かつて、全国のユースホステルのなかでも、
最も人気の高かったのが、布良にあった
館山ユースホステル でした。
欧米から現代建築を翻訳・紹介した東大教授・生田勉氏の設計により、
1961(昭和36)年に建てられ、1998(平成10)年に営業停止となるまで、
多くの若者がここで青春を過ごしました。
今はなき布良鼻燈台が頂上に見えるのが男神山、大きいほうが女神山を背景に、
太平洋が目の前に広がる阿由戸の浜は、まるでプライベートビーチのようでした。
布良・相浜は、元禄大地震と関東大震災で、大きな津波の被害を受けているので、
生田先生は、津波対策として「六方積み」という石積み法を考案したようです。
国有地を借り受けて千葉県が営業していたため、残念ながら
館山YHは廃業とともに解体され、今は更地となっています。
青森県では、新渡戸稲造記念館を設計している生田先生の建造物ですから、
保存されていたら、きっと今頃、その価値が認められていたかもしれません。
最後の二枚は、阿由戸の浜~平砂浦~洲崎岬の写真です。
1955(昭和30)年に初点灯された布良鼻燈台が見えるので、
館山YHが建つ1961(昭和36)年までの間に写されたと思われます。