画像引用元:eiga.com

 

 

◼️原題または英題:Belle Toujours

◼️監督:マノエル・ド・オリベイラ

◼️出演:ミシェル・ピコリ

    ビュル・オジエ

◼️2006年 70分 🇵🇹 フランス

 

 

 

 

 

「アブラハム渓谷」「クレーヴの奥方」などで知られるポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリベイラが監督・脚本を手がけ、ルイス・ブニュエル監督による1967年のフランス映画「昼顔」の登場人物たちの38年後を描いたドラマ。

老紳士アンリはパリのコンサート会場で、かつての親友の妻セヴリーヌと偶然にも再会を果たす。

セヴリーヌはアンリから逃げるようにその場を去るが、アンリは彼女を捜し出し、真実を打ち明けるという口実で食事に誘う。

「昼顔」でアンリ役を務めたミシェル・ピコリが再び同役を演じ、カトリーヌ・ドヌーブが演じたセヴリーヌ役には「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」「北の橋」などのビュル・オジエを起用。

2025年4月開催の特集上映「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」にてデジタルリマスター版を上映。

引用元:eiga.com 

 

 

※「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」

 

『夜顔』は、ルイス・ブニュエル監督の『昼顔』(1967年)から約40年後の“続編”として位置づけられる作品です。

かつて若く、美しく、抑圧された主婦でありながらも性的な二重生活を送っていたセヴリーヌ——彼女が歳を重ね、老境にある姿で再び現れます。

 

 

 

老いと欲望、そして距離

 

 

映画では、セヴリーヌはもはや「若さ」や「美しさ」で男を魅了する年齢ではありません。

それでも彼女を見つけたアンリは、かつての情熱を蘇らせ、再び彼女を手に入れようとします。

 

これは、心理療法の場面で私たちがときおり見かける“記憶の中の関係”に似ています。

現実の相手そのものよりも、「かつての関係性」や「叶わなかった感情」に惹かれている——アンリの行動は、まさにその再演のようにも見えます。

 

 

特に印象的だったのは、ふたりがようやく向かい合うレストランのシーン。

ほとんど会話はなく、聞こえるのはカトラリーの音と、蝋燭のゆらぎだけ。

 

この沈黙の中にある「緊張感」や「距離感」、あるいは「内面の声」こそが、この映画の核だと感じます。

精神科の面接でも、言葉以上に「沈黙」が雄弁に語ることがあります。

セヴリーヌの沈黙は、断絶であると同時に、最後の防衛線だったのかもしれません。

 

 

結局ふたりの間に決着がつくような明確な場面はありません。

再会は果たされても、埋められない過去と時間、そして“変わってしまった自分たち”が静かに横たわっています。

 

 

 

欲望の終焉

 

 

『夜顔』は、若さや情熱が失われた後に残る“人間のかたち”を、とても静かに、丁寧に描いた作品でした。

老いゆくこと、かつての自分と出会い直すこと、そして、それを他者との関係の中でどう折り合っていくか。

 

「老いの精神医学」「欲望の終焉」について考える貴重な時間でもありました。

 

 

 

※映像がとにかく美しい〜♡

デジタル・リマスター版はニワトリのジャケ写ですが、私もこのシーンが一番好きです。

 

※アンリからセヴリーヌへのプレゼント、お店の人が見たら驚くでしょうね〜笑

 

 

 

※私の著書、発達障害のいいところを書いています〜