<東証株式相場 概要>
●日経平均
7日の日経平均は続伸、終値は前日比414円16銭(1.19%)高の3万5089円62銭で終えた。日銀の内田真一副総裁の発言内容が金融緩和的な「ハト派」寄りと受け止められた。発言後の円安・ドル高の進行に伴って海外短期筋が株価指数先物に買いを入れ、朝方に安く始まった日経平均は上昇に転じた。上げ幅は1100円を超える場面もあった。半面、今月に入ってからの急落を受けた信用買いの追い証(追加証拠金)発生に伴う強制決済の売りが引き続き出た。相場変動率の高止まりで持ち高の変動リスクを回避するための売りも出て、指数の上値は重かった。
内田氏は北海道函館市で開いた金融経済懇談会の挨拶で政策金利について「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」との考えを示した。「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」とも明言した。外国為替市場で円相場は一時1ドル=147円台後半まで下落し、海外短期筋の株価指数先物買いを誘った。
銀行や保険など金融株の上昇が目立ち、東証株価指数(TOPIX)の上昇率は3%を超える場面があった。市場では「8月に入ってからの株価急落と金利の低下を受け、国内年金の国内株の買い余力が増している」との観測も浮上した。市場予想を上回る四半期決算や自社株買いを発表した個別銘柄の物色も目立った。
朝方の日経平均は900円あまり下げる場面があった。前日の日経平均が過去最大の上げ幅を演じたとあって、戻り待ちの売りが先行した。個人投資家から追い証に伴う強制決済の売りがきょうも継続した。相場変動率も高止まりし、持ち高を圧縮するための売りも出て、指数の上値は重かった。
日経平均の日中値幅は2110円と、3日続けて2000円を超えた。市場では「過去、歴史的な乱高下を記録した後は、相場が落ち着くまで3カ月程度を要している」(証券関係者)と、変動率の高さは当面続くとみる。
TOPIXは大幅に続伸、終値は前日比55.00ポイント(2.26%)高の2489.21。
東証プライムの売買代金は概算で7兆3744億円。3日連続で7兆円を超える大商い、売買高は32億9536万株。東証プライムの値上がり銘柄数は1092、値下がりは526、横ばいは28だった。
ソフトバンクグループ(SBG)やKDDI、ディスコが上げた。一方、ダイキンやファストリ、NTTデータは下げた。
●新興市場
7日のグロース250指数は続伸、終値は前日比17.58ポイント(3.29%)高の551.37だった。指数の上昇率は5%を超える場面があった。日銀の追加利上げ観測の後退により、日経平均株価の上げ幅が一時1000円を超えるなかで投資家心理が好転し、新興銘柄にも買いが及んだ。朝方は戻り待ちの売りが指数を下押ししたが、ほどなくして持ち直し徐々に下値を切り上げる展開となった。
日銀の内田真一副総裁は7日午前に開いた金融経済懇談会で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」などと述べ、国内の長期金利が下げに転じたこともPER(株価収益率)が高い新興株の支援材料となった。市場では「追い証(追加証拠金)の発生に伴う個人の売りはいったん一巡し、需給面では反発しやすい状況だった」(証券関係者)との声が聞かれた。
グロース市場ではセルシードやGENDAが上昇した。一方、カバーやBASEは下落した。
●国内市況
:株式、債券、為替市場
株続伸、日銀副総裁がハト派発言-円下落し一時147円台
:話題株ピックアップ【夕刊】
(1):IIJ、三井住友FG、住友化学
(2):キヤノン、IHI、セガサミー
(3):みずほリース、横河電、SB
<市場別、出来高・売買代金>
東証プライム売買代金、3日連続で7兆円超えの大商い
<市場別、値上がり・値下がり銘柄数>
<指数、日中推移>
<米10年国債金利>
<日本10年国債金利>
<為替:ドル円>
<WTI原油先物>
<気づいたニュース>
【其の一】
市場不安定な状況で利上げしない、当面現行緩和を継続-内田日銀副総裁
※経済・物価見通しに市場大幅変動が影響、金利のパスも変わってくる
円安修正は政策運営に影響する、物価の上振れリスクは小さくなった
⇒ ブルームバーグ 日経 池田氏X
【其の二】
●今回の下落要因:キャリートレード
①キャリートレード巻き戻しはまだ半ば、せいぜい60%-JPモルガン
※「全く終わっていない」とグローバル為替戦略共同責任者
米国のリセッション懸念や日銀の利上げでボラティリティーが上昇
⇒ ブルームバーグ ロイター
②キャリートレードとは何か、なぜ大打撃を受けたのか
※2国間の金利差を利用した投資手法-予測不能な変動で多額の損失も
日銀の追加利上げで円ショートポジション解消する動きが加速
【其の三】
KKRが富士ソフトを買収へ、総額6000億円規模で非公開化-関係者
※3Dインベストメントが企業価値向上を要求、会社側は特別委で検討
非公開化の内容やプロセスに対する3D側の反応が今後の焦点に
【其の四】
中国の輸出、4カ月連続で増加-輸入は予想上回る伸び、貿易黒字縮小
※7月の輸出、ドルベースで前年同月比7%増加-予想9.5%増
輸入は7.2%増、予想3.2%増加-貿易黒字は846億5000万ドル
<今週の推移>
●S&P500
●東証日経平均
<今日の売買>
●買い
8253:クレディセゾン(再:打診買い)
●売り
なし
<PF成績(○日本株)>
●評価損益:前営業日比:<累計>
⇒ 8月 5日:-13.05%:- 2.19%
⇒ 8月 6日:+ 8.75%:+ 6.29%
⇒ 8月 7日:+ 3.35%:+ 9.67%
●日経、騰落レシオ推移
☆120%以上・・・過熱感あり
=100% ・・・売り買い交錯
☆70%以下 ・・・底入れ?
●暴落の原因と結果...
日銀利上&植田総裁、タカ派発言(追加利上げなど)
↑これに反応したキャリートレードの巻き戻し(以下)が、円高(為替)誘発し
株価暴落を演出した一つの要因だろうな....
①キャリートレード巻き戻しはまだ半ば、せいぜい60%-JPモルガン
※「全く終わっていない」とグローバル為替戦略共同責任者
米国のリセッション懸念や日銀の利上げでボラティリティーが上昇
⇒ ブルームバーグ ロイター
②キャリートレードとは何か、なぜ大打撃を受けたのか
※2国間の金利差を利用した投資手法-予測不能な変動で多額の損失も
日銀の追加利上げで円ショートポジション解消する動きが加速
<株価に影響?「噂」と「イベント」>
●2024年夏ごろ:新熊本県知事、TSMC第3工場の誘致に前向き-夏ごろ協議の意向
※インフラ整備や人材育成の知見、第2・第3工場でも活用可能と強調
第2工場については県内のダムの余剰水を活用できないか検討
●2024年7月26日-8月11日:パリオリンピック開催
●2024年9月19-20日:日銀、金融政策決定会合
●2024年9月30日:自民党総裁任期満了
●2024年10月:楽天グループ 金融事業の大規模再編検討の方針 正式発表
※10月をめどに、楽天銀行、楽天証券HD、楽天カードを一つのグループに
⇒ ロイター 日経 NHK
●2024年10月30-31日:日銀、金融政策決定会合
●2024年:スペースXとKDDI、スマホと衛星直接通信 国内どこでも
※衛星通信とスマートフォンを直接つなぐサービスを2024年をメドに始める
ソフトバンクは今秋から国内でスターリンクの法人向け代理販売を始める
●2024年:VW、全固体電池をドイツで生産へ 大量供給見込む
⇒ 2025年以降に全固体電池を搭載するEVを発売する方針
●2024年11月5日:東証、取引時間15:30まで延伸
●2024年12月18-19日:日銀、金融政策決定会合
●2024年内:パナソニックHD、年内にも次世代電池を米ネバダ工場で量産化へ
※同工場の生産能力10%向上に自信-電池子会社CTO
国内生産是非やりたい、これまで育ててきた自負
2030年度に生産能力を現在の4倍に拡大する計画
●2024年末:台湾UMC、シンガポール新工場の用地使用権取得
※同総投資額は50億ドル(約6300億円)、2024年末までに量産開始
●2025年:ソニーグループとホンダ、EVで提携 新会社で25年販売開始
●2025-2026年:ソニーGが金融子会社のスピンオフ検討、上場前提で2-3年後に
●2025年:ルネサス、パワー半導体に900億円投資 大型基板で量産 生産能力2倍に
●2025年3月?:任天堂が新型ゲーム機を年内発売、8インチ液晶使用-英調査会社
※新型機によりゲーム機用ディスプレーの出荷が1460万枚増加の予測
スイッチにも使われる有機ELの次世代機での使用、24年はない
⇒ ブルームバーグ 日経
任天堂がスイッチ後継機を今期内発表-営業益は24%減の4000億円
●2025年4月12日:大阪万博、25年4月12日に開会式 国際参加者会議が開幕
●2025年4月13日:大阪万博 開催(10月13日まで) 約2820万人の来場を見込む
●2025年夏までに:iPhoneにマイナンバー搭載 身分証明機能、25年夏までに
●2025年末:巨大ITの独占是正新法を閣議決定 AppleやGoogle念頭
※会期中に成立すれば、2025年末までに施行する見通し
●2026年:日銀「デジタル円」、3メガ銀と実証実験へ 23年春から
※2年間ほど実験を進め、26年にも発行の可否を判断
●2026年:ホンダ、次世代EVを26年から投入へ-航続距離480キロ以上
※20年代後半に自動運転システム搭載、一般道で手放し運転一部可能に
脱炭素化でEV販売は着実に増加、出遅れ気味の日本勢は開発急ぐ
⇒ ブルームバーグ ロイター
●2026年:ホンダが無人タクシー支援 遠隔監視、分業モデル前進
※帝都自動車交通、国際自動車と協力して2026年に都内での開始をめざす
●2026年4月:任天堂、マリオの新作映画26年4月公開 宮本茂氏指揮
任天堂、「スーパーマリオ」新アニメの日本劇場公開は26年4月24日
●2026年後半:イビデン新工場、半導体部品26年後半にも量産 インテルに対応
※データセンターに使うサーバー向け製品などの需要が旺盛
●2027年まで:米アマゾン、27年までに日本で2兆2600億円投資-データセンターなど
●2027年:熊本で第2工場の造成開始 台湾のTSMC、27年稼働
●2027年末:TSMC熊本第2工場稼働、台湾から500人雇用 1700人体制
※第1工場と合わせて3400人が働く
第2工場は27年末に初回の出荷を行い29年末に整備を完了
整備完了から10年以上継続生産する計画
●2027-2028年:トヨタ、EV150万台達成に自信-需要増視野に生産体制も準備
※全固体電池は耐久性の課題を克服、27-28年の実用化にチャレンジ
HVからEVへの移行ペース踏まえ、3年後の需要予測立つ-副社長
⇒ ブルームバーグ ロイター 日経
●2028年までに:インテルなど15社、半導体「後工程」研究組織を設立
※2028年までに技術を実用化して工場への導入を目指す
⇒ ブルームバーグ 日経
●2028年:信越化学、次世代半導体向け装置 「後工程」短縮
※量産を2028年にも始める
●2030年1-6月ごろ:政府が大阪IR計画を認定、国内初のカジノが29年秋以降開業へ
※開業:2029年秋から冬ごろ
※開業時期は2030年1-6月ごろの見通し
大阪知事、IR開業ずれ込み「国の審査遅れたから仕方ない」
※30年1-6月ごろにずれ込む見通し
●数年先:EUがAIに包括規制(案) 世界で初、顔認証利用に事前審査も
※成立までに数年かかる(2021年4月から)可能性も。
<●備える●>
①コロナウィルス感染動向
⇒ コロナウィルス新規感染者数
⇒ コロナ終息 ⇒ 金融緩和も終息 ⇒ 不景気の株高も終息 ⇒ 景気上昇の株高への引継ぎ?
②経済指数の動向
⇒ 決算、PMI、消費者指数(信頼感指数、物価指数)、GDP
③セリクラ
①予兆
・一定の価格帯から上がれずに横ばい推移。その中で上髭が散見。
・出来高水準が上がった価格帯で売買が活発。その後、急落局面が来る。
②到来
・相場全体が悲観的な投げ売りに
・株価急落と同時に出来高が増加
⇒ 売買代金5兆円前後(東P)
⇒ 一段深掘りしても出来高が大して増えないのであれば打ち止めの可能性も
③終幕
・売りがなくなり株価上昇
・出来高減少。板が薄い
・VIX指数40台以下を持続
④相場が底入れするパターン
①債券利回りが下がる
②VIXが凄く高くなった後でゆっくり下がりはじめる
③①②のコンビネーションが起きた時
<●相場が動く要素(上昇or下落)●>
①出来高(代金)急伸
②毎月第2金曜日
日本株のSQ(先物・オプションなど決済期日の特別清算指数)
⇒ SQ週の「魔の水曜日」 売り方の仕掛けを警戒
⇒ メジャーSQ(3、6、9、12月の第2金曜日)
⇒ SQ(上記以外の月の第2金曜日)
⇒ ボラティリティが大きくなる傾向あり
●大型株は影響を受けやすい
③毎月第3金曜日
米株のSQ(先物・オプションなど決済期日の特別清算指数)
⇒ メジャーSQ(3、6、9、12月の第3金曜日)
⇒ SQ(上記以外の月の第3金曜日)
⇒ ボラティリティが大きくなる傾向あり
●大型株は影響を受けやすい
▼▲日本株も影響を受けることあり▼▲
④MSCI(世界株価指数)
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出する
株価指数で、MSCIワールドインデックスとも呼ばれる。
機関投資家が多く採用していることから、注目されている。
構成銘柄は四半期ごとに見直され、2月・5月・8月・11月は大きな入れ替えを実施。
新たに指数に組み入れられた銘柄には、組み入れ変更後にパッシブ連動資金
(市場の平均的リターンを追求する運用筋の資金)による大きな買い需要が発生。
入れ替えの銘柄発表は、入れ替え月の15日前後に、銘柄の入れ替えは同月末日。
⑤上場投資信託(ETF)の決算
7月第2週は、主要な日本株の上場投資信託(ETF)の決算日が集中
「分配金支払による売りが、7月1週~2週頭」に出て、株価が下落する傾向あり。
⑥GPIF、基本ポートフォリオ見直し
GPIFの資産配分は、基本的に国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産
5年に1度の財政検証(人口や経済状況を踏まえて、年金給付と負担バランスを確認)
⑦上昇or下落
インフレ=金利上昇 ⇒ 金融関連銘柄は上昇
デフレ=金利下落 ⇒ 金融関連銘柄は下落
⑧夏枯れ相場
出来高減少、ボラティリティが高くなる傾向あり
夏枯れ相場に挑む際の心得
①事前にPFを整理(ブラッシュアップ)
②事前に現金ポジ高める
③押し目拾い銘柄の選択と集中
④買い時は第3水曜日から金曜日?
⑨米レーバーデイ
レーバーデイ(9月の第1月曜)3連休明け
米国の機関投資家が夏季休暇から職場へ戻る
新たなトレンド生まれる傾向がある
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
⑩有事(戦争)
①エネルギー、コモディティ(金など)関連上昇
②砲声で買い
③安全資産とされる国債が買われ、金利低下
④サイバー攻撃、セキュリティ関連が上昇
⑤ボラ高く、値動き荒くなる
⑥エネルギー、コモディティ(金など)関連下落、株価上昇
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
⑪3月はボラ高
①MSQ
②年金のリバランス
年度末を控え、年金(GPIFなど)はPFのリバランス行う
信託銀行の動きは年金基金などの売買を反映するとされる。
③米国
4月の納税を控え、納税資金捻出売りを警戒
<●暴落相場(コロナ相場)で学んだこと●>
①個人の「思い」や「ファンダメンタル」より、「相場の値動き(波)を優先視」
②業績に関係ない理由での株価暴落は、底値で拾える「チャンス」
③保有銘柄暴落時(下げ止まらない)は、持ち続けず「損切り」
⇒ 「資金不足」を招き、次の「チャンス」を逃してしまう。
<●上昇相場の銘柄選び方●>
①「世の動き」から、業績寄与が連想される銘柄の期待感と割安感
⇒ 実態経済(現状の業績)より、期待感が優先される。
⇒ 世の動き(相場)に逆らうと波には乗れない。進化論と同じ。
⇒ 私情を優先すると痛手を負う。
<●経済回復の構造●>
①企業業績の回復(PMIや決算)
②消費者指数(信頼感指数、物価指数)が上昇
③GDPが上昇