- ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編/村上 春樹
- ¥540
- Amazon.co.jp
勝手に採点 ☆☆☆
ある日妻のクミコが突然出て行ってしまう。
途方にくれた僕はその原因を探るが、そこには彼女の兄である
綿谷ノボルが大きく絡んでいるらしいことを突き止める。
空き家の古井戸に佇んで、彼女のいる別世界へたどり着こうと
懸命に空想するが・・・。
珍しくミステリータッチで話が進む。
ただ、結局綿谷ノボルがどのように姉妹を汚したのかは分からず
じまい。加納マルタもどこへ行ったのやら。
文量が多いだけに、サイドストーリーは豊富。
間宮中尉の中国談や加納マルタ&クレタ姉妹・ナツメグ&シナモン
親子の不思議な仕事とその生い立ち、近所の不登校少女・メイ
との交流など、それだけで十分一冊の小説になるおもしろさ。
ただ、あまりにサイドストーリーを組み込みすぎたせいで、肝心の
クミコの存在が忘れがちに。
彼女がどうしてそんな行動を取ったのか、兄からどんな束縛を受け
ていたのかが尻すぼみで終わってしまう。
ラストの空しさも寂しい。
彼女が出所できて元の暮らしができるのはどれほど先だろう。