清水焼の炫晶霧滴(げんしょうむてき)盃です。天目釉の一種のようです。作者は古川剛氏です。


10年以上前に京都を訪れた際、清水の朝日堂さんで若手作家の作品を扱っており、その時に気に入って購入しました。若手作家のものということで一万円前後だったと思います。

陶器にもかかわらず金属のような質感が衝撃で、気付いたら購入していました。線にも緊張感があって、盃として造形としても美しいと思いました。

店舗および写真では青が強く見えますが、盃の内側は銅のような茶色が強く見えます。光の加減でかなり表情を変える器です。


箱についていた説明書きには、『炫晶霧滴とは天目釉の一つで従来の油滴天目釉では黒釉の中に灰色の斑点が生まれる釉薬でしたが、炫晶霧滴ではその黒釉の部分が高密度の銀結晶で埋め尽くされた燿変の一種です。それはまるで、「朝霧」のように感じられたので霧の油滴「霧滴」と名づけました』とあります。難しくて小生には完全に理解できませんが。

この写真が目視の印象に近いかも知れません。銅のような質感が強いですが光の加減で青銀?銀青?のような輝きがあります。

これまで紹介した器は無釉で荒々しい器でしたが、こうした特徴ある釉薬を使った器も優美で美しいです。

また、盃ということでぐい呑とは形状が異なり、同じ酒を飲んでも味わいは変わります。ワイングラスがぶどうの種類別に形状が異なるのと同様に、香りの立ち方が異なる気がします。小生にとって盃という形態の酒器は始めてだったので、一時期ヘビーローテで使っていました。

ただ、引っ越しが続き数年間使っていなかった時期があり、しばらくぶりに使用した時には印象よりも銅色が強く感じましたが、釉薬は錆びませんよね??

ちなみに。金属的な質感ですが重量は69gと軽量なので、酔っ払っているとふとした拍子に酒をこぼしてしまいます(笑)

落ち着いて飲みたい時や、グイグイ飲みたい時など、様々なシチュエーションで使用しています。

欠点は、容量が少ないため頻繁に注がないといけないということぐらいですね。