚えやすくなりました(ありがとうございます!)。
革命は、臨時記号が多いから頭が混乱します。
「この音でいいのかな?」
常に不安を抱えながら音とりをしていたのですが、お手本を聞きながらだと耳で答え合わせができるから、
「これが正しい!」
自信を持って弾けるようになり、そうすると覚えも早くなるようです。
スマホ操作するのが面倒で、独りジメジメと譜読みしていましたが、横着がらずに文明の利器を使った方がいいのですね。
その方が、ずっと効率がいいです。
なので、願わくば…、お手本動画の掲載期間を、6カ月などと冷たいことは言わず、延長していただきたいものです。
「3か月でマスター」は難しくても、コツコツと自分のペースで取り組んでいきたい人はたくさんいると思うので。
「3マスピアノ」、あとたった3回で終わってしまうのが残念でなりません。
続編をご検討いただけたら本当に嬉しい。
それから、本田先生、ぜひ楽譜か教本を出してください!
難曲を、調はそのまま、ただし多すぎる音符を間引いて、弾きやすくアレンジしたものを。
例えば、ショパン「別れの曲」。リスト「愛の夢」。バッハ「G線上のアリア」、「主よ、人の望みの歓びを」。
調はそのまま、というのが大事。
難曲の初心者向けアレンジ楽譜は星の数ほどあれど、原曲の調のままですぐれた編曲のものを見つけるのは至難の業。
本田先生のアレンジならばきっと最高だと思うのです。
それにしても。
革命の9小節目からの左手が、あんなにも美しく切ない音だったなんて知りませんでした。
CDなどを普通に聴くだけでは、音のうねりとしか認識できずにいたので。
そうか、こんなに痺れるように美しい、音の並びだったのだね…!
「ゆっくり練習」のおかげです。
これを知ることができただけで、練習するかいがあったと思います。
↓とても興味深い本です!