◎ 鮪延縄漁漁業の由来
鮪延縄漁業は遠く江戸時代に溯り、延享2年(1745年)、今を去ること247年前に
紀州摂州地方からの移住漁民により操業された。
明治23年大型船建造に成功し、遠く銚子沖・稲取方面まで出漁。
連夜の沖泊まり操業して鮪を満船、三崎港や稲取に入港。
数年にして当時の日本漁業界にその名を馳せた。
この季節は台風襲来季と期を一にして、相次ぐ難破船溺死人の続出と
打ち続く不漁とで衰退の一途を辿り、遂に大正の初期をもって終焉した。
◎ 安房節
鮪延縄漁の最盛期は晩秋から厳冬期にかかる寒い季節である。
鮪延縄船は根拠地の港から一斉に漁場に向かう。
連日連夜、鮪との格闘である。
空腹眠気寒さに乗子等の鈍る士気を鼓舞するため
船頭が唄い艫取りがはやす即興の作業唄が次第に洗練され
いつしか祝い事宴席で唄われるようになった。
歌詞は若い衆の心意気と家族との愛情を込めたものが中心となっている。
安房節はまさに祖先への鎮魂歌である。
● 元唄 安房節
アーエ 伊豆じゃ稲取
房州じゃ布良よ
粋な船頭衆の出るところ
アーエ 船頭させても
とも取りゃさせぬ
押さえひかえがままならぬ