居間に1人残された俺は、考えた。

妻の、どうしなきゃいけないのか、どうするべきなのか、考えな!…という言葉。


俺を完全無視して、久しぶりに話しかけてきたと思ったら、あの言い様。

もう、この人に俺と一緒に問題を解決しようって気持ちはないんだな。
俺に、一人で考えろと言うあの人とは協力して問題解決する道はないな。

当時、子供は上が中2で下が小6。

俺の給料は上がらない。妻も今以上には働かない。金は足りない。
でも、子供たちも大きくなってきて、益々お金は必要になってくる。

…詰んだな。

結婚して14年…ずっと金がなかった時ばかりじゃない。短い期間ながら月50万稼いだこともあった。

何度か転職をして、今の業界に辿り着いた。俺のいる業界は全体的に給料が安い。だけど、この業界に入るときも、妻に了解を得て、そして後戻りが出来ないようにとの思いも込めて、国家資格も取った。今の仕事にやりがいを感じている。だから、今の業界から離れたくない。ようやく見つけたこの仕事。

何も捨てられない現状…だけど何かを諦めなくちゃいけないってことは分かってた。

そこで俺は考えた。
今、何を優先すべきか。
優先されるべきは、子供たちの生活。

このままいけば、子供たちが健やかに暮らしていける保証もない。


それなら!俺が家を出て、不足分を生活保護で補ってもらった方が子供たちは確実に困らずに生きていける。

ただ…当たり前だが…可愛い子供たちと一緒に暮らせなくなる。毎日子供たちの顔が見れなくなる…

悩んだ。目一杯悩んだ。

でも結局は、離婚するって方法が一番…というか、それしかないとの結論に至った。


でも…家族を失うのは…怖い。
でも…家族が困るのは…嫌だ。
そう…俺が我慢すれば…解決。
そう…俺だけ消えれば…安泰。


自分の中で答えを出して、その日は寝た。


こんな日がやってきてしまった…


その頃は、もう、以前のように毎日毎日金の話ばかり。

俺はウンザリ。

妻は
『聞いてんだか、聞いてないんだかわかんないよ!』
返答に困ってると、『もう、いいわ!』

と吐き捨てるように台詞をはくと、寝室のドアをピシャリと閉めて寝た。

それから始まった『家庭内無視』
まるで、俺がいないかのように振る舞う。どこか出掛けるときも行き先や帰宅時間をまったく伝えずに出ていく。飯だけは出ていたが、晩飯は毎日ほぼ同じ。妻曰く手抜き料理だそうだ。

帰宅すると、テーブルの上にタッパにご飯が入っていて、皿に鶏肉が一枚ラップされて置いてあった。これの無限ループ。

休みの日も気が休まらなかった。母親が無視しているのを見て、長女も俺を無視し始めた。下の子がたまに俺に話しかけてくれるのが救いだった。

たまに、帰宅後、起きてきてトイレに行っても完全に無視。
本当に辛かったです。逃げたかったです。





そして、ある日晩御飯を食べていたら、寝ていた妻が起きてきて、強い口調で話を始めた。

『次の引き落とし…もう払えるか払えないかわからないからね!どうしなきゃいけないのか。どうするべきなのか、自分で考えな!💢』

ただただ唖然。そして俺は、ついに、あの考えに至ってしまったのだ。
1か月後
妻が仕事を決めてきた。

家庭の事情で、中学すらまともに行けず、車の免許もないというハンデの中仕事探しは大変だったろう。
俺は
『やったな!よく見つけたねぇ!やるなぁ!』と話し、共に仕事が見つかったことを喜んだ。


けど…働くのは週に2回…多くても3回で午前中のみの仕事ということだった。まぁ、最初はそのくらいから始めるって感じなのかな?と思い、ともかくは働き始めてくれたことを大変好意的に見ていた。


だけど…しばらくするとやっぱりお金が足りない…また、この話を俺にし始めた。

長く働くと、家の事が出来なくなる。だから、これ以上は無理。

俺は
『だけど、生活費が足りないなら、時間はそのままでももう少し出勤日数増やすとか、何らかの対策考えないと、そこから抜け出せないんじゃない?』
そう伝えたが、妻は譲らない。

俺は
『今までよりは、少しは楽になったんだし、これは明らかな前進だよね。だから、あともう少し頑張れないかな?家のことは手抜きしても問題ないよ。俺も休みの日は手伝ってるんだし、子供たちも色々出来るはずだよ。』

ちなみに、俺は帰りが遅く、晩御飯食べたら割りとすぐ寝ないと次の日起きることが出来ない。

先程のように話したが…やっぱり妻は譲らない。


俺は俺で、妻の職場の愚痴を毎日のように聞いた。それが、勤めだと思ったから。

結局妻は最後まで譲らず、仕事のペースを変えることはなかった。