1:1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:43:40.34 ID:WuLtuWlB0
俺:大学生、さえない男
たまの休みや講義の空きにゲーセンに行って格ゲーをやるのが好きだった
そこであった話を、ちょっと書かせて欲しい



 

2: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 03:43:58.79 ID:h1w7AQ2J0
聞くぞ



5: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:45:18.42 ID:WuLtuWlB0
俺はといえば、大のゲーセン好きだった。
格ゲーにアケカードゲーに音ゲ、割となんでもやってた。

というより、そのゲーセン独特の雰囲気が大好きだったんだ。




6: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:47:32.27 ID:WuLtuWlB0
俺は趣味といえば絵を描くくらいで、大学でもなんのサークルにも入っていない。
だから学部に何人か友人はいれど、基本休みはひとり。

だからこそゲーセンに惚れ込んでた。
ゲームをしてれば顔なじみはできるし、言葉は悪いけど、ゲーセンに行くと
「あ。俺みたいなダメな人はたくさんいるんだ…」てきな居心地の良さがあった。




8: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:50:03.74 ID:WuLtuWlB0
基本、ゲーセンで顔見知り程度の知り合いができるのは珍しいことではない。
毎回同じとこに行って同じようなゲームをやっていれば、顔を覚える。

ゲーセンでできた友達ってのも何人かいた。
ゲーセンってのは多分皆が考えてるよりは健全で、いい場所だと思う。




9: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:52:10.67 ID:WuLtuWlB0
俺はその日も講義が半日だったので、
午後から意気揚々といつもどおりゲーセンに向かったんだ。
あのワクワク感がいい。

今日は何すっかなーなんて迷いつつ俺はスーパーストリートファイター4を始めた。
平日とは言え、たまたま猛者が一人いて負けがこんでイライラした。




10: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:55:04.36 ID:WuLtuWlB0
その日は、もうスパ4はいっか…ってなって、ブレイブルーかLoVをやろうと思った。
LoVってのは、スクエニのアーケードのカードゲームでハマるとなかなか面白い。

でも金がかさむからあまりやらないんだけど、その日はやろうって決めた。
俺は筐体に座って、しばらくそのゲームのプレイに興じていた。




11: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 03:57:31.22 ID:WuLtuWlB0
珍しく勝ちが続いた。そんなに得意なゲームじゃないんだが。
すると、俺の隣の筐体に女の子が座った。

LOVの人口的にも、ゲーセンでなかなか女性プレイヤーに出会うことはないから、
ちょっと驚きつつも、
「まあ別におかしいことはないよな」って思いつつ俺はゲームを続けていた。




13: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:00:58.11 ID:WuLtuWlB0
自分のゲームが一段落すると、俺は隣の女の子の方を見てみた。

キャスケット帽?っていうのかな、を深々かぶってて顔はよく見えなかった。
俺は「面白い子だなー」なんて思った。
そして、こういうとこで趣味の合う子とか身近でいたらいいだろうに…
と半ば妄想していた。




14: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:03:44.51 ID:WuLtuWlB0
しかし、彼女は負けると独り言を言い出した。
「今のはだめかー…」「う~んなんでだろう」
はたから見るとちょっと変な人なんだけど、俺はなんだか彼女のことが気になりだした。

どういう気持ちで俺がそうなったのかは分からないが…




15: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 04:04:45.75 ID:GxQ8aJ5o0
彼女のスペック



16: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 04:05:05.76 ID:pwhcoRzJ0
俺もそういう子には惹かれてしまうwww



17: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:06:19.18 ID:WuLtuWlB0
俺も最初は「まわりに聞こえるくらい独り言とか…ちょっとな…」
って思って印象は最悪だった。けどなんか気になった。

そうすると彼女は早々とLOVから引き上げて
スーパーストリートファイター4をやりに行ったので
俺は気になりついていって彼女の試合を観戦してみる事にした




18: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:09:07.18 ID:WuLtuWlB0
彼女のスペックはすぐ分かるからちょい待ち

そうすると、彼女その時使ったキャラはさくら。
そしてなかなかに強い。PP3000くらいはありそう。
なんだろ、このへん知らない人は分かり辛いかもしれないけど、
普通に俺より遙かに上手かったんだよね。

俺は驚いて、「ほぉー…」と思ってじっと対戦する彼女を見つめていた。




19: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:11:44.48 ID:WuLtuWlB0
俺も見ていたせいか、数人の人だかりができて、彼女がコンボを決めると
「お、おお…」みたいなしょぼい歓声みたいのがあがるようになってたw

なんだろ、その時の彼女はすごく輝いて見えていたよ。
でも彼女はこのあと予想外の行動をとるんだよね…




21: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:13:59.08 ID:WuLtuWlB0
さっき俺をボコボコにしたであろう、猛者プレイヤーと彼女が当たって、
彼女なら勝てるかも…と思ったけど負けちゃったんだよ。
けっこう惜しかったんだけど。

俺も「あー残念…」くらいに思って見てたんだけど
彼女は顔を真っ赤にして明らかに泣いてたんだよね。
声はゲーセンだから聞こえないけど。

俺は唖然とした。




24: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:16:31.98 ID:WuLtuWlB0
彼女はこの時キャスケット帽をとったんだけど、ショートヘアで顔真っ赤。
明らかに泣いた状態で店外の喫煙所とかありそうな方向に出ていったから
俺もなぜか無心で追いかけていた。

なんで追いかけてしまったのかが謎なんだけど。




26: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:20:04.10 ID:WuLtuWlB0
店の端の割と静かな喫煙所っぽいところに彼女はいた。
目を真っ赤にしていた。
というか、キャスケット帽かぶり直してたけど、顔が好みで困った。
多分一般的には可愛いって言われないタイプだと思うけど、俺はドキっとした。

俺は喫煙者だし、煙草を吸うふりをして、彼女に話しかけようと思った。

さっきは、惜しかったですね…。




29: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:23:11.20 ID:WuLtuWlB0
ふてくされてるかと思ったが、そんなことはなかった。
にっこり笑うと、
「あぁ、見てたんですか、恥ずかしいです。
わたしああいうとこだとつい必死になっちゃって…」
と笑いながら話してくれたのには驚いた。

恐らく、ゲーセンにいるって段階で、
初対面の会話の壁ってのが数段なくなってるんだと思う。
お互いにゲーム好きだと分かってるし、
ここで自然な会話が生まれたのはゲーセンだったからだと思う。




30: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 04:23:52.59 ID:F0WtCt+K0
続きが気になる話だ、、。



32: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:25:42.75 ID:WuLtuWlB0
そうすると彼女は面白そうに、
「煙草一本くれません?」と言ってきた。
俺「え、あ、吸うんですか?」
「吸わないけど、なんか見てたら…なんか」

この時点で薄々分かってたんだけど、
彼女は天然か変な人かよくワカラン人のいずれかだったw




33: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:29:39.57 ID:WuLtuWlB0
しかし俺はといえば、大学生活サークルなし、
青春なし、家に帰れば絵かきに身を費やす
という生活を送っていたため、女の子と話すこと事態稀も稀で、舞い上がってた。

俺「じゃ、吸います?wキャスターってんですけど…ちょっと甘いかもですw」
「ありがとございます~!すぅぅ…ゴホ!ゲホ!なにこれ苦しい…」
案の定涙目になっていた。

よろしくないことではあるが、俺はもうその時、
なんなんだこの人すごく面白いし可愛いって気持ちに取り憑かれていた。




34: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:32:48.24 ID:WuLtuWlB0
煙草が初めてってことは…そんなに悪いかんじの子ではない。
まあ見た目からしてそうではあったが。

あと、なんか知らないけどやたらと笑う。
そこで数分格ゲー談義をしていたんだけど、すごく笑うんだ。
女の子ってこんなに笑うの?というか笑った女の子ってすごい。

そもそもこんな誰とも話せたことのない格ゲーの話を、
今ここで、初対面の女性としているということが一番信じられなかった。




35: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:36:20.85 ID:WuLtuWlB0
なんだかすごい打ち解けてしまって、あの喫煙所で一体何分話したろう。
そうなってくると、男としては「連絡先知りたい」
という欲望が出てきしまう。
20~30分話した時くらいだったか

趣味の話になってて俺が言ったんだよ。
「ちょっとね、イラストを描くのが好きで…」
ゲーセンにいた子だし、こういうことにもちょっとは興味を示してくれるんじゃないか
なんて淡い想いもあったわけだが…
「イラスト?」
笑顔いっぱいだった女の子が急に、すごく暗い顔になった。
「ま…その話はいいよ…」
「それじゃ、また…ゲーセンで会えたらいいね…




37: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 04:38:28.79 ID:DwYZ6jvr0
ぱんつはどうすればいい



39: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:40:40.61 ID:WuLtuWlB0
>>37 
すまん多分エロ展開はないよw




38: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:39:45.17 ID:WuLtuWlB0
予想外だった。
連絡先どころか、ほぼ喧嘩別れクラスの雰囲気の悪さで別れてしまった。
イラスト、ちょっとくらいはテンション上って話が膨らむかなと思ったんだけど…

もしかしたら、そういうのが嫌いな人だったのかもしれない、
そう思って俺は落胆した。

「一体あの子は何だったんだろう…?」
キャスケット帽が似合ってたのは覚えてる。
でもそんな風貌でゲーセン来るなんて…
俺はすごい気になった。




41: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:44:14.53 ID:WuLtuWlB0
いかんせん、俺が人間として少しでも甲斐性を見せるにはイラストしかなかった。
だって、それしかしてなかった…

それから数日経って、俺は再びゲーセンを訪れた。
彼女はまた居た。
その日はLOVをやっていた。その日はなぜかベレー帽。
でもそれも似合っていて、可愛かった。

相変わらず不思議な人だなあ…と思いつつ
俺もおもむろに近くでLOVをプレイし始めた。




42: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:46:24.84 ID:WuLtuWlB0
この時、様々な疑問が浮かぶ。

今日は平日だぞ。
俺は講義半日だからいるが。
彼女はなんなんだ?
大学生?フリーター?

同い年くらいに見えるけど…
というか名前も知らないし。

悶々として、ゲームに集中できない。




43: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:48:02.92 ID:WuLtuWlB0
LOVの彼女の称号レベルをチラ見する。
やはり、俺よりやりこんでいる。
そして勝率も高い。明らかに俺より上級プレーヤー。

そして勝つと、
「やったね~!」と声を上げる。
相変わらずの奇人っぷりを発揮していらっしゃる。




44: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:50:19.69 ID:WuLtuWlB0
ゲームが終わったところで、俺は肩を叩いて、ども、と会釈する。
「あ、来てたんだね~。ジュース買おうぜ~」
などと言い出す。もはやキャラが分からない。

馴れ馴れしいし、
本当に素の時は変な人なんだ。なんなんだこの人。
ますます気になる。




45: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 04:54:17.21 ID:NW4b4Pql0
寝ようと思ったら面白そうなスレですこと。

さて、ゲーセンいくか




46: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:54:44.74 ID:WuLtuWlB0
自販機前で、
俺「あ…この前はなんか…すいませんでした」
すると彼女は何が?ときょとんとした顔になった。

俺「ほら…イラストとか言ったら…」
彼女「あ~、あのことはね、ちょっと…」
彼女「私もね~描いてたんだよ、ついこないだまでね!」

俺「絵を描くの好きなんですか?」
俺がテンション上げて言うと、

にっこり笑って、
「好きだったんだよ。今は描いてない。」
俺「どうして…ですか?ってかアナタって今日も平日ですけど…
大学生さんとか…ですか?」
彼女「ちょっと違うかな」




49: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 04:57:42.98 ID:WuLtuWlB0
彼女「わたしは美大だよ、だから大学生だけど、今はなんというか…」
俺「ええ!美大って…すごいですね…雲の上の人だ…」
彼女「…今は思い出を見に来てるというか」
俺「はい?」
彼女「ここっていい所でしょ」
俺「ゲーセンに…ですか?思い出?;」




52: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:01:32.10 ID:WuLtuWlB0
彼女は次第に俺が年下だと気付いて、口調は変わっていた。
俺「え、そりゃどういう…」
彼女「ま、さ!」
いきなり大声を出す。

彼女「一回で知りたいこと全部知れるほど、簡単じゃないよ~」
といってゲームにもどろうとする。
俺「え、そんな…また次もゲーセンに来てくれますよね!?」
彼女「くるくる~まだ浸りたいから」

彼女の言葉はひっかかることだらけだった。
思い出?
その時の俺にはまったく理解ができなかった。

そして美大生。ますます俺は彼女の虜になてしまった。




54: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 05:03:13.70 ID:dei2nTng0
実に興味深い



57: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:04:27.26 ID:WuLtuWlB0
自分にない何かを持ってる人。
よく分からなくて、自分を振り回す人。
きっと俺はそういう人に弱かったんだ。

もともと大好きで通っていたゲーセン、それからは毎日違うときめきと
一緒に通うことになる。
今日はいるか?明日はいるか?
もちろんいつも会えることはなく、会えない日のほうが多かった。
もしかしたらもう2度と会えないんじゃないか…
そんな風に思うこともあった。




58: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:06:57.98 ID:WuLtuWlB0
と、今日はそろそろこの辺で寝ます~
明日は事情であんまり描き込めないかもしれませんが頑張ります…
月曜にまとまって書けると思いますので、すいません…




60: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 05:08:31.98 ID:DwYZ6jvr0
楽しみにしてる



66: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:39:06.85 ID:WuLtuWlB0
案外眠れないのでちょっとだけ書きます



68: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:41:52.29 ID:WuLtuWlB0
何日か通っていると、彼女は再びゲーセンに現れた。
またベレー帽を被ってたんだけど、いつもと様子が違った。

服が作業着っぽいのか、インクやアクリルがついてて、
靴にいたっては絵の具だらけに汚れていた。
LOVをする手も、絵の具で汚れているようだった。




69: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:43:25.66 ID:WuLtuWlB0
俺はもうときめいちゃって、ワクワクして話しかけた。
「こんにちは~」
彼女「うん…」

いやにテンションが低かった。
明らかに何かあったかんじではあった。
でもまあいつも変な感じではあるんだけど、その日はなんか、落ち込んでいた。




70: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:45:14.38 ID:WuLtuWlB0
ゲームに負けても独り言言わない。
ただ黙ってひたすら…
その横顔が自分とは違うちょっと大人に見えた。

俺「一戦終わったら、休憩しませんか?ね。」
彼女「そ、そのとおりであるね~」

やはり変ではあるが。




71: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:47:42.66 ID:WuLtuWlB0
俺「今日は大学で絵でも描いてきたんですか?」
彼女「いや…大学はもう卒業間近だし、関係ないね~」
俺「あ、そういえば美大って…!どこに就職するんですか?」
おれは無邪気な期待で聞いただけだった。

彼女「……。」




72: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 05:47:52.41 ID:qmWG/f1j0
>>1よ、こおいう女に嵌まると疲れるぞ・・・って、もお遅いなw



73: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:49:41.35 ID:WuLtuWlB0
>>72
なんだろう、
自分にない何かを持ってる女性ってとっても魅力的に見えたんだよね…




75: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 05:52:44.65 ID:qmWG/f1j0
>>73
分からんでもない。
反省はしても、後悔のないように頑張れ!
応援してるぞ




76: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 05:59:23.16 ID:WuLtuWlB0
彼女「就職はね…ちっちゃいデザイン会社で…」
俺「うわ、デザイナーじゃないですか…!すごいですね!」

彼女は笑った。
彼女「ありがとう~そんな風に言ってくれるのは君だけだな。」
彼女「でもなぁ、もどりたいなあ。君くらいの時に」

俺「どうしたんですか?何か夢があったんですか…?」

今思えば、ずけずけと聞きすぎだった。

彼女は泣いてしまっていた。
彼女「辛いなあ…君といると。名前なんてんだっけ?」
俺「富澤です…。」(仮名、サンドウィッチマンに似てるので)
彼女「そっか、わたしは吹石っていうんだ…」(吹石一恵に似てるので)




77: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 06:02:44.07 ID:WuLtuWlB0
彼女「君は絵が好きなの?」
俺「好きです…下手ですがそればっかやってます…」

彼女「あははは、そうなんだ。」

そうするとまた泣いてしまって、
彼女「ごめんね…もうゲーセンにも来れないかも。」
そう言って夜の街に飛び出していった。




78: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 06:04:28.99 ID:WuLtuWlB0
あ、すいませんそろそろ限界です。
それではまた夕方にでも…ごめんない…




79: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 06:08:11.35 ID:mPJ/ueGA0
良い所でw



80: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 06:09:33.49 ID:LvVXzZMz0
はよはよ(´・ω・`)



92: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 14:48:05.83 ID:WuLtuWlB0
さて、ちょいと忙しいので書くスピードが遅くなるかもしれませんが
ぼちぼち書き込みを再開していこうかと思います。




93: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 14:54:17.56 ID:JCE/w50Z0
待ってたぞ



94: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 14:56:55.38 ID:WuLtuWlB0
彼女はゲーセンを出ていった。
俺は混乱した。何か悪いこと言ったのか?
もう何がなんだか分からなくなってた。

無心で追いかけた。
「待ってください!どうしたんですか!?」




95: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:00:13.56 ID:WuLtuWlB0
彼女は立ち止まって黙った。
俺はどうしようか困った。
なんて声をかけたらいいか分からなかった。

目の前で、ベレー帽を被って手や服を絵の具で汚した女の子が泣いている。
なんてヘンテコな状況なんだろう。

瞬間、俺はこんな事を口にした。
「そ、そうだ…これから画材屋さんにでも行きませんか?」




96: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:02:49.52 ID:WuLtuWlB0
なんでこんなことを言ったのか分からないが、
何か状況を変えようと思ってとっさに出た一言だった。

彼女「え…?ほんとに?」
俺「はい、行きましょう、近場でどこか…」

彼女の反応は思ったよりよかった。
そして幾分ノリ気であった。
彼女「じゃあさ、近くにあるから行こう。ちょっと電車のるけど。」




97: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:07:32.31 ID:WuLtuWlB0
駅に向かって、黙って切符を買う。
「JRって高いのかな?」
などと彼女は言っていた気がする。

ホームで電車を待ってた。時間帯もあって、駅はなかなかの雑踏だった。
無言で過ごす。さっきまで泣いていたのに、彼女は思ったよりケロッとしていた。

俺はよく分からない展開に動揺して、緊張して、足が震えてたかもしれない。
彼女の方を見ると、笑ってVサインをしたりしておどける。

俺「なんなんですかソレ」
彼女「わからんなw」




98: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:11:12.14 ID:WuLtuWlB0
この道中も、彼女は決して自分のことを語ろうとはしなかった。
俺がひたすら話していた気がする。
「美大生なんて本当に憧れる」とか「絵が好きで上手くなりたい」とか
俺が終始しゃべっていた。

そのたびにニコニコするだけで、それがなんだか可愛く見えた。
でもなぜ泣いてしまったのか、そのことには触れられなかった。




99: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:17:48.68 ID:WuLtuWlB0
画材屋に着く。
すると彼女は途端にテンションが上がって、
あ~どうしよう張りキャン買ってこうかな~あでも筆も…
などと顔をキラキラさせて俺を連れ回して買い物を始めた。

俺はリラックスしている彼女になら何か聞いても大丈夫だと踏んだ。
俺「楽しそうですね。」
彼女「ここ来るとやっぱね~テンション上がるよ。」
俺「でもこの前、もう絵描いてないって言ってませんでしたっけ…?」




101: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:24:26.21 ID:WuLtuWlB0
彼女「いや、それはね…」
俺「気を悪くしたらごめんなさい…でもなにか知りたくて。
  今日もいきなり泣かれてしまって…」

俺はもう彼女のことで頭が一杯だったから、知りたかった。
そして少しでも彼女の力になりたいと思っていた。

俺「なんで、いつもゲーセンに来てるんですか?なにか思い入れが?」
彼女「思い出があるんだよ、だから」

分からない。




102: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 15:25:13.49 ID:OPjA9tnB0
意味がわかると怖い話か



103: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 15:26:28.52 ID:k/QC1PhU0
わかった。彼女は幽霊なんだな!!



104: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:29:15.37 ID:WuLtuWlB0
もう分からないことだらけだった。
一体なんなんだろうこの人は。
そもそもただでさえこんな女の子がいつも一人でゲーセンに
来ていること自体不思議で仕方なかった。

俺「思い出って…なんなんですか?」
彼女「わたしの絵、見る?」

そういえば見たことなかった。
俺はそこで彼女のケータイから彼女の絵を見せてもらった。




107: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:33:14.65 ID:WuLtuWlB0
そこにはポップンやら音ゲのキャラクタ、あるいは格ゲーキャラクタの絵があった。

とても可愛らしい絵柄で、おれは素直にいいなあ、と思った。
絵柄的には誰だろう…chancoさん辺りに近かったと思う。

俺「わああ!すごい上手いですね!」

彼女は満面の笑みになった。
彼女「ありがとう。」
彼女「私はただ本当にアーケードのゲームが大好きなだけ。」

しかしそれでもまだ合点がいかないことだらけだった。
なんで泣いていたのかがどうしても気になった。




108: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:37:41.80 ID:WuLtuWlB0
俺「でも、本当に上手いですね。大好きな絵柄です!」
俺「やっぱりそっち関係を本当は目指していたんですか?」

彼女「ま…ね」
俺「そうなんですか…でもこれだけ上手かったらきっとまたチャンスありますよ!
俺は絶対応援しますよ!」

彼女「いや、もうそういうのは描かないって決めたことだから」
俺「? どうしてですか?」




115: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:43:09.08 ID:WuLtuWlB0
彼女「君は若くて、絵が大好きで、きっといい子なんだろうね。」
俺「え、はい、あの…」

彼女「ダメなんだよ、気安くそう優しい事言っちゃ。」

いつになく真剣な顔になったので、怖かった。
目が真っ赤になっていた。
彼女「君はダメだ…。ダメダメだ。」

ダメダメって言われたのが妙に覚えている。

彼女「じゃあね、今日はここまでで。付き合ってくれてありがとう。」
帰り際にコピックマルチライナーを俺に手渡して、そそくさと去っていった。

俺は呆然として、追いかけることもできなかった。




117: 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 :2012/01/15(日) 15:46:07.02 ID:nhA7ui6A0
コピックマルチライナーってなんだよ



119: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:47:35.39 ID:WuLtuWlB0
>>117 
ごめん。画材のことだ。イラスト描いたりするペンだよ。




120: 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 :2012/01/15(日) 15:52:25.61 ID:nhA7ui6A0
>>119
なるほど、ありがとう




118: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:46:49.14 ID:WuLtuWlB0
何も分からなかった。
俺は完全に彼女にすべてを持っていかれてしまった。

しばらくメシもろくに食えなくなって、もらったマルチライナーで
落書きとかしてた。

寝ても覚めても完全に彼女のことしか思い浮かばなくなっていた。
でも連絡先すら知らなかった。

もはやゲーセンに行くということだけが、
彼女と俺を繋ぎとめる唯一の方法だった。




121: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:55:57.08 ID:WuLtuWlB0
俺は悶々としながらゲーセンに通い続けた。
あの調子じゃ、次会っても何を話したらいいか分からない。

俺がいつものように学校帰りにゲーセンに行くと、彼女はいた。
LOVの筐体に座っている。
肩を叩いて、会釈する。
彼女「あ、きた~!ねえねえローカル対戦しよーよ!」
彼女は会うなりゲームに誘ってきた。

ゲーセンありがたい。ゲームを介せば彼女の機嫌も良いみたいだった。




122: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 15:59:03.02 ID:WuLtuWlB0
ゲーセンというものが、俺らの仲をつなぎ止めてくれている。
そんな風に感じた。

ひと通りゲームをして、
喫煙所OR自販機に行って格ゲー談義して、楽しかった。
楽しくて気が合うからこそ、俺は彼女のことを知りたかった。

ゲーセンにいるうちなら、何か話してくれるかもしれない。
俺はそう思っていた。
初対面に会った時も、ゲーセンだからあれだけ意気投合できた。




124: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:02:06.69 ID:WuLtuWlB0
ひととおりゲームをして、また自販前に来た。
ゲームが心地よく鳴り響いている。

俺「あの…吹石さんはどうして絵を描き始めたんですか?」
彼女「わたし?んー…お兄の影響かなぁ」
彼女はポロッとこぼした。
ここで俺は初めて彼女にとってのお兄さんの存在を知った。




125: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 16:03:29.98 ID:9rmCJsO90
ものっそい嫌な予感…!



126: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:07:19.96 ID:WuLtuWlB0
ゲーセンという、お互いに好きな場所だから、
ついつい気を許して口をついて出たんだろう。

彼女はハッとした顔だった。
俺「お兄さん…ですか?」
彼女はかぶっていたキャスケット帽を深々とかぶり直した。

俺「なんですかソレ…」
彼女は苦笑う。

彼女「わたしには兄がいるんだよ…。小中学生の時はよく一緒にゲーセンに来たよ。」
彼女「だからわたしはゲーセンが好きになったんだけどね。」

俺「お兄さんもゲーセン好きだったんですね?」
彼女「うんw好きなんてもんじゃなかったよ。」




127: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 16:08:02.53 ID:vEZCC0gL0
淡いかんじですきだ



132: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:13:59.38 ID:WuLtuWlB0
彼女「お兄は絵が大好きだったから、
  みんなにやってもらえるアーケードゲームを作りたいって、いつも言ってた。」
俺「それはすごいですね…」
彼女「でもね。」
彼女「ウチは厳しいから…お兄は美大に行きたかったんだけど、親に
   旧帝大以上の大学じゃないとダメだ、って言われて…」
彼女「東大に行ったの」
俺「え、すごいじゃないですか!」




133: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 16:16:22.08 ID:RtZ4bQJy0
その子のスペックをもう少しでよいので希望です!
身長とか、服装とか…スカート?




135: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:21:47.40 ID:WuLtuWlB0
>>133
キャスケット帽被ってました。服装は…ちょっとタイトなジャケットに
ホットパンツでタイツ…だったような…ちょっと変わった服装だったけど
女の子らしかったと思います




140: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 16:27:08.84 ID:Znema7ww0
>>135
イイ!




134: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:18:19.04 ID:WuLtuWlB0
彼女「お兄は長男だったから…父さんたちも必死だったんだろうな…」
俺はなんだかこの話をこのまま聞いていていいのか、いたたまれなくなった。

彼女「お兄は大学に行ったら好きなように創作活動できると思ってたんだろうね…」
彼女「大学に入ったら、今度は親に官僚か弁護士に
   なるように勉強しろとこっぴどく言われて…」

俺「弁護士…司法試験ですか…」奇しくも俺も法学部だったので反応した。




141: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:28:28.06 ID:WuLtuWlB0
彼女「お兄ね…司法試験全然ダメだった。」
彼女「時々、絵が描きたいって本音を漏らすこともあった。
   私だけが女で下の子だから、好きなように美大に行かせてもらえたんだよ。」

俺は何も言えずにいた。
というか、普段まったく自分のことを話さない彼女が、
こんなに話してくれているのに、半ば驚いた。

彼女「司法試験に落ち続けるうちに…お兄はまいっちゃったんだよね。
   心を病んじゃって、今入院してるんだ…もう絵を描くどころじゃない。」

なんて言ったらいいか分からなかった。いや、なんて言えば良かったの?w
彼女はそんな重大なことをあっさり笑って言うもんだから、俺は動揺した。




142: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 16:29:43.70 ID:+t3I5efm0
これは何も言えないな



152: 忍法帖【Lv=22,xxxPT】 :2012/01/15(日) 16:43:46.85 ID:nhA7ui6A0
いろいろ複雑だね



153: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:44:34.59 ID:WuLtuWlB0
彼女「だから、わたしは…ゲーム会社に入ってゲームを作りたかったんだ。
  私は好きなことをやって、自由にさせてもらった。だから絶対、夢を叶えようって…
  でも、ダメだったよ。思い出にすがってるようじゃ、ダメなんだね。」

俺「ダメだったんですか…」
俺「でも、まだまだチャンスはありますよ…!」

彼女は、そうだねとは言わなかった。
だた、笑うだけだった。
その笑いが、何を意味するのか、まだ俺には分からなかった。




155: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:50:58.67 ID:WuLtuWlB0
その日、会うのは何回目か分からなかったけど、初めて連絡先を交換した。

色々合点がいった。
なんでゲーセンにいたかも。
最初の印象より、ずっとしっかりした子だった。
もちろん意味不明なところもたくさんあったけど、それが可愛かった。

美大浪人したらしく、俺より2つ3つ上だったんだけど、背は小さかった。
でもその背中がすごく大きく感じた。

俺は嬉しくなった。彼女が話してくれた。
これからはもっと彼女の力になれるかもしれない。
彼女のために、なんでもするくらいの心持ちだった。
彼女の抱えてたものは大きくてビックリしたけど、
何より話してくれたことが嬉しかった。




156: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:54:49.41 ID:WuLtuWlB0
すっかり浮かれていた。
次はいつ会えるだろう?

それから俺はまたしばらくゲーセンに通い続けた。ひたすら。
でもしばらく通っても、彼女はまったくゲーセンに現れなくなった。
メールは割と返ってきていた。

なんだろう?気になった。
土日も来ない。まだ仕事も始まっていないはずだった。

どうしてゲーセン来ないの?とメールで聞いても
「近いうちに行こうかな~」という趣旨のメールが返ってくるだけだった。




157: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:57:21.12 ID:WuLtuWlB0
それからまたしばらく経って、俺は若干凹んでいた。勝手に。
彼女はもしかしたら彼氏もいたかもしれないし、俺は多分忘れられた…と。

ゲーセンではいつも楽しくて、メシを食べることも多かったから、
向こうも俺のことを必要としていると思っていた。

突然、不思議なメールが来た。

「そろそろ、大きな勝負が待っています。勝ってみせるよ。」




160: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 16:58:59.19 ID:WuLtuWlB0
勝負?なんのことだろう?
就職試験?それともイラストレーターデビュー?
俺は楽観的に考えていた。

「勝負?なにそれ?気になる」的なメールを返した。
するととんでもない内容のメールが返ってきた。




161: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:00:26.99 ID:hiNsX/wJ0
ゴクリ・・・



162: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:01:08.33 ID:WuLtuWlB0
「今、入院しています。○○病院のどこどこ。良かったら会いにきてね、わたしのファンさん」
みたいなメールが来ていた。

卒倒しそうになった。
驚きと同時に怒りも湧いた。
すべてを話してくれたと思ったのに…どうして黙っていたんだろう。




164: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:01:47.99 ID:qP+0jAr80
あ、あぁ…



165: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:02:17.99 ID:+t3I5efm0
嘘だろ…



166: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:04:01.26 ID:WuLtuWlB0
俺は大学をさぼってすぐに会いに行った。必死だった。

俺「どうしたの?すごく心配してたんですよ!!」

「若年性の卵巣がん。」
彼女はニコッと笑って俺が着くやいなやそう言い放った。

俺はことの重大さにすぐ気付いた。
俺はばあちゃんを卵巣がんで亡くしてる。
進行性のとても早い癌として知られていて、ばあちゃんもものの半年で…
だったのを思い出した。




168: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:05:54.20 ID:hiNsX/wJ0
あぁ・・・



170: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:08:01.67 ID:WuLtuWlB0
彼女は変わり果てた姿でそこにいた。ニット帽をかぶって、やせ細っていて…
彼女「本当はねえ。手術終わるまでは黙ってようって思ってたんだ」
彼女「でもやっぱり直前になって怖くなっちゃった。」
彼女は笑った。

笑顔だけは変わらずそこにあったので、なんだか俺のほうが安心して、悲しくなって、
涙目になってしまった。
しっかりしなくてはいけない。




172: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:08:53.12 ID:0ZoZjK6b0
やだ、この流れやだ
なんとかハッピーエンドにしてくれ頼む




173: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:09:20.72 ID:+t3I5efm0
最悪の結果でないことを切に願う

マジで泣きそう




179: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:15:00.81 ID:WuLtuWlB0
強く、一人で頑張っていたんだろうな…
きっと俺と初めて会った時から、このことで悩んでいた…
そう思うと本当に泣きそうになった。

俺「大丈夫です。教えくれてありがとう。
  これからは、俺も一緒にいますから。」
これが俺の精一杯だった。
そうすると彼女は安心したのか、途端に涙目になった。

彼女「こわいんだよ…手術…絵を描けなくなるのも…
   ゲーセンに行けなくなるのも…何もかも怖いんだよ…」

彼女は何かがぷつんと切れたかのように、大泣きしだした。
俺も涙をこらえて、ひたすら
「大丈夫、大丈夫…」としか言えなかった。

正直この時俺もダメだと思った。絶望してた。でも俺が
弱音吐いちゃ絶対だめなんだと思って、ふんばったよ。




186: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:19:44.46 ID:Hr3/t+Yc0
釣りだよな?なあ?おい



189: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:20:41.67 ID:oRUw3uTe0
>>186
釣りならそれでいい、彼女が死ななければそれでいい!




188: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:20:09.67 ID:WuLtuWlB0
ひととおり励まして、なんとか良い空気に戻った。
彼女が、ブリジット描いてー!(ギルティギアという格ゲーのキャラ)
などと言ってくるので、俺が描いたりして遊んでいた。

すると、不思議と和やかになっていった。
そのうち、彼女のお母さんが機を見て病室に入ってきた。

俺「こんにちは」
母「あ、これはこれは…」
おふくろさんは人当たりの良い方だった。




191: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:24:01.35 ID:WuLtuWlB0
俺は昔から大人(特におばちゃん)とは何故か打ち解けるのが得意だったので、
すぐにお母さんとも懇意になれた。

しかし俺と彼女の関係性があまりに曖昧だったので、そこはなんとも言及しづらかった。
母さんは勝手に彼氏だと思っていたようだが。

そして俺は手術までの間通い続けた。
すべてを捨てる覚悟だった。
大学も全部サボった。




192: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:25:25.01 ID:hiNsX/wJ0
(´;ω;`)うぅ...



193: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:26:28.38 ID:oRUw3uTe0
>>192
エンディング前になくなよ、ここからだろ




196: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:29:07.63 ID:WuLtuWlB0
手術前日。
行っていいのか迷ったが俺は行こうと決めた。

父親も、母親もいた。
お父さんは、話に聞いていたよりは温和そうな人だった。
「こんにちは…」

すると、母さんに手招きされて、待合に呼ばれた。
俺は母さんとは電話連絡もして買い出しにも行くくらい、実は懇意になっていた。

母「富澤くんには聞いておいて欲しいの。」
俺「はい…」

正直俺は手術の趣旨も、彼女の癌の状態もほぼほぼ知らなかったから、
何か聞きたいとは思っていた。




199: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:30:53.82 ID:hiNsX/wJ0
もう・・・やめようよ。。。



201: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:32:30.17 ID:13xBj7C80
正座した



203: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:32:56.33 ID:hiNsX/wJ0
>>201
お、おれも・・・!




202: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:32:52.69 ID:WuLtuWlB0
すまん、打ち続けてちょっと疲れた、ちょっとだけ一服休憩させてください



209: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:34:07.45 ID:oRUw3uTe0
>>202
ここでかぁw
でも分かるぞ、このスレ来てからタバコの吸うペース上がった自分がいる。。。




212: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:36:00.23 ID:RtZ4bQJy0
>>202
落ち着いてね。
すごく惹かれる内容と文章構成力だと思います。




218: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:44:40.89 ID:WuLtuWlB0
さて、再開します。遅くてごめん。

お母さんは俺に言った。
母「手術しても…余命は1年くらいだろうって、言われてるの…」

動揺した。思っていたよりも、ずっとずっと、残っていた時間はなかった。

母「君は…それを覚悟しておいてね。それで、このことをあの子に伝えるか
わたしたちは悩んでるの…」

人生20年そこらしか生きて来なかった俺には、もうどうしたらいいのか分からなかった。
母「君は、最後まできっとあの子のそばにいてあげてね。
  あの子、あなたがいない時もあなたのことばかり話すのよ」
みたいなことを言っていたと思う。

最後までってなんだ?もういなくなること確定なのか?
混乱した。
大学生の小僧には、あまりに色々重すぎて、どうしたらいいか分からなかった。




220: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:48:00.11 ID:hiNsX/wJ0
話が重過ぎてなに書けばいいのか分からなくなってきた。



221: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:48:01.73 ID:WuLtuWlB0
手術は滞り無く無事終わった。
しばらくは麻酔やらなんやらのせいで、熱も続き、
彼女も起き上がるのは難しいということで俺は病院に行くことを控えた。

俺はしばらくフワフワした気持ちになっていた。
全部夢なんじゃないかとも思っていた。




226: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:51:14.12 ID:WuLtuWlB0
手術が終わって数日して、俺は彼女に会いに行った。
彼女は寝ていた。

目覚めると俺を見て、フラフラと体を起こす。
俺「あ、起きないほうが…」
彼女「いいの、今日は調子いいんだ…」
笑みにも力がない。

俺「手術、頑張ったね。」
彼女「ありがとう。」
彼女の笑顔には本当に力がなくなっていた。




231: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:54:25.81 ID:WuLtuWlB0
俺「何か、欲しいものは…?」
彼女「一緒にゲーセン行きたい」

俺「それは…もうちょっとしたらにしようか。」

彼女「ゲームしたいね。」
そんなこと言われたら、悲しくなるだけだった。




232: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 17:55:30.26 ID:0ZoZjK6b0
あぁぁぁだめだ切ない
せつねぇーよぉぉぉぉぉぉ;;




235: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 17:58:13.28 ID:WuLtuWlB0
彼女「病院の中散歩したいなあ。」
俺「それなら」

俺は看護婦さんとお母さんに聞いて了承を得て、
車椅子をひいてちょっと外まで行くことにした。

俺「喉かわかない?辛くない?」
彼女「そんな大丈夫だよwよそよそしいのやめてw」

彼女「あ、でも欲しいもんあるぜ~」
俺「え、なになに?」




240: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:06:27.14 ID:3npXYNxz0
切ない…
続きが気になる…




243: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 18:10:20.97 ID:WuLtuWlB0
彼女「スケッチブックが欲しいな」

俺「あ、なるほど。それならクロッキー帳なら俺今持ってる。」
彼女「ほんと?やった、それなら絵描きたいな。」
ラウンジみたいなところで、おれは彼女にクロッキー帳を差し出した。

車椅子に座る彼女の体を支えつつ、ペンとクロッキー帳を渡した。
彼女はゆっくりと絵を描き始めた。




245: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:11:27.85 ID:xVZv7HQd0
自分が無駄にした1日は
他の人にとっては大事な1日でも
あるんだよな




246: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:13:14.71 ID:3npXYNxz0
>>245
そうだよね…
そういう言葉を聴くとちゃんとしなくちゃなって思う




247: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 18:14:53.45 ID:WuLtuWlB0
そこには、彼女が好きなアーケードゲームのキャラクタたちと、なにやら
メッセージ描かれていた。
そっとそれを恥ずかしそうに俺に渡す。

「迷惑かけてごめんなさい。こんな病人と一緒にいて楽しい?」

それは多分彼女の大きな不安だったんだろう。
これを、口に出して聞くことが出来なかったんだろう。




248: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 18:20:18.21 ID:WuLtuWlB0
俺は泣きそうになった。

俺「何いってんの?」
俺「俺は吹石さんといる時が、一番楽しいよ」
俺はハッキリ伝えた。絶対に変な不安を持ってほしくなかった。

彼女「よかった。ありがとう。」
彼女は小さく笑った。

俺は彼女の頭を撫でたけど、ヘタレだからそれしかできなかった。
頭を撫でると彼女は笑って「わんわん!」と言った。
本当に、こういうとこがあるから俺は惹かれてしまったんだろう。




251: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:26:51.31 ID:rFBqa3vV0
この板きて初めて涙が出たわ



254: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 18:29:01.53 ID:WuLtuWlB0
と、ごめん。ちょっとバイトだからしばらく離れる。
待ってる人は申し訳ない。




255: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:30:31.75 ID:FGhAtxU80
>>254
行ってこい!
まってるから




256: 忍法帖【Lv=35,xxxPT】 :2012/01/15(日) 18:30:35.08 ID:w8ox2UzZ0
なんだこのスレ
涙がとまらんぞ
どうしてくれる




261: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 18:35:13.64 ID:WuLtuWlB0
帰宅時間は日付変わる頃かな…でもその時はあまり書けるか分からないです。
おそらくまたまとまって書けるのは明日の夜あたりになると思います。




263: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:37:42.98 ID:0ZoZjK6b0
>>261
切ないが待ってるぜ
バイト頑張ってくれよな




262: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:37:39.64 ID:hiNsX/wJ0
おいおい・・・修学旅行いくから

次見れるのは22日の夕方かよ・・・くそっ




265: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:45:56.54 ID:tNQB6EHg0
>>262
1週間も修学旅行行けるのか・・・最近の学校は豪華だな・・・




266: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:46:50.02 ID:hiNsX/wJ0
>>265
できれば修学旅行サボってでも
このスレみたい




268: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:48:10.37 ID:0ZoZjK6b0
>>266
それはそれ。
いい思い出作ってこいw




267: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 18:47:42.32 ID:jzq6RVUV0
まだわからないんだなら、泣くのはもう少し我慢しろwwwwww



309: 1 ◆WiJOfOqXmc :2012/01/15(日) 23:24:49.79 ID:WuLtuWlB0
こんばんは。
思ったより早く帰れた。
みんなありがとう。少しだけど、書かせて頂きますね。




311: 名も無き被検体774号+:2012/01/15(日) 23:29:37.05 ID:b3bRu2fSO
嬉しいんだ、来てくれたのは嬉しいんだが展開的になぁ、なんかなぁ、う(´;ω;`)


 

 

パート1終了