「やまと」(長崎県大村市) 戦国時代から大村に伝わる、約500年もの歴史を持つ『大村寿司』! | 全国のグルメ食べ歩き

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(※訪問時期が1月下旬の時間差更新です。)





長崎県の大村市に伝わる、約500年という歴史を持つ伝統的な郷土料理『大村寿司』。


専門店の他、寿司屋や定食屋でもメニューにあり、スーパーでも販売しているという、地元で親しまれた押し寿司の一種。


戦国時代、大村藩主の大村純伊(すみこれ)公は、文明6年(1474年)の「中岳の合戦」で島原の有馬貴純勢に大敗して大村の地を追われましたが、文明12年(1480年)に援軍を得て領地を取り戻したそうです。


その際喜んだ領民たちは戦勝を祝い、将兵たちをもてなすため、もろぶた(当時はどの家庭にもあった木製の浅い箱)に炊きたてのご飯を敷き、魚の切身や野菜のみじん切りなどを乗せ、押し寿司にして出したそうです。


急なことで十分な準備が出来ず、大人数分を短時間で作れる料理として考案されたのがこの大村寿司だったとか。


喜んだ将兵らが脇差しで四角に切って食べたことから「角ずし」とも呼ばれ、今も5cm角くらいに切ったものを食べるそうです。


以降大村寿司は勝ち戦のめでたい寿司として伝わっており、大村では今でも人々が集まる祝いの席には欠かせない大切な郷土料理とのこと。


九州物産展などでも販売されていているため、全国的な知名度は高い印象。


長崎空港売店の品目別売上では、大村寿司は長崎カステラと並んで、常にベストテンに入る人気だそうです。


今回訪れたのは、明治時代に創業した100年を超える歴史を持つ老舗店『元祖大村角ずし やまと』。


こちらは大村寿司を大村で最初に商品として販売し、「角ずし」という商標登録の元、伝統の味を守り続けているお店。


お店の目の前が川からの荷下ろし場だったため、当時はそこで働く方々の食事処として始まったそうです。


その頃から大村寿司をメニューの1つとして提供していたそうですが、それがだんだんと評判になっていき、大村寿司を代表する有名店になったとのこと。


大村市本町にある本店の他、長崎空港2階や大村バスターミナル西肥バスにも売店があるようです。





今回訪れたのは本店。


最寄りの大村駅より徒歩10分くらいの距離。


長崎空港からは車で10分、大村ICからは車で15分くらいです。





駐車場は店舗横と、少し離れた場所に第2駐車場がありました。


この日は金曜日、お店には8時過ぎに到着。


営業時間は持ち帰りなら8:00〜20:00、食事なら10:00〜20:00(L.O.19:30)のようです。


今回は大村寿司を朝食として食べようと思ったので、持ち帰りで購入。






販売商品は角ずしだけのものと、いなりや巻き寿司も入った盛り合わせ、角ずしの入らないいなりや巻寿司だけのものもありました。


店内飲食メニューについてはホームページに掲載されています。







角ずしは3個入という少量のものからありましたが、1人前は5個になるそうなので、今回は5個入755円(税込)を購入。


大村寿司は地域や作り手によって、少しずつ具材や味わいが異なるそうです。


こちらのお店の作り方は、ヒノキ製のもろぶたに甘酢を塗ってシャリを敷き詰め、その上に味付けたゴボウを並べ、それを挟むようにまたシャリを広げてサンドイッチ状にします。


そして上には小さく切った奈良漬、赤いハンペン(長崎でのカマボコ)、小さく切って煮込んだカンピョウを散らします。


さらに味付けした椎茸、緑色のハンペンを散らし、錦糸卵を乗せて広げ、グラニュー糖と砂糖を振りかけ、蓋をして重しをして置いておき全体を馴染ませます。


シャリも具材も砂糖を多めに使用するのが大村流とのこと。


しかし甘めの味付けの、はっきりとした理由はわかっていないとか。


大村寿司が庶民に広まった頃、当時の庶民は肉体労働が主流だったことから、疲れた体が甘いものを欲しがったからや、昔は甘いものが贅沢でご馳走だったことから、めでたい時に使われたなど、色んな理由が考えられるそうです。


最後は「定規」と呼ぶ、樫の木で出来た2つのかたい板と包丁を使って、5cm角に切り分けます。


こちらのお店では、1つのもろぶたで91個の角ずしができるそうです。


断面の写真を撮り忘れたのは完全な失態です。


ふわふわとたっぷりの錦糸卵はとても華やか。


シャリは甘さが結構強めですが、良い塩梅で酸味が効いて甘ったるくはありません。


椎茸やカンピョウ、ゴボウなどそれぞれの味付けも甘めの印象。


特にコリコリとした奈良漬の食感とお酒の風味が良いアクセントになっています。


シンプルで素朴なお寿司ですが、味付けが少し独特で個人的に結構好みでした。


大村寿司は今回初めて食べたので、「大村ずし ぎおん」や「梅ヶ枝荘」など、他の有名店のものも食べ比べたいところ。


ご馳走様でした!




やまと
0957-52-3546
長崎県大村市本町474-5