★ 「優しい」
という字は、「憂」いに「人」が寄り添っています。
つまり、苦しんでいる人、悲しんでいる人、心配している人に
寄り添ってあげることが優しさなのです。
★ 今年の5月、私が母の病気のことで妻と話をしていると、
4歳の長男がやってきて、黙って私の膝の上にすわりました。
いつもなら、遊ぼうとねだるのに、
膝の上で黙って私たちの話を聴いています。
そうか・・・
この子は、僕のことを心配して、寄り添ってくれてるんだ。
★ 人は皆、生まれながらに優しさを持っているのです。
それが、子どもの頃、親に対して優しさを表現した時に
「子どもは心配しなくていいの。あっちにいってなさい」
「大人の話に口をはさむんじゃない」
と、言われたり、八つ当たりをされたりした。
そうやって、人はいつの間にか、優しさを表現すると、
余計な御世話だと追い払われるか、
とばっちりを喰うはめになる。
と、学習してしまうのです。
そして、困っている人、苦しんでいる人を見ても
触らぬ神に祟り無しと、見て見ぬふりをしてしまうようになる。
★ 私は息子に言いました。
「みっくん、ありがとう。
みっくんが傍にいてくれるだけで、パパとっても楽になったよ」
★ 翌日、長男が、家の前の道にしゃがみこんで、何かをジッと見ていました。
近づいてみると、車にひかれて半分つぶれて瀕死のサワガニがいました。
息子が、私に言いました。
「カニさん、みっくんが傍にいるから苦しくないよね?」
「ああ。きっとカニさんは
『みっくん、ありがとう。最後にみっくんに会えて良かった』
って、思っているよ」
二人で、カニさんが天国に逝くまで寄り添っていました。