城山 三郎
男子の本懐

勝手に採点 ☆☆☆☆


昭和初期の政治家、浜口雄幸と井上準之助にスポット

をあて、激動の半生と政治への真摯な取り組みを明か

した名著。


現代の政治家が持ち得ない「気概」が噴出すような二人

の生き様は清清しい感動を呼ぶ。


この時代の政治家はまさに命がけ。


浜口首相が東京駅で凶弾に倒れ、井上蔵相もその翌年

暗殺される。ちなみに当時の逓信大臣は、小泉首相の

祖父である小泉又次郎。


そして、彼らの念願だった金輸出解禁後、政権の座に就

き、輸出再禁止措置により不況対策を断行した犬養首相、

高橋蔵相のコンビも二・二六事件によってこの世を去る。


決してテロリズムが横行していた時代が良い訳はないが、

そんな状況下だからこそ、政治思想・信念に忠実に、

そして命を掛けた政治家たちが存在したとも言える。


小泉首相が国民から指示され続けた大きな要因は、自分

の政治信念を忠実に貫き通す真摯な姿勢が評価されたか

らではないか。


その意味では、戦前の短い間に散っていった政治家たちと

印象がだぶる。


奇しくも昨日安倍自民党新総裁が誕生した。


平和な時代だから、命を掛けろとは言わないが、自らの政治

生命を掛けて日本の舵取りをお願いしたい。


きっとそれが彼にとって「男子の本懐」となるはず。