冬の間静かだった植木鉢の ヴィオラの花が、 今ここぞとばかりに 元気に可憐に 咲きそろってきました。



MEOW (ミャオ)

ヴィオラを見る度に想い出すのが、マーラ先生です。


 私がアメリカの州立大学に在籍中、歌の先生としてお世話になっだのが、ドクター(博士号を持つ先生の呼び方)マーラ先生です。


 彼女はとても厳しいことで有名、とっつきにくく近寄りがたいと思っている人も多かったと思いますが、私は彼女に不思議なご縁を感じていました。

英語での会話にもかかわらず、彼女が伝えたがっていたことは全てピンと理解できたのです。通じる…といった感じでしょうか。


 そんな彼女が、私を初めて自宅での夕食に招いて下さったとき、家を案内する際にキッチンの窓辺に置いてあった小さな美しい陶器の入れ物を見せてくれました。

「マリコ、この中に何が入っていると思う?」ニコニコしながら先生は尋ねます。

なんかグロテスクなコワイものが入っているんじゃないだろうなぁ…などどあれこれ考えながら、

「わかりません」と答えました。

すると ほーらすごいものが入ってるのよ、とでも言いたそうに、先生は蓋を開けました。


 コワゴワ見ると 中には ヴィオラの花の部分だけドライフラワーにしたものが三つ入っていました。

「子供達が笑ってる…」先生はすかさずおっしゃいました。

縮んで小さくなったヴィオラは、本当に笑っている子供の顔のような模様なのです。

「カワイイドキドキ」わたしもすかさず言いました。


 先生は私を少し怖がらせてステキなサプライズで驚かせたかったのと、ヴィオラがこんな風にかわいらしく見えるのだということを分かち合いたかったのだろうと思います。

 みんなから恐がられているマーラ先生の少女のような一面に驚くとともに、なんてステキな人だろうとあらためて先生の人間性、魅力を強く感じた瞬間でした。

どんなささやかな日常からでも楽しみは見つけられる、ということを教えてくれた人の1人でもあります。


クリスマスカードに、「私が先生から学んだことを、今は私が自分の生徒さんたちにお返しできるようになりました。」と書いたら、「あなたの生徒さんたちはみな光り輝いているキラキラ、あなたを誇りに思います。」とDVDでコンボの様子をご覧になった先生がお返事下さいました。


 今年度で教授職からリタイアする予定のマーラ先生。大学在職中にまたお会いしたいものです。今なら先生と生徒としての関係だけでなく、良い友人として新しい関係も築けるように思います。


 ヴィオラを見ると、「ホラ、子供達が笑ってるみたいに見えるでしょ?!」  娘によく問いかけます。