限定の油そばは、皆様のお陰で毎日完売しております。貴重なお時間ありがとうございます。
今回油そばをやらせて頂くにあたり、僕の中では油そば、汁なしというのは一つのキーワードとなっていました。いつかは通らなければいけない壁だったのです。
というのも、遡ること3年前の7月1日にラーメン燈郎はオープンしました。
オープニングで店長を任された僕は根拠のない自信に満ち溢れていました。
もちろん、根拠のない自信はすぐに底の浅さから崩れ去ります。
オープンしてからラーメン、つけ麺とリリースをした後は汁なし、辛いラーメン、カレーラーメンと順に提供の予定でした。
しかし、つけ麺のあとの汁なしを発売出来ずにいました。当時の僕はラーメンを作る能力以前に、出来ない理由が頭を駆け巡り
師匠の求める汁なしって?燈郎の汁なしって?そもそも汁なしを作ったことないからどうやって作るのかも分からない。今休みもなしにこれだけ寝ないで、大変な思いをして営業してるのに作る時間がない。
とめどなく出来ない理由が僕の心を覆いました。そんな気持ちでいたら、出来るものも出来ません。自分に負けてしまっているのだから。
師匠に試食をしてもらう予定の日も満足に作れず、食べる前に帰られてしまいました。今思い出すだけでも、人生で一番自分に負けていたボロボロの日々でした。毎日悔しくて情けなくて、一人になると泣けてきました。でも自分の人生、誰も助けてはくれません。
そんな僕を師匠は仕事を通して叩き直してくれました。
あれから3年の月日が経ち、今僕は一燈ラゾーナ川崎店を任せて頂いています。
そしてラゾーナにて、牡蠣の塩油そばの限定を始めた先日のこと。
師匠が突然ラゾーナに来て
『油そば食べさせてよ』
一気に頭の中に3年前の光景がフラッシュバックし、身体が硬直しました。けれど、やってきたことしか本番では出せない。いつもと同じ様に気持ちを込めて作りました。
この時師匠はお金を払って食べてくれました。そして僕に
『美味しかったよ、ご馳走様』
3年前からは考えられない光景がそこにはありました。必死に込み上げて来るものを堪えました。師匠に初めて食べてもらった僕のラーメン。3年越しのラーメン。
僕は師匠にラーメンを通して人生を教えてもらっています。ラーメンを通して、役割を与えてもらいました。
お客様に想いを届けたくて、喜んでもらいたくて、周りの幸せが自分の幸せになることを教えてもらいました。
そして分からないから出来ないのではなく、出来ない理由を話すから出来ないんだと身を以て実感しました。
3年前の想いも乗せた今回の油そばの裏話でした。
