真冬の深夜、真南の水平線すれすれに現れる「カノープス」は、
空気がよく済んでいなければなりませんので、
めったに見ることができません。
赤く輝くこの星を、布良では
遭難した漁師の魂が成仏出来ずに漂っているのだとして、
「布良星」と呼ぶ所があります。
明治から大正のはじめにかけて、
この浜のマグロ延縄漁では、
500人以上が海の藻屑と消えています。
このカノープスは、地球から200光年の距離にあり、
光の強さは太陽の2万倍、質量は1万倍という、
想像も出来ない超巨星で、一等星です。
地軸の南側近くにありますので、
人工衛星打ち上げの目標にもなっています。
伝説によると、トローヤを攻めたギリシャ艦隊の
水先案内人の名前です。
彼がエジプトのアレキサンドリア港で病死したので、
メネラオス王はそこに碑をたて、
夜空に大きく輝く星に、彼の名前をとって
カノープスとつけたと伝えられています。
中国ではこの星を南極老人星や老人星と呼んで、
都からこの星が見えると、天下泰平であるとのお祝いをしたそうです。