入院しました①頭痛には冷えピタ
手術室に向かう時、別の病院で
肘の手術をした時はベッドごと行った。
今回は歩いていくようだ。
夫にエレベーター前まで送ってもらい
私は夫と少し手を握って別れた。
全身麻酔のリスクとして、
万が一の場合、死を覚悟させらている。
生きて戻ってくるぞ!
というキリッとした顔で向かった。
何かあったら?という時の事は
今回もやはり考えた。
何事も100%ではないから、不安もあった。
医療ミスで死に至る話は聞いた事があるし
義弟の友人も1人、それで亡くなった。
まずは生きて戻る事が最優先。
神に祈るしかない。
主治医と看護師ちゃんと3人で
緊張してますか?などと他愛もない話をしながら
エレベーターを降り
手術室に向かう前の大きな扉をくぐる。
「僕は着替えて来ます」
主治医は別の入り口から入るようだ。
私はその場で髪をまとめ、
不織布のキャップをかぶるように
看護師ちゃんに促された。
そして奥の手術室へ向かう。
「◯番のお部屋になります」と扉が開くと
そこには既に沢山の人がいて、
モニターにはドラマなどで見るような
手術中の臓器の映像が映し出されていた。
明らかに手術中なのである。
慌てる看護師ちゃん。
なんだ?と出てくるベテラン看護師。
部屋を間違えたのか?
などと予定が映し出されモニターを眺め
間違えていない事を2人で確認したようだ。
そこからモゴモゴとやりとりした後
「すみません、まだ1件目が終わっていないので
もう一度、お部屋に戻ってお待ちください」
とベテラン看護師さんに言われる。
あらまぁ。
私の覚悟は、ふりだしに戻った。
動揺して謝る看護師ちゃんに
「大丈夫です。予定ではその位になるって聞いてたので」
とキャップを外し、手術室を出た。
今来たばかりのエレベーターで部屋へ戻る。
夫は居ない。
貴重品庫の鍵を預けたので、携帯もない。
そして、手術後の引き上げ時に使うため
部屋にはベッドも無くなっていた。
幸い1人がけの椅子と
足を乗せられる高さの椅子があったので、
そこで寛ぐことにした。
夫はどこへ行ったのか?
連絡するにも携帯がないのだ。
多分、お昼ご飯を食べに行ったのであろう。
急に部屋に戻って来たら
手術室に居るはずの嫁が、死んで目の前に現れた!
とでも思うだろうか?
驚かせてはいけない。
ひとまず本でも読もう。
もちろんこの気持ちを紛らわせるのは
「もものかんづめ」である。
主治医も急いで戻って来て
「あってはいけないことです。
僕からも叱っておきます。」
と謝っていた。
今から叱られるんだー。
この先生、優しそうだけど
看護師ちゃんにどんな怒り方するんだろう?
このいい声で怒られるんだー。
いいなー。
良くはないか(笑)。
良くはないけど、人間だもの。
間違いくらい誰でもあるのだ。
しばらくすると
夫が帰って来て、流石に驚いていた。
かくかくしかじかと話して
再度呼ばれるのを待つ。
私もそうだけれど、
やはり夫も怒らなかった。
間違いは珍しい事ではない。
看護師ちゃんよ、めげずに続けてくれよ!
そう思う。
部屋に再度ベッドを運んでもらったので
きついソックスを一旦脱いで、
寛ぐこと1時間半。
再度、呼ばれる。
「今度は間違い無いので」
と言う主治医。
夫に「もうここでもいいよ」
と部屋で別れる事を提案したが、
「せっかくだから」とエレベーター前まで来てくれた。
何が「せっかく」なのか?と笑いをこらえる私に
エレベーターの扉が閉まる瞬間
「デジャヴですね」と言う主治医。
ダメだ、もう我慢できん。
クククと笑ってしまった。
手術室に着くや否や
「はい、キャップですね?」と言わんばかりに
やる気満々の私。
だってほんのちょっと前にやったもの。
そのまま歩いて手術室に向かう。
さっきと同じ番号の部屋へ入り
「さっきはごめんなさいね」と他の看護師にも謝られた。
「大丈夫です」そう答えて手術用のベッドに横たわる。
頭上にはライトが沢山。
テレビで見るような光景だ。
ちょうどいい感じに眠たかったから、
ゆっくり寝よう。
酸素マスクを付けられ
何もされていないうちに目を閉じて待っていた。
点滴を入れられ「今から麻酔のお薬を入れますね」
そう言われた頃からもう記憶はない。
つづく。



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