ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編/村上 春樹
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勝手に採点 ☆☆☆


ある日妻のクミコが突然出て行ってしまう。


途方にくれた僕はその原因を探るが、そこには彼女の兄である

綿谷ノボルが大きく絡んでいるらしいことを突き止める。


空き家の古井戸に佇んで、彼女のいる別世界へたどり着こうと

懸命に空想するが・・・。


珍しくミステリータッチで話が進む。


ただ、結局綿谷ノボルがどのように姉妹を汚したのかは分からず

じまい。加納マルタもどこへ行ったのやら。


文量が多いだけに、サイドストーリーは豊富。


間宮中尉の中国談や加納マルタ&クレタ姉妹・ナツメグ&シナモン

親子の不思議な仕事とその生い立ち、近所の不登校少女・メイ

との交流など、それだけで十分一冊の小説になるおもしろさ。


ただ、あまりにサイドストーリーを組み込みすぎたせいで、肝心の

クミコの存在が忘れがちに。


彼女がどうしてそんな行動を取ったのか、兄からどんな束縛を受け

ていたのかが尻すぼみで終わってしまう。


ラストの空しさも寂しい。


彼女が出所できて元の暮らしができるのはどれほど先だろう。