夕方。会社の定時後にふとケーキが食べたくなったのです。

この時期だとイチジクのタルトが美味しい店があるので、よっしゃそこまで行くぞーと思って自転車漕いでえっちらおっちら。

気が付いたら自分がいる場所がどこか分からない。

どういうわけかいつも南に行こうとすると道に迷います。
北に行く時は迷いません。不思議なもんです。

「ここどこ!?」「ここどこ!?」とキョロキョロ見回して周囲から見たらかなり挙動不審な感じになる。
こんな時、ちゃんと地名を調べたり、コンビニで地図を見たりすればきっともうちょっとは迷わずにすむのでしょうが、どうもじっとしていられない性分というか単にモノグサなせいなのか、「とりあえず走っとけばどっか着くわ」などと考えて自転車でウロウロウロウロ。

ふと道路標識を見上げたら、「大阪港」って書いてあるわけで。

よりによって海方面か。
うちの会社からどれくらいの場所だここは。

といった紆余曲折の後、結局目当てのケーキ屋には行けず、通りがかった大きな本屋で坂口安吾と三島由紀夫と谷崎潤一郎の本を買って帰った。

ボクはケーキが好きだけれど文学はもっと好きなので、これで良いと思う事にします。

イチジクのタルトなんて堕落論に比べたら!


などと負け惜しみを言っている間に、お腹が何度か鳴りました。