「は?まじかよ、誰?」
「たぶんだけど、笹倉だと思う。」
「笹倉って同じクラスの笹倉彩菜(ササクラアヤナ)?」
笹倉はクラスのアイドル的存在。
ぱっちり2重で可愛く明るくサラサラとした黒髪が印象的な美少女だ。
成績も優秀で先生のお気に入り。
おまけにクラス委員長までやっている完璧さ。
龍之介はひそかに彼女に想いを寄せていた。
「そーそ。あの可愛く可憐な彩菜様。」
「いやいやさすがにないだろ。」
俺がそう言うと智也は
「そっか。龍之介は知らないんだったな。」
と頭をかいた。
俺がきょとんとしていると、智也はため息をついた。
「健人、俺だけに話してくれたらしいからほんとは言っちゃだめなんだけど、ここまでくると犯罪レベルだしな.....」
そう言って智也は話し始めた。
笹倉は成績優秀容姿端麗クラスの人気もの。ここまでは皆が知っている笹倉の顔。
しかし笹倉にはもう一つの顔があった。
笹倉は健人を虐めていたのだ。
「笹倉がなんで健人を?あいつら仲良かったイメージがあるけど....喧嘩でもしたのか?」
「ちげぇよ。」
「じゃあなんでだ?」
智也は気持ち悪そうに体を震わせた。
「好きだからだよ。」
「は?好きならいじめたりなんてしないだろ。」
「笹倉のもう一つの顔ってのは、サディストなんだよ。」