本日、朝同期と集合すると、


「研修担当……😅会社……😅」


というような会話をした。

同期もやはりここでの違和感はしっかり感じていたようで、私の感性が異常なわけではなく安心した。



昨日の解散時、研修担当から


「明日は10:30か10:45くらいからみっちり研修する」


とのことだったが、11時を過ぎても現れない。

11:30頃、全くの別人が仮想オフィスの部屋に現れ、


「研修担当は15時頃来ます」

我々「はい🙂」


お昼前だったこともあり、我々は「ですよね」という反応で休憩に入った。


「自由にやりましょ」という会話を同期として、ゆるゆると研修のない時間を過ごしていると、先ほどの別人が現れて、同期を別室へと連れて行った。

暫くすると私も交代で呼ばれ、移動する。


その人は営業であり、これから私がする仕事を取ってくる人だった。

はきはきと喋るのが営業っぽいというとても安直な感想を抱いた。


そしてそこで話されたことは私にとって、これまでの研修の苦痛を超える内容であった。


「あなたには、実務経験3年の人材として出向してもらいます」


は?


それを言われた瞬間に、スマホを手に取りGoogleに問いかけた。


「SES 経歴詐称」


出てきた記事を読むと末尾にまとめとして書かれているのは、


「経歴詐称する会社はブラック!早急に離れるべし!」


ですよね。

記事の内容としては、


・待機人材は会社にとって支出となるため、早く仕事を割り当て利益にしたい

・経験者であれば契約単価が上がるため、利益を上げやすくなる

・経験者としてでしか人材を売り込めず、仕事をとってくることが出来ない弱い営業


これらの要素が組み合わさって経歴詐称に至るようだ。

そして、これらのことをする会社には、


・未経験を歓迎している

・常に大量募集している

・選考フローが極端に短い

・スキル不足でも面接に合格する


などの特徴があるらしく、この全てに弊社が当てはまるように感じた。


転職サイトに登録し、就活を始めた頃から現在に至るまで退会せずに見ているが、求人はずっと存在している。

営業から聞いた話では、面接に来たのは400人ほど、受かっているのは15人程度らしい。経歴詐称を前提とするならもっと採っても良いような気はするが、15人の採用は少し多く感じる。


そして選考フローに関しては、私も同期も面接中に通過を発表されて驚いた。


未経験、スキル不足でも採用されているのは言うまでもない。




私は嘘を吐くのが大嫌いである。

嘘を吐く罪悪感よりも、疲れることが一番の理由だ。

嘘は吐いたら吐き続けなければならない。バレる嘘は絶対に吐きたくない。

特にこう言った経歴詐称は大嫌いだ。


例えば大した学歴も稼ぎもない、良い親を持っているわけでもないこの私が、「東大に親の金で通い、卒業して大手企業で働いていた」などと宣ったとする。


すると、

・親の金で大学を受験できるほどの太い家庭がある

・東大を卒業出来る程度の学力を備えている・または学習の習慣がある

・大手企業に採用されるほどの人物像である


など、たった一文だったはずが、重ねなければならない嘘がかなり増える。


東大で何を学習していたのか、と聞かれたときになんと答えるか。

話している相手が偶然その分野を専門とする人間だったとき、どう対応するか。

東大での思い出を聞かれたらなんと答えるか。

就活では何社受けて、どれくらいの年収を貰っていた設定にするのか。


これら予想出来る範囲のことを全て視野に入れ、回答を考え、役になりきらなければならない。女優だ。


「今日の朝何食べた?」

「パン(本当はご飯だけど)」


のような、状況にもよるだろうが、その後のコストの少ない嘘であればまだ良い。


しかし、仕事における経歴詐称は全く違うと思う。

未経験でありながら、経験者として現場に挑むということは、


・経験者だと思われているため、現場は初めてであるのに対し、仕事を聞くことが出来ない。

・クライアントにバレてはならないため、力のある振りをし続ける必要がある。

・チームでの作業で詰まることが出来ない。

・能力がないことで冷遇されることも想像出来る。


きっとデメリットはこれだけではないと思う。

これを乗り越えて力を付けて、本物になりたいと思う人間にしか食らいつくことが出来ないだろう。


私は未経験として現場に行き、ゆっくりと学びたい。年収を上げることを急いでいない。

弊社、試用期間を超えた後の給料がそこそこ高い理由が今日納得できた。


営業には、辞めちゃう前にいろいろ共有してね、と言われたので、嘘を吐くことが本当に辛いと言った。

すると、


「この業種ならではの時間の都合の付けやすさやリモートの選択肢があり、生きやすくなる」

「嘘を本当にするような気持ちがあれば良い」


などと言われた。

私には、ただ辞めるな会社の駒となり稼げ、と言われているようにしか思えなかった。

勿論、時間であったりリモートであったり、利便性にはかなりの魅力を感じていて、この業界を選んだ。

けれど、嘘を吐かないことは私のポリシーだ。

夜職をしていた当時ですら、客に対して私は役を演じていなかった。嘘を吐くくらいならその内容は話さない。

親に夜職をしていたことを、バイトをしていると適当に誤魔化さず、そもそも話していないのがそれに当たる。


ずっと吐き続ける嘘で疲れるのに、現場では新しいことを毎日学び、初めての環境、初めての人、あらゆる要素で疲労とストレスを溜めていくことになる。

それに私が耐えられる自信はこれっぽっちもない。


私は頭が悪いし体力もない。コミュニケーションも上手くない。

現場で嫌でも私の価値を高く見積もられて、こいつ使えないと思われるとき、自分がどんな気持ちになるのか容易に想像出来る。



これまで研修担当や人事に対して多くの疑問を抱えていたが、営業からもこんな感じだ。

おまけに営業から、研修担当は高学歴で頭が良くて面白くてめちゃくちゃ優しい良い人だ、と言われて、研修担当ではなく、この会社と私の思考が合わないのだと感じた。


私の居場所がないのを痛感した。


経歴詐称の話を受けてからずっと学習出来ず、求人を眺めている。


もうITを辞めるべきか。でもリモートの選択肢は捨てがたい。

でも向いてない。空気感が合わない。

事務とかで普通に働きたいが、朝早いと通勤しんどい。

など悩みと我儘で葛藤している。


しんどい。

でも、もう気付けば8割は転職の意思が決定しているように感じた。

他者に愚痴を聞いてもらい、辞めた方が良い、そこは君が頑張れるところじゃないと思う、と言われたことは大きかった。


問題は次の職種をどうするかだ。

再チャレンジをするか、それとも事務など別の職種に潔く移行するか、すぐに決めなければならない。

経歴詐称の面接は1ヶ月そこらで行われそうだからだ。


経歴詐称について、台本なども自分で考えなきゃならないらしい。

どんな職や経験を積んだかは向こうが勝手に埋めてきたのに、対し、用語は調べておいてくれと言われた。勝手に詐称してんだから教えろ。それが背負わせる側のせめてもの務めだろ。


毎日こうした納得のいかないことが起こる。


今日、みっちり研修すると言っていた研修担当は、結局一度も研修に来なかった。

私が営業と話している間に少し現れたらしいが。


もうやっていられないというのが私の気持ちだ。

早く辞めたい。

しかし貯金は無ではないがそんなにない。

無職期間の発生はまずい。

だが時間がない。


明日からも暫くはこんな感じの精神状況だろう。

時間の許す限り求人を眺めようと思う。