めんたいこのブログ

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昨日よりちょっとでも素敵な今日を

 

仕事の帰り道。
「あの言い方、まずかったかな」とふと思い出す。

 

家に帰っても、まだ考えている。
夜、布団に入っても、また同じ場面が頭に浮かぶ。

 

「なんであんなこと言ったんだろう」
「もっと違う言い方があったかもしれない」

 

同じことを、何度も考え続けてしまう。
答えは出ないのに、思考だけがぐるぐる回り続ける。

 

この物語では、それを 「ぐるぐる思考」 と呼んでいます。

 

ぐるぐる思考は、特別な人のものではありません。
仕事のこと、家族のこと、まだ起きていない未来のこと。

人は気づかないうちに、終わった出来事や想像の未来に何度も「リプライ(返信)」してしまいます。

 

この物語の主人公、直樹もその一人でした。


大きな問題があるわけではありません。
それでも、ふとした瞬間に思考が回り始めます。

 

そんなある日、直樹は一冊の本と出会います。

 

タイトルは
『同じことを考え続ける、ぐるぐる思考の止め方』

 

そこには、こんな言葉が書かれていました。

 

「私は「考えすぎて」いたのではなく、
自分に同じ言葉を、何度も何度も返していただけだったのだと。」

 

その言葉をきっかけに、直樹は自分の思考の仕組みに気づき始めます。

 

思考は止められない。
でも、考え続けるかどうかは選べる。

 

この物語は、ぐるぐる思考と向き合いながら、少しずつその意味に気づいていく一人の物語です。

 

 

※本ページはプロモーションが含まれています。

 

 

 

第1章 同じことを考え続けてしまう夜

 

直樹は布団の中で、暗い天井をじっと見つめていた。


部屋の電気はもう消えている。
隣では美咲が静かな寝息を立てている。

夜はとっくに遅い時間だった。


それなのに、直樹の頭の中だけが、まだ一日を終えられていなかった。

 


今日の会議の場面が、何度も浮かんでくる。

上司の声。
「その視点、少し甘いんじゃないか?」
ただの指摘だった。

 

その場では直樹も「分かりました」と答えている。
会議はそのまま進み、特に問題があったわけでもない。


それでも、夜になってから、その言葉だけが頭に残っている。

もっと詳しく説明した方がよかったのか。

資料の説明が足りなかったのではないか。

別の切り口があったのではないか。

 

直樹の思考は、そこから止まらなくなる。

あの資料は分かりにくかったかもしれない。

上司は本当は怒っていたのではないか。

周りはどう思っていただろう。

 

同じ場面が、頭の中で何度も再生される。

 

会議室の光景。

上司の声。

資料のページをめくる音。

 

答えは出ないのに、再生だけが繰り返される。

 

直樹は小さく息を吐く。
「またか……」

 

 

この状態は今日だけではない。

 

仕事のあと。

帰りの電車。

風呂の中。

布団の中。

 

ふとした瞬間に、思考は回り始める。

 

終わった出来事。
まだ起きていない未来。
その両方を、頭の中で何度も繰り返してしまう。

 

ぐるぐると・・・
止めようと思っても、止まらない。

 

 

直樹は寝返りを打つ。
天井の暗さが少し変わる。
それでも思考は続いている。

 

「あの説明、もっと分かりやすくできたんじゃないか」
「また同じことを言われるかもしれない」
「次の評価はどうなるんだろう」

 

考えても仕方がないことなのに、考えるのをやめられない。

直樹は目を閉じる。
それでも頭の中では、会議がまだ続いている。

 

 

翌日の昼休み。
直樹は会社の休憩スペースでスマートフォンを見ていた。

 

特に調べたいことがあるわけではない。
ただ、なんとなく記事やニュースを眺めている。


そのとき、ふと目に止まった言葉があった。

「同じことを考え続けてしまう人へ」

 

直樹は画面をスクロールする。
そこに紹介されていたのは、一冊の本だった。

 

タイトルは、
『同じことを考え続ける、ぐるぐる思考の止め方』

 

直樹は思わず画面を見直す。
ぐるぐる思考。
まさに今の自分のことだった。

 

記事には、本の要約が書かれていた。
「人は考えすぎていたのではない。リプライ(返信)しているだけだ。」

 

直樹はその文章を、もう一度読み直す。
リプライ(返信)?
どういう意味だろう。

 

さらに読み進めると、こんな説明が続いていた。

  • 刺激を受ける。
  • 言葉が生まれる。
  • その言葉にリプライを始める。
  • そのリプライが、また次の思考を生む。

それが、ぐるぐる思考。

 

直樹はスマートフォンの画面を見つめたまま、しばらく動かなかった。

 

昨日の会議。
上司の言葉。

 

それが刺激。
そして思考が始まる。

 

説明が足りなかった。
資料が分かりにくかった。
評価が下がるかもしれない。

 

そこからさらに思考が続く。

 

やっぱり自分は説明が下手だ。
他の人ならもっと上手くやれた。
次の評価はどうなるだろう。

 

直樹は気づく。
これは考えているというより、同じ思考に何度もリプライしているだけなのかもしれない。

 

上司の言葉=刺激。
そこから思考が始まる。
そして、その思考にまたリプライする。

 

だから止まらない。

 

 

直樹は本のリンクを押す。
Amazonの電子書籍。


レビューはそれほど多くない。
それでも、なぜか気になった。

 

直樹はスマートフォンを持ち直す。
「自分に返信し続けている、か」
小さくつぶやく。

 

もしそれが本当なら・・・
自分は一日に、どれくらいリプライしているんだろう。

 

仕事のこと。
家族のこと。
将来のこと。

 

夜、布団の中で。
ぐるぐる思考。

直樹は少し迷ったあと、購入ボタンを押した。

画面にはすぐに表示が出る。
「購入が完了しました」

 

直樹はそのまま最初のページを開く。
そこには、こう書かれていた。

 

「私は『考えすぎて』いたのではなく、自分に同じ言葉を、何度も何度も返していただけだったのだと。」

 

その後には、こんな言葉もあった。

 

「そこから私は、心の動きを身体の感覚に置き換えるようになりました。」

 

直樹はその言葉を、しばらく見つめていた。

 

そのときはまだ知らなかった。
この言葉の意味を、これから何度も試すことになるということを。

そして、ある出来事をきっかけに、その意味を本当に理解する日が来るということを。

 

 

第2章 できた気になっていたのは、ただの勘違いだった

 

本を読み始めてから、一週間が過ぎた。
直樹は少しだけ、自分の思考の流れを客観的に見られるようになってきていた。

 

外側で何かが起きる。
その刺激に反応して、感情が生まれる。


そして、その感情から思考が始まる。

思考は、その思考にリプライを続ける。


そのリプライが、また次の思考を生む。
それが、ぐるぐる思考。

 

 

本を読んでから、直樹はその流れを観察するようになっていた。

 

会社で同僚に言われる。
「ここ、修正入ってます」

それは外側で起きた出来事。


その瞬間、胸がドキッとする。
不安や焦りが、勝手に浮かんでくる。

 

そして思考が始まる。

 

見落とした。
やっぱり自分は詰めが甘い。
できないやつと思われるかもしれない。

 

ここまでが、いつもの流れだった。
でも最近の直樹は、その途中で一度立ち止まるようになっていた。

 

「今、リプライしているな」
そう気づくだけで、ほんの少し間が生まれる。

 

さらに、本にはこんなことが書いてあった。

「心の動きを身体の感覚に置き換える」

 

直樹はそれを試していた。

ドキッとしたとき、胸の奥がチクチクする。
焦ったとき、胃のあたりがヒリヒリする。
不安なとき、胸の奥がズキズキする。

 

そうやって、刺激によって生まれた感情を身体の感覚に置き換えると、不思議なことが起きた。

 

間が少し長くなる。
思考が完全に止まるわけではない。
それでも、思考が始まるのが遅くなる。

 

直樹は思っていた。
「前よりできている」

 

ぐるぐる思考に気づけるようになった。
身体の感覚にも置き換えられる。


少しずつ、変わっている気がした。

そう思っていた。

 

 

その日の夜。
夕食のあと、美咲が食器を洗いながら言った。

「今日さ、レジでお客さんに言われちゃって」

 

直樹はテレビの音量を下げる。

「何て?」

 

美咲は少し苦笑いをした。

「遅いって。もっと早くできないの?って」

 

水の音がキッチンに響く。

 

「今もさ、なんか頭の中でその言葉がぐるぐるしてる」

 

少し間を置いて、美咲は続ける。

「ほんと、なんとかならないかな」

 

その話を聞いた瞬間、直樹の中にも反応が起きる。


感情が生まれる。
怒り。
悔しさ。

 

そして思考が始まる。

 

そんな客、気にするな。
理不尽だろう。
美咲はリプライしてるだけだ。

 

直樹は口を開く。

「それ、自分で自分にリプライしてるだけだよ」

 

美咲が振り向く。

「え?」

 

「刺激に反応してるだけなんだって。言われた言葉に、ずっとリプライしてるだけ」

直樹は、本で読んだ内容を説明する。

 

「だから、その思考を止めるんじゃなくて、身体の感覚に置き換えるんだって」

自分でも少し得意げな声になっていることに、直樹は気づいていなかった。

 

美咲は少し黙る。

その沈黙が、今度は直樹の外側の出来事になる。

その瞬間、感情が生まれる。


不安。
嫌な予感。

 

そして思考が始まる。

 

伝わってない?
また余計なことを言った?

 

 

美咲がゆっくり言う。

「直樹、今それ言う?」

 

その一言。

感情が生まれる。


ショック。
恥ずかしさ。

 

そして思考が始まる。

 

助けようとしただけだ。
正しいことを言ってるはずだ。

 

 

美咲は続ける。

「私、理屈ほしいわけじゃないんだけど」

 

その言葉で、直樹の思考は一気に加速する。

 

やってしまった。
また自分の考えを押しつけた。
わかってるって思われたかった。

 

直樹はそこで気づく。
今、自分はまたリプライしている。
自分の思考にリプライしている。

そして、美咲にもリプライしてしまった。

 

できたと思っていた。
でもそれは、自分の中で理解した気になっていただけだった。

 

 

夜、寝室で直樹は天井を見つめる。
胸の奥がヒリヒリしている。

 

それは感情そのものではない。
感情を身体で感じ直したものだ。
でも、そのヒリヒリの奥で、思考はまだ静かになっていない。

 

直樹は小さくつぶやく。
「できた気になってただけか……」

 

刺激。
感情。
思考。

 

その流れは見えるようになってきた。
でも、まだうまくできているわけではない。

それを認めた夜だった。

 

 

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